愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

奈良市四条大路 尼ヶ辻地蔵石仏

2012年06月05日 | 石仏:奈良

地蔵石仏も此処まで来ると気安く地蔵さんとは呼べないような気がします・・・・、さしずめ地蔵菩薩立像石仏様々、とでも呼ばなければ・・・・・、そんな畏怖感にも似た迫力さえ感じます。

顔つきは穏やかなのですがどこか奥の深いアルカイックスマイルに似た穏やかな笑みがこぼれています。

奈良大阪間を最短で結ぶ、第二阪奈道路の出入り口に程近い四条大路五丁目、後ろに見える看板のディスカウントショップ駐車場脇に新しい地蔵堂が在り、この地蔵石仏が祀られている。

「縁切り地蔵」とも呼ばれ、尼寺に入る女人はこの地蔵に仏門との結縁を誓い、俗世との縁を切ったと言われている。

黒色硬質石材に円頭光を負い蓮華座に立つ総高2.1m、像高1.7mの厚肉彫り地蔵菩薩立像で、右手に錫杖を持たず膝まで垂らして余願印を示す古式地蔵。

鎌倉時代中期の文永二年(1265)の紀銘を持ち、鎌倉期石仏の気迫が窺え、奈良市指定文化財に登録されている。

涎掛けを外すと像身が襷掛けに折損し、体躯にも傷痕が残っている。

体躯衣文部分の彫などは木彫のように滑らかで美しく、全身に神経の行き届いた丁寧な彫りです。

涎掛けの部分は幾分薄いが、特に顔などは薫香のためかすっかり黒光するほど・・・・鼻先は少し欠け手いるがそのアルカイックな尊顔は見飽かせない力を持っている。

やっぱり良いものはそれだけの力を備え持っている。 

撮影2011.7.5