奈良県最東端、伊勢本街道の通る御杖村、名張川の源流域、神末の墓地に断裂して落ちた磨崖の石仏が有る。
誰が悪戯したのか?マジックペンで眉毛と目が書き足され、すっかり台無しですが・・・。
旧伊勢本街道に付かず離れず、沿うようにして走る国道369号線、御杖神社を少し奥に詰めた源流域の小さな山里の墓地。
この墓地もすっかり整備され新しい墓石が林立、すっかり風情は損なわれていますが・・・・・。
墓地脇の斜面、大きな杉の根元に簡素なお堂が設えられ、「腰折れ地蔵」と呼ばれる断裂して胸から下を無くしてしまった地蔵石仏が安置されて居る。
今は堂の前で切り株になって朽ち果てて居る大杉だろうか??背後の岩に倒壊し、そこに刻まれていた磨崖石仏を打ち砕いてしまったようです。
石仏は上半身が確認できるだけの定形地蔵立像、力強く引き締まった顔つきに見えるが?何とも眉目の落書きが邪魔をしている。
こんな輩が居るもんだから、多くの石仏が堂の奥深く鍵を掛けられ、隔離されてしまう・・・・。
六個の断片ながら、舟形に沈めた中、円頭光を負う半肉彫りの等身大・・・、延元三年(1338)の銘が確認され、鎌倉期の影響が色濃い南北朝初期の造立。
補強された背後の岩面には裳裾と両足、蓮台の一部が残って居る。
上半身の許へ行くでもなく、主が離れてしまった足は、蝉の抜け殻以上に虚し過ぎる。
撮影2011.7.17