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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Solarstone presents Solaris International / "Electronic Architecture"

2009-06-13 17:08:32 | music9
Solarea



Solarstone presents Solaris International / "Electronic Architecture"

Black & White (Reconstruction)
Astral Breeze
Peace (Breakfast Remix)
Late Summer Fields (Forerunners Dub)

Release Date; 09/06/2009
Label; Solaris Recordings
Cat. No.; SLRSCDLP006
Format: 2xCDs

>> http://www.solarstone.co.uk/


>> tracklisting.

Disc EA1.
01. Tarrantella - Jigsaw (Reconstruction)
02. Forerunners ?Dragonfly (Ilya Malyuev Remix Reconstruction)
03. Cormac Murphy ?Oversound
04. Filigro - Questinia
05. Katcha - Touched By God (Alucard Remix)
06. Under This - Black & White (Reconstruction)
07. Solarstone & Orkidea - Slowmotion (French Renaissance Mix)
08. Jahawi - Kenya
09. LTN - Outer Limits
10. Harley Soan ?Long Drive Home
11. Edu - Before They Came (Escape Mix)
12. Dave Horne - What Lies Between (Retroid & Original Reconstruction)
13. Winterlight - Mirror (Solarstone Subterranean Mix)


Disc EA2.
01. Reconstructed Intro
02. Leo G - Muttering Retreat
03. Majera - Believe
04. Stan Void - Transience
05. Bot Cipryan - Astral Breeze
06. Saints & Sinners - Peace (Breakfast Remix)
07. Solar Energy - Wanna Feel What You Feel (Instrumental)
08. Haylon - Starfighter (Observer & Heatcliff Remix)
09. Jox - Microbial
10. Solarstone & Alucard - Late Summer Fields (Forerunners Dub)
11. Gary Orvis - Try To Find
12. Souls In Motion ?Sensual Illusion (Reconstruction)
13. Reii - Shocks



Compiled & Mixed by Solarstone (Richard Mowatt).
Design by z3 Design Studio.
Art Deconstruction& website by Ania Stark.
Press & PR by Stark Profiles & PR.
Original Artwork by Richard Simpkins.



</object>



Art + Musik

Insert Blend Glitch. Distort Phaze Delay. Reverb Warp Externalize. Feedback InvertCopy Decon-struct. Mix Filter Mutate.

Solarstone uses the following tools during the construction of this mix.
Cubase 4, Ableton 7, Wavelab 5, Mixed In Key 3, Virus Ti, Virus Atomizer, Waves LinMB, Waves Maxx Bass, Waves SSL, Compression, Mono Mod Delay, UAD EX-1, PSP Nitro, Roland RE-201, Dave Brown Delays, Steinberg Delays, Steinberg Dual Filters, Filter VST, Quantum FX, Prosoniq TIme Factory, Mackie HR824.

EA.
ElectronicArchitecture

FortyFivePercentProgressive.
ThirtyFivePercentTrance.
TenPercentSoft-tech.
FivePercentBreaks.
FivePercentHouse.

OneHundredPercent
Solarstone.




夏!!
Coming Summer 2009ですよ。そりゃ梅雨にも入りますよ。オタマジャクシだって降りたくもなりますよ。しかし!Such a badなジメジメをCoolなBreezeでblow awayしてくれるイカしたミュージックがコレ!我らがクラブヒーロー、SolarstoneのBrand New DJ Mix!!Electronic Architecture!!!



Deep Blue RecordsからSolaris Recordingsに移籍したRich Mowattが立ち上げたRadio Show、"Solaris International"のコンセプト・アルバムと言っても良い"Electronic Architecture"(以下、"EA")は、決して一過性の流行曲に留まらない、21世紀に遺す新たなミュージック・リソースとして、どの音源も等しくリスペクトされるに相応しいMixを意識されたそう。



Tranceはもちろん、Progressive House、Deep HouseやSoft-tech、Breaksに至るまで、縦横無尽にジャンルを行き来しながら、『一つの音楽作品』として纏め上げられた"EA"のバックボーンには、この10年来、Solarstone自身がクラブシーンにおいて牽引してきた音楽性の変遷と、大きな影響力が垣間見えるようです。


キラキラしたシンセのウワモノに、シズルをたっぷり効かせた涼感豊かなアトモスフィア、民族音楽などを用いた、エスノ・ニューエイジ風のサウンド・ディレクション。

今でこそありふれた手法であるものの、黎明期のトランス・シーンから率先して導入していたのがSolarstoneであったことを考えると、"EA"に同様の楽曲が多く引用されているのも、何処かRichの回顧的な自負みたいなものが窺えるようでもあり、彼のブレないスタンスを見るようでもあり...



