愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

奈良市古市町 南古市墓地の石仏

2012年06月10日 | 石仏:奈良

前回紹介の念仏寺より南へ約500m 、田圃の中に有る南古市墓地の石仏です。

大きな樹と簡素な斎場、墓碑の建ち並ぶ大きな古い郷墓だったのだろう・・・。

墓地の中央辺りに斎場の蔽屋があり、中央には余り見慣れない自然石の棺台、切石を組んだだけの供台・・・・、その前じゃなく傍ら、死者に手を合わす様に立つ一体の石仏が有る。

通常なら来迎印阿弥陀が居るべきなのだろうが・・・、細長いとがった舟形光背を背負う細身の石仏が立っている。

高さ約150cm、像高120cm程だろうか、中肉彫り、頭上は如来を表す肉髻(にっけい)を持つが両手は合掌している。

 

所謂合掌如来と呼ばれ、一般的には滅多にお目に掛からない特殊な石仏ですが、全体的に単純化が進み、風化磨耗が進んだせいも有ろうが?顔容にまるで生気が感じられない。

足許以下が土に埋まり、その上無銘のため像立年代は不明。

一方、墓地入り口の覆屋には像容の整った地蔵石仏が在り目を惹く。

高さ140cm の舟形光背を持ち、形式化した体躯衣文ながら顔容も良く、光背面に残された紀年銘から天文7年(1538)室町後期の像立。

元々墓地にあったものではなく、近くの辻堂にでも安置されていたものではないだろうか??

永年の薫香で黒く煤けて信仰の篤さが窺える地蔵石仏です。

撮影2011.7.5