愛しきものたち

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天理市 花園寺(けおんじ)の石仏

2012年06月27日 | 石仏:奈良

形の良い阿弥陀板碑石仏が天理市街の旧街道沿いの花園寺に有る。

天理市は言わずと知れた天理教本部の有る宗教都市、しかし古くは「大和まほろば」とも言われ、古い文化財も天理教の影に隠れるようにして多く残されている。

花園寺は所謂古代官道「中ッ道」脇に建つ浄土宗の寺院ですが境内には多くの石造物が残され、中でもこの阿弥陀板碑は秀逸です。

山門を入ってすぐ左手、一寸無粋なコンクリートブロックを背に、2~3の石造仏と共に建っていて一寸気の毒。

阿弥陀石仏板碑は井戸城主 井戸若狭守良弘と父 覚弘の供養碑で、高さ約1.5mの舟形板碑中央に中肉彫の阿弥陀立像を刻み出し、頂部には阿弥陀の種子「キリーク」刻み、形の良い蓮華座のうえに立つ。

像高60cm、来迎印を結び穏やかな顔で立つが、体躯全体的に形式化の進んだ室町後期、天文二十二年(1553)の造立。

向かい側にはまだ新しい六地蔵堂が在り後列には・・・

多くの地蔵石仏と共に一寸珍しい舟形の六地蔵板碑が並び立っている。

高さ約115cmの舟形板碑上部に、像高30cmにも満たない地蔵立像を三体づつ二段に刻みだした所謂一石六体地蔵です。

天文九年(1540)の銘が有り室町後期の造立。

境内墓地に見るべき小石仏も多く二列三段の一石六地蔵も有ったり・・・・。

それより何より僕の目を引いたのは、懐かしい面影を残す近くの辻堂に有った、小さな石仏。

向かって左端、堂内では一番大きな石仏の涎掛けを外して見ると・・・・、こんなん出て来ましたあ~~~。

赤っぽい凝灰岩だろうか、自然石の表面に方形枠を彫沈め、弥陀定印の結跏趺坐する阿弥陀坐像を刻み出す。

阿弥陀三尊なのか?顔の両脇には判別のつかない程小さな石仏。

中尊の阿弥陀は像高40cmばかりと小さいながら漲る力強さ表し、鎌倉期の石仏を彷彿とさせる。

古い道筋には古い石仏さん。

撮影2011.5.21