今作のテーマとして、もう一つの大きな柱となっているのが、"Art"。噛み砕いて言えば『ジャケ買い』について掘り下げて考えられていること。

スリーブに序文を寄せているTim Stark(DJ兼Designer。DJ Magazineのレビュアーであり、Solarstoneとは長年懇意の仲)は、Rich本人とAnia Starkとの共同でアルバム・アートワークを手掛けた経緯について触れていますが、その中で、80年代に青春期を過ごした自身や、他の熱狂的なレコード・コレクターたちが如何に「レコード・ジャケット」を重視するかについて、興味深い考察を述べています。音楽と芸術の親和性に関して言えば、『それはイタリアン・バロックの時代から普遍なものだ』とも。


楽曲のダウンロードが定着した現在、CDジャケット等に変わる『楽曲のイメージ』はどうあるべきか?Timは更に踏み込んで、"Northern Exposure"や"Renaissance"など、クラブ・ミュージック史に残る名だたるミックス・コンピレーションを例に挙げ、それらからリスナーが支持するアーティストをピックアップ、他者にSingleを薦めるという一連のメカニズムの貢献があったことを振り返っています。



"EA"のGraphic Artは、楽曲に従って動的に"De-Construct"されるアブストラクトなイメージであるものの、シンプルかつ秩序的な平衡を保っていて、バラエティ豊かな収録曲のタペストリーに統一感を齎しています。


燦々と降り注ぐ光の中を吹き抜ける水沫のような爽やかなアルバム。ヴォーカル・トラックが一つも無いのが却って聴きやすく、ドライブで気分をアップリフトしたい時にも、あるいは火照りをクールダウンしたい時にも聴けるでしょう。しばらく手放せない一枚になりそうです。


700 miles far away.

2009-06-09 20:23:32 | music9
Road
(IXY DIGITAL 1000; ISO Auto; AWB; Evaluative: iPhoto.)



□ Robin Guthrie / "Continental"

Amphora



□ A Northern Chorus / "Bitter Hands Resign"

The Shepherd & the Chauffeur




700!

当ブログも今回を持ちまして、遂に700件目の記事になりました。
削除した記事もあるので、書いたエントリーの総数は
微妙に異なるのですが...。

ここまで辿り着けたのも、一重にみなさまのご支援のおかげです。
本当にありがとうございました。

なかなかコメントも返せていない状況ですが、
私としては一歩一歩を力の限り踏みしめつつ、
日々の更新に力を注いで行き、たい、、
行け、、、たらいいな☆と思ってます。





日ごと夜ごと、こんなに暗くて茫漠とした道を
もう一歩だって進めないと嘆きながら
葉陰に虫の音を聞き分けるように、
暮れ果てた空に光を求めるように、
今までも、ずっとこれからも、
もうひとかけらばかりの、あの遠ざかる声を、
消えるその面影を、ただ留めていたいだけ。
それだけで私は救われる。


・・・なんだか疲れてるみたいで(笑


Trentemøller / "Harbour Boat Trips 01: Copenhagen"

2009-06-05 18:58:51 | music9
Copenhagen


□ Trentemøller / "Harbour Boat Trips 01: Copenhagen"

I Turn My Face To The Forest Floor
Devil’s Water
Melody Day (Four Tet Remix)
The Copenhagen Experience #1 / Tained Love

Release Date; 20/05/2009
Label; hfn music
Cat.No.; hfn01cd
Format: 1xCD

>> http://www.hfn-music.com/ (Samples)
>> http://www.anderstrentemoller.com/


>> tracklisting.

