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lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

謹賀新年。

2008-01-01 13:44:57 | music6
Kinga_2


あけましておめでとうございます☆
旧年中は本当にありがとうございました。
おかげさまで、このブログもあと少しで
3年目を迎えようとしています。


この三年の間、実生活においても色々あったけど、
経験を重ねる度に、以前は当たり前だと思っていた
人の善意や、思いやりの価値、
ほんとうは見かけとは違うのかもしれないけど、
だからこそ、それがあるということの凄さを実感します。
逆に他人に恣意を押し付けることが幼さなのかな。

今年は、身近な人をもっと大切にしたいと願う一年なのです。
そう思って、夜明け頃に地元の神社に初詣へ行ったら
鍵が閉まってました;;





□ Tunes of the Day

□ Kevin Kern / "Imagination's Light"

Fields of Gold



□ Bernward Koch / "Flowing"

Yearning




_*


lens,align. awards 2007.

2007-12-30 07:23:10 | music6
毎年恒例、今年度リリースされた楽曲で、
主にlens.align.で紹介してきた音源の中から
ベスト3をピックアップしました。
今回の選考は最後まで難航しました。。

過去のawardはこちら↓

lens,align. awards 2006.
lens,align. awards 2006 Summer.
lens,align. awards 2005.




□ lens,align awards 2007.

>> Best 3 tracks.


Damage


□ Kosheen / "Damage"

Damage

>> lens,align.:Kosheen / "Damage" Review.

2007年に至って、未だブリストル・サウンドの健在を強烈に見せつけたトリップ・ホップのアウトサイダー。腹の底から魂を絞り出すようなSianのヴォーカルに、荒々しくザクザクと切り込んでくる壮大なアナログ・シンセの快感。もうとにかく最高にカッコイイ!!アルバムも含めて、文句無しで2007年度のベストに挙げられるでしょう。



The_wayward_regional_transmissions


□ Ran Slavin / "The Wayward Regional Transmissions"

Kiosk in Furadis

>> lens,align.:Ran Slavin / "The Wayward Regional Transmissions" Review.

今年も進化が目覚ましかったAvant/Electronica方面で、最も濃密に仕上げられたアルバムだった"The Wayward Regional Transmissions"。イスラエルを中心に、欧州各国でも視覚/音響芸術を展開するRan Slavin。この作品は、そんな彼の地元Tel Avivで採集された喧噪や、何処からともなく聞こえてくる民族歌謡、そして伝統音楽のプロの演奏を取材し、プログラミングを施して電子の結晶に刻み込んだモニュメント。"Kiosk in Furadis"は、そんなアルバムの魅力が凝集された象徴的な楽曲です。



Yearzero


□ Andy Moor vs. Orkidea

YearZero (Andy Moor's "First Light" remix)

ヴァリエーションの多様化が進むプロッグ・シーンにおいて、2007年を常にリードし続けたトレンドセッターAndy Moorの、本年の代表曲といえばこれ。GrammyにノミネートされたDelerium / "Angelicus (Andy Moor Remix)"のアレンジも、実はこの"YearZero"を踏襲したものだということは、聴いて頂ければわかると思います。どこまでも突き抜けて行くサイファイなスケール感、しっかりとストーリーを紡いでいくメロディライン。クラブで回されるようになってから、公式リリースまでの助走期間が長かったため、人によっては、この曲と2年近く付き合ってることになりますね。



2007年のawardsは以上でしたが、今年は他にアンビエント・サウンドスケープ界隈でも実りの多い年でした。音楽開発のソフトウェア/技術の革新、また安価傾向が影響しているのかもしれません。作曲に関してのピア・プロダクションの動向と、それが音楽界に齎す刺激にも注目していきたいですね。来年にも大きな実を結ぶことを祈りながら、lens,align.今年最後の更新とさせて頂きます。Greetings and sincere wishes for a bright and happy New Year!


