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lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Camille / "Le Fil"

2007-09-19 04:27:31 | music6
Lefil



□ Camille / "Le Fil"

Assise
Baby Carni Bird
Pâle Septembre

Release Date; 14/02/2005
Label; Virgin
Cat.No.; 63878
Format: 1xCD

>> http://www.camille-lefil.com/

>> tracklisting.

01. La Jeune Fille Aux Cheveux Blancs
02. Ta Douleur
03. Assise
04. Janine I
05. Vous
06. Baby Carni Bird
07. Pour que l'Amour me Quitte
08. Janine II
09. Vertige
10. Senza
11. Au Port
12. Janine II
13. Pâle Septembre
14. Rue de Ménilmontant
15. Quand Je Marche
16. Femme liberee (secret track)


camille: drone*, vocals, backing vocals, beatboxes, percussion, piano (13)
Martin Gamet: bass, double bass, percussion (3, 6, 11, 13), beatbox (15)
Matthew Ker alias MaJiKer: percussion (9, 10, 11), (piano 5, 6), synthesizer (7, 8)
Julien Chirol: trombones and trombone arrangement (2, 11, 12, 13, 15)
Sébastien Martel: elastic guitar (3, 11, 12)
Antoine...: : guitar (6)

* note sustained throughout the entire album



BBCラジオ3主催のAwards for Wolrd Music 2007のヨーロッパ・グランプリや、Victoire de la Musiqueの新人賞を獲得するなど、発表より2年経た今でも徐々に評価を高め続けている28歳(発表当時26歳)の才女、Camille Dalmaisの傑作アルバム。

2ndとなる当作は、アルバム全編をカミーユ自身による倍音のヴォイス・ドローンのハーモニックなサーキュレーションが覆い尽くし、ライムを多用した可憐なポップヴォーカルを中心に、更にスキャット、アカペラ、ヒューマン・ビート・ボックスがオーヴァーダブされる、"声"を最大限に活かしたもの。


多くの批評が言及し、本人も認めている通り、Björkの"Medúlla"の直接の影響が窺われますが、やや民族回帰的なエスノ・シャントは、寧ろMeredith MonkやSheila Chandraなど、より現代音楽のアヴァンギャルドなオリジネイターによるヴォイス・パフォーミングのそれに近い。然し乍ら、キーボードやピアノ、ギターによる小気味の良いアレンジはまさしくフレンチ・ポップスやボサノヴァのシンプルな清涼感も同時に醸し出しており、電子的に加工されたスキャットやコーラスのサンプリングは、どちらかというとアーティスティックというよりも寧ろ、キッチュな魅力に溢れていて、独特の世界観を堅持しています。

"Rue de Ménilmontant"では、オールド・シャンソンを彷彿とさせる古風な歌唱スタイルを披露、加えてアンティーク・レコード時代の音質を再現してノスタルジーを味合わせてくれる他(アナログのスクラッチ・ノイズがビート様に刻まれる)、パーカッションの仕事が冴え渡る"Assise"や"Au Port"を筆頭に、バンド演奏とプログラミング・エレクトロニクスが前面に出ている部分も、この作品の『新しさ』と言えるでしょう。


タイトルの示す如く、このアルバムは一本の糸に紡がれた物語のように構成されていて、比較的小さな短編曲と、それらを繋ぐ間奏曲的なトラックが交互に連綿と演奏されます。まるで一冊の絵本を読み終えたような、心地(っ´▽`)っ良い読後感が得られる作品。シークレット・トラックの"Femme liberee"は、30分間のドローンの後に、カミーユの独白と妖しい喘ぎ声が挿入されます。


Nolwen / "Légendes Urbaines"

2007-09-13 20:14:14 | music6
Legendes_urbaines


□ Nolwen / "Légendes Urbaines"

L'autre Terre
Dans le même bateau
Deux in itiales

Release Date; 13/07/2007
Label; autoproduit
Cat.No.; none
Format: 1xCD

>> http://www.nolwen.net/
>> http://myspace.com/nolwenmusic


>> tracklisting.

01. Fille de Dana
02. Attends-moi [avec Philippe Mirõ]
03. Entre parenthèses
04. Dans le même bateau
05. Les fonds marins
06. Elle tourne
07. La fiin du reve
08. Etrangère
09. Electricité dans l'air
10. RiverFoyle
11. L'autre Terre [avec aude]
12. ...Le beau temps
13. Du pareil au même
14. Un je t'aime à la mer
15. Deux gouttes d'eau


Single "Attends-moi"

01. Attends-moi
02. Deax in itiales


以前も紹介したフランスのトリップ・ホップ、ethereal-popアーティスト、Nolwenの4th Album。"L'autre Terre"は、かつてDeleriumがプロデュースしたAudeとのデュエット曲です。

Nolwenのエキゾチックで耽美なヴォーカルとケルト・ミュージックに、力強いバンドアレンジを加味したフォーク・ロック基調ですが、シンセサイザーを駆使したドープなエレクトロビートやエフェクトが、全編を闇に沈んだ神秘的なチルアウト・ムードに包んでいます。

壮大なストリングスに暗く濁ったアトモスフィアやブレイクビーツが絡む様は、さながらジャケットのオカルティックな雰囲気を助長しているものの、"Fille de Dana"や"Dans le même bateau"のように、ケルト・ロックバンドの先人達に追随するような熱いリールが聴かれる曲もあれば、インタールード的に挟まれる純フォークロア調の演奏も耳に心地良い。男性ヴォーカル、Philippe Mirõとのデュエット・シャンソン"Attends-moi"は一本尖った聴き応えのある作品。インストゥルメンタル曲"...Le Beau Temps"は、ギターとバグパイプの明朗なメロディの導入から、大地を轟かせるドラムの挿入を経て、空に突き抜けていくように高揚していく様が涙を誘います。

クールなNolwenのヴォーカルは時折狂気を帯びたように張上げられ、また時には野性的に民族調のシャントを装いながら、オーヴァーダブによってコーラスとして重ねられ、アルバムに奥深さとドラマ性を演出しています。そして孤独な世界観を奏でるAudeとのデュエット曲、" L'autre Terre"では、闇の中で向き合う鏡像のようにお互いのヴォーカルをかけあう形式を採り、ピアノやヴィヴラフォン、ヴァイオリンの暗鬱な響きにアルバム中最も手の込んだエレクトロ・ダブが施され、異彩を放つ。


"Légendes Urbaines"は自主制作CDという形で、現在は公式サイトからしか購入することが出来ません。(アルバム未収録曲"Deux in itiales"を収録したシングル、"Attends-moi"がセットされます。)レビューにあたっては、lens, align.関西特派員である、なつみるく女史によって提供された音源を基にしました。彼女のフレンチポップスに対する情熱には敬服いたします。huge thanks!!風送ってもいいぜ。続いてはCamilleをレビュー予定。