01. Grouper: Heavy Water/I’d Rather Be Sleeping
02. Gravenhurst: I Turn My Face To The Forest Floor
03. Emiliana Torrini: Lifesaver
04. I Got You On Tape: Somersault
05. Beach House: Gila
06. The Brian Jonestown Massacre: Anenome
07. The Raveonettes: Aly, Walk With Me (Nic Endo Remix)
08. The Hypothetical Prophets (Proroky): Back To The Burner
09. Suicide: Cheree
10. Muscleheads: Phosphorescence
11. David Garcet: Confidence (New Wave Remix)
12. Rennie Foster: Devil’s Water
13. Caribou: Melody Day (Four Tet Remix)
14. The Raveonettes / Trentemøller: She’s Lost Control
15. A Place To Bury Strangers: I Know I’ll See You
16. Suicide: Ghost Rider
17. Khan: Fantômes
18. Trentemøller: Vamp (Live Edit)
19. Two Lone Swordsmen: Kamanda’s Response
20. Copenhagen Collective: The Copenhagen Experience #1 (Trentemøller Edit)
21. Soft Cell: Tainted Love



デンマーク・エレクトロニカシーンの新星、Anders Trentemøllerがデビュー以来初めて手掛けるDJ Mix Compilation。Poker Fat傘下の新進レーベル、hfn musicの立ち上がりにあたって、ミックス・シリーズ『Harbour Boat Trips』の第一弾リミキサーとして起用されました。


2006年にリリースされたTrentemøllerのスマッシュ・ヒットアルバム、"The Last Resort"はヨーロッパで7万枚のセールスを記録、音楽各誌の大絶賛と受賞を受け、一躍トップ・クリエイターの仲間入りを果たし、今年に入ってはDepeche ModeのRemixerにも抜擢されました。


『北欧エレクトロニカ』など、何かと鳴り物入りに喧伝される"The Last Resort"の作風は、私にとってはどうにも耳触りが心地良過ぎて、逆に狐につままれたような、気を許せないような...と、何となく素直に聴くことが出来なかったのですが、今回、Trentemøllerのインスピレーションのルーツを垣間見せるという、このコンピレーションを聴いて、「あぁ、なるほどな。」と、一気に溜飲が下がったような思いがしました。



今作に収録されているのは、ネオフォークやポストロック、パンクを筆頭に、彼が日常の様々なシーンで愛聴しているという幅広いジャンルの楽曲たちを、自身の得意とするミニマリスティックなシンセ・サウンドやハウスビートに滲ませた、湿っぽくも尖りのある、錆色の哀愁に溢れた内容。

"The Last Resort"や、自身のRemix集である"The Trentemoller Chronicles"で見せたエレクトロ・テクノな響きよりも、どこか60-70年代のバンドサウンドに通じるような、アコースティックな音色が主張している曲が大半を占めています。


一曲目を飾るGrouperの"Heavy Wataer"は、アルバムの冒頭から北欧の透明な空気を吹き込むボーカルトラックですが、実はアメリカのオレゴン発信のユニット。この曲に限らず、他の収録曲の出自は北欧勢に限らずUK、アメリカの音源が意外と多いです。

面白いのは、1970年代に活動したシンセ・パンクデュオ、Suicideから二曲を取り上げ、アルバム全体のカラーに馴染ませていること。アルバムのトリを務めるSoft Cellは、Suicideに大きく影響を受けたバンドだし、Trentemøllerの同郷デンマークのロック・デュオ、The Raveonettesがここでカヴァーしてる"She’s Lost Control"を書いたJoy Divisionも、彼らの作風を色濃く継いだフォロワーとされています。



"Copenhagen"の全体色に関しては、19曲目の"Two Lone Swordsmen"のフィーチャーも興味深いものがあります。TLSのAndrew Weatherallは1980年代からクラブシーンにおいてロックとテクノの融合を試みた第一人者であり、あのPrimary Screamを輩出したプロデューサーで、裏舞台の実力者として余りにも有名。"Copenhagen"におけるポストロック、テクノとの折衷的なコンセプトのオリジンが、そこに集約されているとも思えます。