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□ 2007 lens, align. awards nominees.
(選考ノミネート作品)


・ Legiac / "Pinch Era"
・ Ulrich Schnauss / "Medusa"
・ Kettel / "Twijfel Doubt Hesitation"
・ Carl Finlow / "Floating Point"
・ Gill Norris / "Forme (Jesse Somfay's will of the wisp remix)"
・ Baltic Sound / "Glimmer (Micah & Joel Armstrong Remix)"
・ Kosheen / "Damage"
・ AUN / "Unta Eyeless"
・ Ran Slavin / "Kiosk in Furadis"
・ Rothko / "Weather Every Strorm"
・ Robert Rich / "The Core"
・ Chicane / "Time of Your Life"
・ Asura / "Prophecy"
・ Lokitas / " Magenta (Afra & Spul Dub FM Mix)"
・ Andy Moor vs. Orkidea / "YearZero (Andy Moor First Light Remix)
・ Fauxliage / "Vibing"
・ Sleepthief / "Send Me An Angel"
・ Peteris Vasks / "Dona Nobis Pacem (Klava)"
・ Pablo Márquez / Luys de Narváez / "Octavo tono (Libro I, 8)"
・ Benz & MD / "Departed"
・ Mum / "Blessed Brambles"
・ Steve Birch ft. Marcie / "Edge of the Ocean (Alucard Nightswimming Remix)"
・ Solarscape / "Zen (Alucard Remix)"
・ Tasadi & Storyteller / "Saturn (Alucard's Astrodome Remix)"


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Happy Holidays!!

2007-12-26 04:03:33 | music6
Santa



□ lens, align. Mix -Xmas Night Music-

>> http://www.stage6.com/user/razoralign/
>> http://www.nicovideo.jp/mylist/4137734


ハッピークリスマス!
Season's greetings on this Merry Christmas with best wishes!
イヴを過ぎてから幾何級数的にテンションダウンするクリスマス当日。
欧米的には今が盛りなので一つ。。
Macに付属しているiMovie HDで初めて動画を製作しました。
クリスマスっぽいBGMと画像を詰め合わせたものです。

みなさまは素敵な休日を過ごされたでしょうか?
私のところにサンタは来なかったけど、
代わりに、このブログに妖精がやってきました。
可愛がってあげてください。
ムーニィは冬眠に入ります。


Fever's charm.

2007-11-18 11:08:38 | music6
Fever_2
(IXY DIGITAL L2; Exp.±0; ISO Auto; AWB; Evaluative; iPhoto.)



□ David Lanz / "Heartsounds"

Dream Field



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風邪で高熱が下がりません。。(;;
先週から午前様が続いた疲れもあるのですが、
せっかくの休日さえ朝帰りしている始末では
治るはずもない。。

熱に浮かされると孤独感や切なさにも似た
感情に苛まれることがありますよね。
免疫学的には、他人を寄せ付けない方が
感染を防ぐのには合理的なのに。。。
人間はやっぱり不思議です。


Stéphane Pompougnac /"Hotel Costes X"

2007-10-17 04:00:48 | music6
Costesx



□ Stéphane Pompougnac / "Hotel Costes X"

Benny Sings / Coconut
Goloka / Save Me Tonight
Zimpala / Adios

Release Date; 25/09/2007
Label; Pschent Music
Cat.No.; 824173
Format; 1xCD

>> http://www.hotelcostes.com/


>> tracklisting.

01. Angus & Julia Stone / Paper Aeroplane
02. $olal / Psycho Girls & Psycow Boys (Haaksman & Haaksman remix)
03. Dephazz / My Society
04. Stephane Pompougnac feat. Charles Schillings / Sunday Drive (Remix)
05. Goloka / Save Me Tonight
06. Peder feat. Anne Trolle / White Lilies
07. Zimpala / Adios
08. DJ Disse / Taxi To War
09. Louie Austen / Glamour Girl
10. Deep Dive Corp. / Little Ditty
11. Elijah / Afterlife Feat. Neve
12. Laidback / Happy Dreamer (Happy Horse Mix)
13. Orsten / Fleur blanche
14. Benny Sings / Coconut



