ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

ミートソース

2009年05月01日 | パスタの話

Photo 寅さんが柴又に帰ってきて飲み屋に出かける先は上野の地下街だったようだ。昔は浮浪者がたむろするところでもあった。とても衛生的とは云えない飲食店が並んでいる。ここは、寅さんたちのような庶民が集まる繁華街であった。
叔母に連れられてこの上野の地下街にある店でスパゲッティを食べた。これが生まれて初めてクアトロの父が食べたスパゲッティだと思う。隣の店では、寅さんのような人が飲んだくれていたような光景が浮かぶ。それはもう半世紀近く昔のことだ。
フォークに絡ませて食べるスパゲッティというものは、それはそれはハイカラなものに思えた。上手にフォークでスパゲッティを食べられたねと褒められて嬉しかった。当時のスパゲッティはミートソースとナポリタンしかない。どちらも、食べ終わると口の周りが真っ赤になったものだ。
時代が移り子供までが美食の時代となっている。ミートソースは子供用のメニューと心得ているクアトロの父の年代だが、クアトロを訪れる子供はミートソースに執着しない子供も多い。パルミジャーノのパスタがいいとかカルボナーラが好物だとか云う子供が多い。それでも、まだまだミートソースは子供がスパゲッティに馴染む入口ではあるようだ。
ゴールデン・ウィークもまっただ中になる今日、クアトロはミートソースを切らしてしまった。家族連れの多いゴールデンウィークにミートソースがありませんという訳にもいかずあわてて仕込みに入る。
クアトロのミートソースは丸一日肉を赤ワインで煮込まなくては完成しない。すると、調理用のワインを切らしていることに気づく。そこで、飲み頃を過ぎた1985年のボルドーワインをミートソースに使うという暴挙に出たクアトロである。
きっと子供達はつぶやくだろう、
「お母ちゃん、クアトロのミートソースはやっぱりひと味違うね」

コメント
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