アルバム中で強烈なアクセントとなっているCaribou(a.k.a. Manitoba)の"Melody Day"は、70年代グループサウンズに通じるレトロなサイケロック様式。序盤で妖精の如く澄んだ存在感を見せつけるEmiliana Torriniの"Lifesaver"は、港に浮かぶボートの軋みが効果的に使われた、漂うようなトリップホップで、"Copenhagen"のテーマカラーを固着させる作品の一つと言えるでしょう。



他にもジャンル問わず様々な楽曲が彩り豊かに配されていますが、作品全体を俯瞰して受ける印象は、それぞれの楽曲がアクのある歌謡曲の体を成しているにも関わらず、まるでアンビエントみたいに溶け込んで聴こえるということ。何時か何処かで微睡みながら、或は白昼夢の中で耳にしていた「ふすま越しの歌の輪郭」の朧さが心地良い、そんな情緒が感じられます。


James Blackshaw / "The Glass Bead Game"

2009-05-30 11:28:35 | music9
Tgbg



□ James Blackshaw / "The Glass Bead Game"

Cross

Release Date; 26/05/2009
Label; Young God Records
Cat.No.; YG40
Format: 1xCD

>> credit.

Tgbg2_2

>> http://www.myspace.com/jamesblackshaw
>> http://younggodrecords.com/


>> tracklisting.

1. Cross
2. Bled
3. Fix
4. Key
5. Arc

James Blackshaw - 12 string guitar, piano & harmonium.
Lavinia Blackwall - vocals
Fran Bury - violin and viola
John Contreras - cello
Joolie Wood - violin, flute and clarinet
Nicole Boitos - artworks >> www.nicoleboitos.com



私がもう少し若かった時、将来なんてものがまだ、箱は愚かチョコ銀紙のクズ程にもまとまって視えていなかった頃。密かに憧れていたのは、一本背負ったギターだけで生を謳歌する根無し草だったりして、でも、とかく煩わしい憂き世の一切合切を振り払い、好い事だけに憂き身を窶す日々を送ることが出来たとして、そんな私が誰に何を歌えるようになるというのだろう。

頃日、年を経る毎に人生とは、敢えて口に出来ない、言葉にならない累々たる感情を背負っていくことなのだと思えてきて、それと同時に自分に「歌」がないことに虚しさを覚えるのです。



Jamesblackshaw


James Blackshawはロンドン出身のナチュラル・ボーン・ギタリスト。私と同い年にして、“12弦アコースティック・ギターのヴィルトゥオーソ”との異名を恣にする天才で、所属していたパンクバンドからの独立以降、世界各国のリスナーの関心と高い評価を急速に集め始めています。


John FaheyやRobbie Basho、Leo Kottkeといった60年代タコマ・レーベルのギター音源をフィンガーピッキングの教本にしたというJamesのタッチは、決して技巧に走らず、あくまで情感に寄り添うように移り変わる繊細な音色に、それを聴く者の心を映したかのようなカレイドスコープ。或は漆黒の夜空に瞬く満点の星々、風にさんざめく夥しい野の草花。

彼の弾く一弦一弦の響きは、私の心の中にある琴線の一つ一つから零れる「歌」であり、そこでは生きることの嬉き憂いの全てが渾然一体となり複雑なハーモニーを奏でられているようで、落涙を禁じえません。



また、アルバート・アイラーからシュニトケ、ペルトやメシアンに至るまで、近現代の作曲家に傾倒する彼らしく、今作ではより室内楽風のクラシカルなアレンジに拘った独特の作風を確立しています。

プロ声楽家のLavinia Blackwallを迎えた"Cross"の後半では、交互にうねりを繰り返すストリングスとギターが耽美なヴォカリーズにバッキングして、何処かルネンサス風ともバロック風とも思わせる佇まいを漂わせています。


暗愁に耽りながらも、一歩一歩を強く踏み出すような転調に救われる"Bled"の多彩な音色の重なりにも心揺さぶられるものがあります。



アルバムタイトルは、ヘルマン・ヘッセの巨作『ガラス玉遊戯』に因んだもの。精神世界と芸術とのハーモナイズ、それらに対して現実として押し寄せる社会問題や環境変化との軋轢を描いたテーマは、この作品を聴く私自身に向けられた寓意なのか、それとも物語の主人公と同じく『演戯名人』たる天才が自身に課したテーゼなのか...