夕暮れの冷気と喧騒に沈んでいく
紅く染まったマロニエの街路樹の間に
煙る秋の空を仰ぐ


今やホテルそのものより有名になってしまった感のある、Lounge/Luxury Musicのマエストロ、Stéphane Pompougnacによるパリのラグジュアリー・ホテル、"Costes"のコンセプト・コンピレーション。カフェやレストランが自身のコンセプト・アルバムをリリースし、高級ホテルにも独自のコンピレーションCDが一枚必ず備えられているという流行の走りとなったシリーズであり、今作はその記念碑的な10作目にあたります。

Hotel Costesは、Gilbert & Jean- Louis Coste兄弟によって創られた、パリの高級ホテル。世界中のアーティストやモデル、映画界のセレブリティ御用達の、斬新で格式高いスノッブな空間です。
↓の写真参照。

http://www.kiwicollection.com/property/hotel-costes


プレミア・クラブやセレブリティのパーティ、ファッション界においても、絶対的な支持と知名度、実績を誇るStéphane PompougnacのDJスタイルは、ある意味愚直なまでにラウンジ・ミュージックとしてのムード享受に徹底した選曲センスと、ブレない安定感。同じ傾向で活躍するDJでも、Thievery Corporationはもっとワールド・ミュージックを取り入れた実験的なスタイルを模索し、世界的にも折からのオリエンタル・モダンテイストやバレアリックの流行を取り入れたコンピレーション・アルバムの採用が著しい。

そんなトレンドの中心に身を置きながら、Stéphane Pompougnacはあくまで世界中からParisの文化に向けられた視線、ステロタイプ的と言ってもいい「イメージ」を大切に迎え、ホテルの来賓をもてなす如く、地元に根差した音楽的ルーツに裏打ちされる極上のホスピタリティと新鮮な刺激で優しくリスナーを包み込む。

しかしどちらかというと、そのMixテイストは、ホテル内での豪華絢爛で甘ったるい体験を具現化したというよりも、寧ろゲストがパリに至り、去るまでの旅情やドラマ性、その舞台としてのホテルを介した、まるでゲストの人生の切り抜きを追体験させるような、リスナーありきのコンセプトだと思えるところに好感を抱いてしまいます。


さて、このコンピレーションとしての"Hotel Costes"シリーズの特徴はと言えば、初期の頃の、如何にもセレブに向けられた、噎せ返るような官能の香りや、艶やかで華やいだヌーベル・ハウス、ゴージャスで煌めくようなダブ/チルアウトのラッシュサウンドは、リリースを重ねる度に徐々に陰を帯びるようになって、"8"では背徳的なダークさを、"9"では切ない慕情までも香わせる変化を遂げて来ました。

実は彼、これまでに2枚のオリジナル・アーティストアルバムを発表しており、今年発表された"Hello Mademoiselle"では、自身の直接のルーツと思われるEnnio Morriconeのカヴァーや、哀愁のシャンソン、ロック・バラードを披露しており、"Hotel Costes"シリーズのリリースを重ねる裏での、心境の微妙な移ろいが見て取れます。


そして今回の"X"では、ややシックで線が細くなりがちだったシリーズの傾向に、トリップ・ホップ、エレクトロニカ的要素を多分に取り込んで、アンダーグラウンド方面への目配せまでも行い、新しい時代に迎合しようとする向きさえ感じられます。でもそこはPompougnac、"Costes"ブランドとしての品位と純度を決して損なうことなく、ソムリエばりの嗅覚で、格調高く抑制の効いた、危うさのない厳正なテイスティングを怠ってはいません。

アルバム中でも異彩を放つGoloka / "Save Me Tonight"のゴシック・ニューウェイヴ色から、やや妖しく危険の香りのするアーバン・ハウス的Louie Austen / "Glamour Girl"。フランスにおけるトレンドの一つである、ワールドダブ/クロスオーヴァーの書法に沿ったPompougnac / "Sunday Drive (Remix)"。スペインの情熱と哀愁が漂う Zimpala / "Adios"、そしてイビサ・チルの大御所、Afterlifeの新曲"Elijah"のフィーチャー。


