子どもの生徒を教える時、たくさんの教材があり過ぎて迷ってしまうこともありますが、最近は優れた教材がたくさん出ていて嬉しい時代ですね。私の頃は、何が何でもメトードローズとバイエルだったような気がします。
導入期の最初の最初は、音符読みが主になるとしても、それを過ぎた頃から、私の教室ではポリフォニーの音楽も早めに取り入れるようにしています。わたしたちが最初に耳にする音楽は母親の子守歌ではないでしょうか。これは無伴奏で単旋律の音楽です。そして幼稚園や学校で習う音楽は単旋律に伴奏をつけた音楽が中心です。もちろんテレビやラジオではありとあらゆる音楽が流れていますが、西洋の教会で合唱隊の歌う多声の音楽を身近に幼い頃から耳にするという機会は日本では比較的少ないように思います。そのせいか、生徒によってはポリフォニーの音楽にとっつきにくさを感じるお子さんが少なくありません。
それぞれの声部が独立して横に流れつつ、調和を保って一つの音楽となるポリフォニー音楽。実は、私自身も初めてインヴェンションに取り組んだとき、なんだかそれまでとはずい分違うなあ、と子ども心に違和感を持ったことを覚えています。「これって右と左を頭の中で別々にしなきゃいけないんだ。こんがらがっちゃう!」それでも母親がバッハ大好きで私がそれを練習しているととても関心を持ってくれたのが嬉しくて、一生懸命練習しました。でも、それまで右手がメロディで、左手が伴奏という古典派的な教材ばかりに慣れ親しんでいたので、ひたすら片手練習を繰り返すことになりました。
ポリフォニーが苦手という生徒の大半は、弾き始めの段階から右だけあるいはソプラノだけ聴いていて、右だけに注意が片寄っています。頭の中でごく自然に、メロディーと伴奏に分解してしまうのですね。その結果右だけ上手になっていく。一方、左手もしくはソプラノ以外の声はよく聴かずに伴奏化してしまうのです。そこで徹底的にソプラノ以外の声部や左手の練習を繰り返すということが必要となります。その片手練習まではいいとして、さてそれを総合的に横にそれぞれの旋律を流しながらまとめると言うことが難しいです。それまで順調に上達してきた生徒でもあり得ることです。上手か下手かというような問題ではなく、ポリフォニーに接する機会が遅ければ遅いほどこの違和感は大きくなるし、それに慣れるまでに時間と手間がかかってしまうようです。
ソプラノ以外の声も独立してきちんと聴き分ける、そして弾き分ける(歌い分ける)。そうしてなおかつフレーズや全体をひとつの音楽の流れにまとめる。頭の中で分化して整理整頓する、これが大事です。大変なようですが要は慣れです。だから早めにスタートするに越したことはありません。この点、昔と違って今は、いきなりバッハのインヴェンション(私のように)というのではなくて、その前に小さな時から上手く付き合えるポリフォニーの初心者用教材がたくさんあるので恵まれていると思います。それらを子どもの進み具合や取り組み方などを見て決めていき、どの生徒にもポリフォニーに早くから親しんでもらおうと思っています。
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それぞれの声部が独立して横に流れつつ、調和を保って一つの音楽となるポリフォニー音楽。実は、私自身も初めてインヴェンションに取り組んだとき、なんだかそれまでとはずい分違うなあ、と子ども心に違和感を持ったことを覚えています。「これって右と左を頭の中で別々にしなきゃいけないんだ。こんがらがっちゃう!」それでも母親がバッハ大好きで私がそれを練習しているととても関心を持ってくれたのが嬉しくて、一生懸命練習しました。でも、それまで右手がメロディで、左手が伴奏という古典派的な教材ばかりに慣れ親しんでいたので、ひたすら片手練習を繰り返すことになりました。
ポリフォニーが苦手という生徒の大半は、弾き始めの段階から右だけあるいはソプラノだけ聴いていて、右だけに注意が片寄っています。頭の中でごく自然に、メロディーと伴奏に分解してしまうのですね。その結果右だけ上手になっていく。一方、左手もしくはソプラノ以外の声はよく聴かずに伴奏化してしまうのです。そこで徹底的にソプラノ以外の声部や左手の練習を繰り返すということが必要となります。その片手練習まではいいとして、さてそれを総合的に横にそれぞれの旋律を流しながらまとめると言うことが難しいです。それまで順調に上達してきた生徒でもあり得ることです。上手か下手かというような問題ではなく、ポリフォニーに接する機会が遅ければ遅いほどこの違和感は大きくなるし、それに慣れるまでに時間と手間がかかってしまうようです。
ソプラノ以外の声も独立してきちんと聴き分ける、そして弾き分ける(歌い分ける)。そうしてなおかつフレーズや全体をひとつの音楽の流れにまとめる。頭の中で分化して整理整頓する、これが大事です。大変なようですが要は慣れです。だから早めにスタートするに越したことはありません。この点、昔と違って今は、いきなりバッハのインヴェンション(私のように)というのではなくて、その前に小さな時から上手く付き合えるポリフォニーの初心者用教材がたくさんあるので恵まれていると思います。それらを子どもの進み具合や取り組み方などを見て決めていき、どの生徒にもポリフォニーに早くから親しんでもらおうと思っています。
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ポリフォニックな曲が好きそうな生徒に、バロックの小品集をたくさん与えたところ、上達して、二声のインベンションも、順調に進んだという事例がありました。
その生徒は、小さい頃からポリフォニーが好きだったので、あまり苦労はなかったのですが、大抵の子は、複旋律を聞き取ることは、難しいかと。
だから、先生のおっしゃるように、早期に取り入れることは大切だなあ、と改めて思いました。