天使と悪魔 (Angels & Demons)

2009-05-18 18:05:59 | music9
Angeldemon


>> http://angel-demon.jp/


□ Angels & Demons

♪ <script type="text/javascript" src="http://mediaplayer.yahoo.com/js"></script>God Particle
Black Smoke

Release Date: 15/05/2009 (World)
Director: Ron Howard
Screenplay: David Koepp / Akiva Goldsman
Novel: Dan Brown
Music: Hans Zimmer

Tom Hanks / Ayelet Zurer / Ewan McGregor


A shining star at the end of the Path of Illimination.
?????“啓示の道”の終わりには星が輝く


あらすじ:
ローマ教皇の逝去にともない、新教皇選挙(コンクラーベ)まで空位の期間に鎖されたヴァチカン。全世界10億のカトリック教徒の指導者として有力とされていた4人の枢機卿が拉致され、かつて教会によって歴史の闇に葬られた秘密結社・イルミナティからの犯行声明文が示される。

一方、スイス・ジュネーヴのCERN(欧州原子核研究機構)は陽子加速器の衝突実験により、宇宙創造の源とされ『神の素粒子』とも呼ばれる反物質(Anti-matter)の生成に成功。しかし直後、何者かによって研究所から盗み出されるという事件に遭遇していた。




天使「ネタバレはお止しなさい。」
悪魔「おいおい、それじゃ言いたいことも言えない。」
天使「そんな世の中なのよ。」
悪魔「YOUネタバレしちゃいなよ。原作付きだし大丈夫。」
天使「ダメーッ!映画では脚色されてるし、読んでない人がうっかり...」
悪魔「ユアンが何故あの役で出演してるかってのがミソ。」
天使「そうそう、泣かせるのよね~。でもあのラストは慈悲なのかも。」
悪魔「そこまで言うとは思わなかった。。。」



ネタバレは極力なしの方向で(笑)

かのガリレオ・ガリレイが、ラファエロやベルニーニの彫刻・美術品に秘めたとされる「コード」を追って、ローマとヴァチカンの秘所名所を縦横無尽に駆け巡り事件を解明していくという内容。コンセプトとしては、夜9時台の「湯けむり旅情サスペンス」とかなり通じるものがあります。


宗教史のゴシップをセンセーショナルに煽った「ダ・ヴィンチ・コード」とは全くベクトルの異なる作品で、科学ネタは勿論、テーマの核となる歴史的事実にまで大胆な創作とハッタリを織り交ぜたエンターテイメント作品。

ですが、蘊蓄と伏線の緻密さとは裏腹に、ミステリーそのものの出来としてはかなりかなりザックリ感のある大味な印象を受けました。「天使像が指差してる方向だ!!」って真顔で言われても。。とか言いながら、結構ときめきながら楽しめてしまいました。科学ネタにしろ宗教にしろ美術史にしろ、深く考えないほうがロマンを感じられますね。


最初に推理ミスを冒して、事件に関わる重要な情報を観光ガイドに質問する件は人間臭くて面白いですね。それで「歴史を勉強しろ」と釘刺したスイス衛兵隊長に皮肉を返されるのが最高です。



宗教象徴学者のラングドン教授が作品内で三面六臂の活躍が演じられるのは、逆に宗教を基にしたパラダイムというものが、科学に負けず劣らず極めて体系的で完成度の高いシンタックスを構築していることの裏付けであり、そこにはあらゆる宗教文化が長い歴史とともに育み、現代文明そのものを大きく支える豊穣な精神世界と芸術の圧倒的ダイナミクスに溢れているのです。



カメルレンゴ(前教皇侍従)役のユアン・マクレガーは、本作品の主人公としても申し分のない存在感。原作ファンからは消化不良の声があがっている、彼の強い信仰心の理由も、私としては「戦場で死地に赴いたことがある」という説明で十分に感じられました。