こういうトリップホップ/ダウンテンポ的な音が、いわゆるセレブリティのクラブやバーで高級視されるようになったのは本当にごく最近のことで、一昔前にそこあるのは例えばジャズだったり、ボサノヴァやフュージョンでした。

そもそも、あの1990年にENIGMAが"MCMXC a.D."(それ以前ではArt of NoiseやAlan Parsons Project、以降においてはKOOP等。その他2000年前後に流行ったジャズ・エレクトロニカムーヴメントに凌駕的因果が認められる)で打ち出した、宗教音楽と民族音楽、そしてクラブ・ミュージックの倒錯と折衷における『背徳的な官能と愉悦』というテーマが、後年に渡ってイビサを始めとするハウス文化によって育まれていなければ、そして後発のフォロワーが、その方法論を追随していなければ、今のトレンドは言わずもがな、少なくともそこにいる一部の人間のセンシビリティに触れるものがなかったとしたら、この"Hotel Costes"シリーズのコンセプトの萌芽さえ、存在していなかったのかもしれません。



Stéphane Pompougnacですが、なんと年末には東京と関空間を新たに結ぶ『黒い飛行機』、"Star Flyer"の就航を記念したコンピレーションCDをリリース予定。そして、実際の"Hotel Costes"内でBGMとして使用されている楽曲をコンパイルした、"Hotel Costes Presente...bon Voyage"という企画アルバムも、同じく国内盤として年末にリリースされる運び。こちらはホテル内の雰囲気に相応しいアンビエントな曲が連なっているのだそうです。


Steve Jablonsky / "Transformers"

2007-10-14 06:42:37 | music6
Transcore



□ Steve Jablonsky / "Transformers"

Soccent Attack
Decepticons
Arrival to Earth
Optimus Vs. Megatron
No Sacrifice, No Victory

Release Date; 09/ October/2007
Label; Warner Bros. Records
Cat.No.; 9362.49921
Format. 1xCD


>> tracklisting.

01. Autobots
02. Decepticons
03. All Spark
04. Deciphering the Signal
05. Frenzy
06. Optimus
07. Bumblebee
08. Soccent Attack
09. Sam at the Lake
10. Skorpinok
11. Cybertron
12. Arrival to Earth
13. Whitwicky
14. Downtown Battle
15. Sector 7
16. Bumblebee Captured
17. You're a Soldier Now
18. Sam on the Roof
19. Optimus vs. Megatron
20. No Sacrifice, No Victory


遙か宇宙の深淵より降り立った機械の獣。
精緻を極めた躯は重層的に鳴動し
その凌駕的質量で闇に屹立する。

Steve Jablonskyによる"Transformers"のスコアは、機械生命体の重厚な躍動感や衝突音をヘヴィなプログラミング・ビートに置き換え、サイバーなギアに噛み合わせた神秘的な聖歌やコーラスによって『魂』を吹き込み、哀愁のメインタイトルがヒロイズムを謳歌する。


Hans ZimmerファミリーをサポートしながらSteve Jablonskyが確立した書法は、"The Island"にて一様の完成を見ることになります。混声合唱による荘厳な旋律。オブスキュアに淀んだ強烈なサウンド・エフェクト、重々しいアトモスフィアに絡めた、鈍い金属音のロール・ビートと、ソリッドな緊迫感を演出する微細なパーカッション。電子的な響きを伴った各種ストリングスやギター、そして高揚感を煽る壮大なスケールのフィナーレ・スコア。

同じMichael Bay監督作品ということでのマッチングもあるのでしょうが、残念ながら"Transformers"では、"The Island"の各パート、モチーフを切り崩しながら流用した感が否めず、耳に絡むメロディも皆無で同一フレーズを多用、全体的に"The Island"の劣化アレンジという印象が拭えません。

しなしながら、前者の存在に比すことがなければ、楽曲の作品価値は尚も特徴的で評価できるもの。特に"Soccent Attack"の疾走感や、"Decepticons"のメタリックでダークなスコアリング、そして"No Sacrifice, No Victory"序盤の哀愁に溢れたオーケストラは、得も言われぬ想像的刺激とカタルシスを味あわせてくれます。


また、このスコア盤はアルバム・リリース用にリ・アレンジ、再編集されたもので、実際にフィルムで用いられたサウンド・トラックとはアレンジが異なるそうです。当初、Sony musicはスコア盤のリリースを権利上の問題から見送っていましたが、その後のコンペティション等で、スコア盤リリースを望む5千名超の署名が纏められ、紆余曲折を経て急ピッチで製作スケジュールを詰め、ようやくの発表となりました。詳しい経緯は↓のWikipediaを参照のこと。

http://en.wikipedia.org/wiki/Transformers:_The_Score

売れ行きによっては、未使用曲を含む2枚組のスコア盤をリリースする可能性もあるということなのですが、個人的には。。。ファンの方は頑張って。


映画本編は、こないだ2回目を観ようとしたらいつの間にか上映終了していて(´・ω・`)ショボーンでした。


Múm / "Go Go Smear The Poison Ivy"

2007-10-08 20:10:16 | music6
Ggstpi



□ Múm / "Go Go Smear The Poison Ivy"

Blessed Brambles
Dancing Behind My Eyelids

Release Date; 24/09/2007
Label; Fat Cat
Cat.No.; FATCD46LTD
Format: 1xCD

>> http://www.myspace.com/mumtheband
>> http://fat-cat.co.uk/fatcat/release.php?id=233
>> http://mumweb.net/


>> tracklisting.

1. blessed brambles
2. a little bit, sometimes
3. they made frogs smoke ‘til they exploded
4. these eyes are berries
5. moon pulls
6. marmalade fires
7. rhuubarbidoo
8. dancing behind my eyelids
9. school song misfortune
10. i was her horse
11. guilty rocks
12. winter (what we never were after all)
13. the amateur show (japanese edition only)


Mum

Gunnar Örn Tynes
Örvar Þóreyjarson Smárason
Ólöf Arnalds (violin/viola/guitar/vocals)
Eiríkur Orri Ólafsson (trumpet/pianette/moog/whistling)
Hildur Guðnadóttir (cello/vocals)
Sigurlaug Gísladóttir [mr.Silla] (vocals/various)
Samuli Kosminen (drums/percussion)
Ingibjörg Birgisdóttir (artworks/video)



Múm / "They Made Frogs Smoke Til They Exploded" Video.

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-Kids torture animals and may feel like they are learning something in the process,
but that doesn't make it any less wrong.

-子供は動物を虐待する。そしてその過程で何かを学んでいると感じているかもしれないが、
それによって誤りを少なくする訳ではない。
 
                  -Örvar


アイスランドに限らず、北欧・ゲルマン系の古代伝承には、童話的な幼さを臭わす視点から、明快な暗喩を用いながら不気味で残酷な世界観を描き出すものが多く、それは時に性格付けられた動物の野性や、あまりにも感情的で尊敬し難い幼稚な神々の争いに姿を映してきた。

古来から極寒の地で生き延びる為に、人と人、あるいは自然との関係性に希求せざるを得なかった民族性が育んで来た独特の詩情は、ある面で人間の優しさや社会性を裏打ちして支える無垢な残虐性を、普遍的で愛でるべき性質として暖く受容しているような印象さえ感じられる。



Múmの最新作"Go Go Smear The Poison Ivy"(蔦うるしをこすりつけて)は、誰しもが幼年時代、あるいは内面に持ち続ける子供心の無邪気さ、その裏返しにある残酷な遊び心を、あたかも童話の挿絵のように彩色されたキャンパスを暴力的に蹂躙するが如く、オテサーネク的世界に玩具箱をひっくり返したような音楽と、様々な暗示と寓話性、性的なメタファーを散りばめて、血なまぐさい野蛮な本能と抗い難い性欲の感覚を、下世話で深遠な笑いに従えるユニークな詩と共に紡ぐ。