大選皇枢機卿を演じたアーミン・ミューラー=スタールは、どこか影を背負った人物を演じさせたら右に出るものはいないだろうし、トム・ハンクスはどんな役をやってもトム・ハンクスだし、もうキャスティングは他に選択肢が考えられない程はまってますね。


ちなみに、映画と原作シリーズでは時系列が逆になっています。「天使と悪魔」のラングドン教授は「ダ・ヴィンチ・コード」を経過して「キリスト教の真実を心に忍ばせている人物」として教会との確執も描かれており、今作においては、それが却って脚本により深い含蓄を持たせていると言えるでしょう。



さて、劇中では半ば無理矢理こじつけられた感のある時限装置としてのマクガフィン、『反物質』の虚実については敢えて触れませんが、この作品では、それが『反物質』でなければならない寓意上の理由があります。

物理学者とともに読む「天使と悪魔」の虚と実 50のポイント
http://nucl.phys.s.u-tokyo.ac.jp/hayano/angles_and_demons_fact_vs_fiction/FACT.html



物質と作用してエネルギーに変化・消失する反物質は、言うまでもなく、この作品上で相対関係にある概念「宗教と科学」の対比的象徴となっています。私だけではなく、今では多くの人が「宗教と科学」は必ずしも対立するものではないと考えているかもしれませんが、この現代においても、技術や生活基盤において、「科学の適用」がキリスト教圏では未だに切実な問題となっているという事実については、ここでわざわざおさらいする必要も無いでしょう。



「崇拝」とは疑わぬ心であり、「科学」とは疑いから始まるもの。しかし言い換えれば、「崇拝」は信心を問われるものであり、「科学」は知の体系を受け入れることに始まる。互いの内包する相克は、実は各々が解決しなければならない深刻な問題を抱え込んでいて、本作の結末においては、これについてのある種の昇華が図られます。


奇蹟と思いやりを説き、人々の心を結びつけるのが教会の役割なら、その点において科学は、彼らの存在理由を脅かさずにはいられない。しかし宗教であれ科学であれ、これを行使する「人の心」によって、其の力は天使の御業にも、悪魔の所業にもなりうるのです。



クライマックスでのエネルギー爆発は、まるで宗教画を見るような法悦に満ちていて、それが実は科学的啓示を目にしたときの感覚と非常に似通っていることに気付く。その宇宙創造の光の中、天上の雲の合間から飛来した「彼」が、一体何者であったのか。もしかしたら太古の人々は、この光景を予見して宗教的啓示を得たのかもしれないとすら考えてしまいます。

あるいは、世界を記述する反陽子を含めた、あらゆるエネルギーの決定論的動態が、いわば「アンビグラム的に」今回のような宗教と科学の交錯する舞台装置での人間の振る舞いを巻き起こしていたとしたら、そしてだからこそ、この物語が世界中の人々を惹き付けてやまないのだとしたら...そこに何か意味を求めずにはいられません。


また、原作者であるダン・ブラウン自身が、世に聞く数多の陰謀説についての否定的な見解を示しているようにも伺えるのです。私たちの世界はもっと複雑で、ちょうど反物質が物質と対消滅して烏有に帰すように、特殊な偏向性を伴った思想はいずれ社会に霧散して力学を失うのではないかと。そんな陰謀すら弄ぶほどに物事を強く突き動かすのは、他ならぬ人それぞれの「想い」であり、「願い」であると。



そんなわけで、多くの点で拍子抜けであり、同時に多くの点で想像を超えていた史跡サスペンス「天使と悪魔」。概ね満足出来ましたが、欲を言えば、科学と宗教芸術を絡めた、もっと緻密に構成されたミステリーが観たかった!というのが本音。。今度はケプラーとパレストリーナで「天球の音階」なんてどうでしょうか。