『感じてごらん
 月がきみの恋人たちの血を
 ひっぱる力 空へと』

          ー"moon pulls"

『子猫の首を折ってしまったら、
 体を揺すって生きているか死んでいるか 
 確かめなくちゃいけないよ』

    ー"they made frogs smoke ‘til they exploded"

『この実は目
 きみの目 ぼくの目
 鳥たちはふりむいて
 それを見つめてる
 食べたがってる』

          ー"these eyes are berries"

『いっぽんの鉛筆がきみの肌を破り
 汚れた骨に落書きする
 きみのズボンは地面にずり落ちて
 罪深い石ころでいっぱいになる』

               ー"guilty rocks"

             ??対訳:喜多村 純


昨年まで、Múmは各地のメディアでのパフォーマンスや、Remixプロデュースに引く手数多。(その中には、あのオランダ室内管弦楽団と競演したIannis Xenakisの演奏も含まれる)バンドとしての活動の外においても、中心人物の一人、Gunnar Örn Tynesはライブやソロ活動、もう一方のÖrvar Þóreyjarson Smárasonは2冊の著書を執筆するなどの個々の活動に追われ、その間にバンドの最大の特色であったヴォーカルのKristín Vlatýsdóttirの脱退という大きな転機を迎えます。

4thアルバムとなる今作では、リリースを重ねる毎に欠員を出してきた、その穴を補って有り余る如く、それぞれ異なるキャリアとバックグラウンドに裏付けされた5名の新メンバーを加え、7ピースユニットとして復活を遂げました。レコーディングはÍsafjörðurにある音楽学校をはじめ、アイスランド各地を巡って、時には野外の環境音なども利用して、演奏そのものだけでなく、周囲の空気感も取り込むような形で行われたそうです。


驚くべきはメンバーを一新したことで、Múmとしての作風やアイデンティティは全く損なわれていないどころか、楽曲によっては、記念すべき1stアルバム"Yesterday was Dramatic - Today is OK"のような柔らかいクリック・ハウス色に回帰した節が見られること。しかし、従来に比べて音色のレンジがもっと広い。そう、ビートの粒立ちに決定的な進化が聴き取れます。これには、"The Peel Session"でも競演したフィンランドのパーカッショニスト/プログラマー、Samuli Kosminenの仕事が際立っています。

Samuli KosminenはKronos Quartetとも競演経験のあるスペシャリストで、鉄くずや空き缶、ハンドクラップといった、ありとあらゆるものの打撃音を音楽のピースとして採集、カオティックに何層にも積み木の如く組み上げてエレクトロビートにコラージュし、時には異なったリズムを重ねながら、目の眩むほど肉厚感のある有機的なビート・ストラクチャを構築しています。



その他、今作の初期段階から共同プロデュースも兼ねたEiríkur Orri ÓlafssonはBenni Hemm HemmやSigur Rósのツアーメンバーとして参加経験のあるパフォーマーで、トランペットや口笛の他、MoogやPianettaなどの各種電子演奏もこなしています。ボーカルをはじめ、ギターやヴィオラなどの各種弦楽器を担当するÓlöf Arnaldsは、ソロアルバムも発表している女性マルチ・プレーヤー。加えて、チェリストとして多岐に渡る活動をこなすHildur Guðnadóttirと、ボーカル他マルチ・パフォーマンスを担うmr.Sillaが、紅3点、新たな女性メンバーとなっています。