9月に刊行予定のラングドン・シリーズ最新作"The Lost Symbol"の映画化も既に決定しているようです。




Aandd

□ Hans Zimmer / "Angels & Demons" Original Score Soundtrack


"The Da Vinci Code"のスコアは、間違いなくハンス・ジマーの最高傑作の一つでした。「天使と悪魔」では、最近のJames Newton Howardとの仕事で聴かれたBass偏重の実験音響や、"160 BPM"に代表される新機軸で、ミニマル調の混声合唱による劇的なアクション・スコアを展開しているものの、基本は前作のモチーフのアレンジや焼き直しが大半を占めていていて、音楽的啓示には物足りない印象。


とはいっても、ユダヤ系のヴァイオリニストJoshua Bellの静謐なソロは、まさしく天上のものと聴き紛う至高の響きに満ちているし、迫力の合唱スコアは大地を揺るがすほどに響き渡り、以前までしつこいほど聴かれたワーグナー・コンプレックスもさほど目立っていません。ただ、「パルジファル」を模したようなメイン・モチーフは、テーマ的にも前作までに留めておくべきだったと思うのですが。。


Steve Roach / "Dynamic Stillness"

2009-05-10 09:44:50 | music9
Dynamicstillness



□ Steve Roach / "Dynamic Stillness"

Long Tide

Release Date; 05/05/2009
Label; projekt
Cat.No.; PRO00228
Format: 2xCDs

>> http://steveroach.com

>> tracklisting.

Disc -1.
01. Birth of Still Places   40:28
02. Long Tide        19:41
03. A Darker Light      7:34
04. Opening Sky      5:06


Disc-2.
01. Nature of Things    8:50
02. Further Inside     16:58
03. Slowly Revealed   23:55
04. Canyon Stillness   23:17




世界で最も知られたAmbient Composerの一人であり、80年代から現在までのNew Age、Meditate Music、サウンドスケープというジャンルにおいてある種の定向性を示し続けてきた巨匠、スティーブ・ローチの最新アルバム。


"Sonic Space"と形容される彼の音楽は、その音響圏にアモルファスかつダイナミックなシズルを構築した『どこまでも透明な澱み』であり、不可視な既視感を生々しく喚起するような不条理で幻想的なサウンドでありながら、何処か言いようの無いリアリティを纏って押し寄せてくるようです。


Anti-Melody、Non-Beatのノイズ・ドローンである"Dynamic Stillness"はその実、long periodの回帰的なリズムサイクルによって支配され、この上なく「音楽的」に感じられる。一様に聴き取られるフェーズは、うねる波のようなバックグラウンドに絡めとられ緩やかに変幻しているが、俯瞰すれば秩序的なパターンを描き出す。

特に"Birth of Still Places"をはじめ、今作のメインフレームとも捉えられる電子音の周期的なウェーブは、最後の"Canyon Stillness"において、無窮の深淵を吹き渡る風の轟鳴に成り代わり、同様のリズムで幾度となく暗転を繰り返しています。



Dynamic Stillness...大いなる力によって動かざる静穏

自己と非自己、意識と無意識、動的な非動性。
私たちは自身を取り巻く外宇宙についてと等しく、自己の内面という名状の及ばないダイナミクスを伏拝するばかりであり、其の揺らぎの狭間にある境界こそが自我であると認識している。暗翳に蠢いて這いずるような響きは、まさにそのような存在である自意識と環境とがコンフリクトしている様の「写し」のようでもあります。

無限に続くかと思われるような音の反復は、果てのない茫漠を彷徨し明滅する意識の儚さを露呈すると同時に、「音楽」を為すものが、如何様に時間構築によって空間を意識させるかということを四次元的に体現しているものかもしれません。



同じニューエイジ・アンビエント界隈で双璧を為すRobert Richは、どちらかというと一曲一曲の「楽曲性」を重視しているのに対して、ローチの方法論はよりスピリチュアルで、フラットなスタイルが評価されているようです。


センス・オブ・ワンダーと認知的リアリティ、
そして形而上学との感覚的な重層領域。


私がローチの音楽に傾倒する理由は何よりも、彼の筆致がこの現代において、他のあらゆる音楽書法よりも豊穣な詩的感覚に満ちていると感じられるからに他なりません。いわゆる「タイムレスな音楽」とは評価されても、実際には非常に、この時代性と相まって感受できるインスピレーションが大きいのです。