各メンバーによるフィドルやホーンといった生楽器の室内楽的な味付けは、パレード的でありながら何処か薄ら寒い明るさを帯びて、尚も痛快に響く。手を伸ばせばまるで触れてしまえそうな、歪でザラザラした触覚、さらには痛覚までも刺激し、匂い立つような音の絨毯。古紙に染みを落としたような掠れて捻れたノイズ・エフェクト。リコーダーとハーモニカ、児童のコーラス、Moogやオルゴール、ベルと群れ鳥の鳴き声、ラジオから流れる年代的なポルカ・・・。幼児期の鮮烈な体感の残滓と郷愁が渾然となった世界を描き出す為に、Múmはキャンパスにぶちまける音の素材を選ばない。思いついたままをノートに走り書きするように、その全てが凝縮されている。


異彩を放つのは、全編が寒気のするようなコーラスのレイヤーで構成されたアンビエント・トラック、"winter (what we never were after all)"。無垢で野蛮な悪戯に穢された大地が(しかしそれが必要であったかのように)、深々と降り積もる雪によって覆い隠され浄化されていく情景が目に浮かぶようです。



GydaとKristínの双子が在籍していた頃から、暗く荒涼とした世界観を描き出した"Finally We Are No One"、そして"Summer Make Good"においても、一貫して、幼い残酷さを『痛み』の伴う直接的な情景描写で表現し続けたMúmの作品性。特定の「身体の部位」のモチーフと描写を執拗に繰り返す詩型は、アイスランド童謡の特徴や古来の伝承に通じるものがある。

かつての不穏に凪いだ雰囲気の片鱗は息を潜めているものの、表面上は明るくなった"Go Go Smear The Poison Ivy"のサウンドは、紙一重のパラノイアに瀕した、もっと畏怖すべき狂気を湛えながら、自然界における人の残酷さに必然性と普遍性を見出し、それ以上の優しさに抱擁されたポテンシャルの高い芸術性を認めることが出来るでしょう。そして何よりも、そこにはアイスランドだからこそ育むことが出来た豊かな風土と精神性の逞しさの存在があることを忘れてはならない。


Gogo

まるで紙芝居を思わせる可変式のジャケット・アートが秀逸。裏表にオリジナル・アートが施されたスリーブが4枚付属していて、前面の額にスライドすることによってアートワークを7通りに入れ替えることができます。イラストを手掛けたのは、"They Made Frogs Smoke Til They Exploded"のVideoも手掛けたIngibjörg Birgisdóttir。ただ、鉛筆と水彩という手法で描かれた人物画は、Örvarの作風です。CDレーベルのリスがカワイイ。


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Blessed Brambles.


bless the weeds that grow the earth
bless like rain and dogs that pee

bless the dogs who talk to ferns
let's kiss the boys who pee in mud

úúúúúúúúú
úúúúúúúúú

bless the weeds that grow the earth
bless like rain and dogs that pee

bless the dogs who talk to ferns
let's kiss the boys who pee in mud


kiss the girls who clean the trees
bless the pee that cleans their leaves

kiss the hands that spread manure
you go go smear the poison ivy,
let your crooked hands holy


bless the dogs who talk to ferns
bless the pee that cleans their leaves

kiss the hands that spread manure
you go go smear the poison ivy,
let your crooked hands holy

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『祝福された木苺』


幸あれ 土の上に茂る草に
祝福を 雨や、おしっこする犬のように

幸あれ 羊歯の葉に話しかける犬たちに
キスしよう 泥の中におしっこする少年たちに

ウウウウウウウウウ
ウウウウウウウウウ

幸あれ 土の上に茂る草に
祝福を 雨や、おしっこする犬のように

幸あれ 羊歯の葉に話しかける犬たちに
キスしよう 泥の中におしっこする少年たちに


キスしよう 木々をきれいにする少女たちに
祝福を その葉をきれいにするおしっこに

キスしよう 堆肥をまく手に
さあ ツタウルシをこすりつけて
ねじれた手は清らかな手に


シダの葉に話しかける犬たちに幸あれ
祝福を その葉をきれいにするおしっこに

キスしよう 堆肥をまく手に
さあ ツタウルシをこすりつけて
ねじれた手は清らかな手に