ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

音楽で自分を開放する

2017年02月25日 | レッスンメモ
教室の生徒さんたちはどちらかというと口数が少なくて、素直でおとなしいタイプの子が多いようです。もちろん私が知っているのは教室でピアノのレッスンを受けているときの様子だけなので、学校や家庭での様子はわかりません。教室ではいつもおとなしい子が、学校やおうちではものすごい元気者だと聞かされて、驚いたこともあります。反対に、いつもはおとなしい感じなのだけど、ピアノに向かうと別人のように、ためらうことなく思い切って音楽を表現できる子がいます。これはその子にとって「ピアノを弾く」という行為を通じて「自分を解放する」ことが出来ている証拠だと思います。舞台の俳優、バレエなどのダンサー、そして歌手や楽器の演奏者には共通点があります。どれもみなステージの上で、お客さんの前で、自分の姿と技を披露するということです。恥ずかしがっていたり、引っ込み思案だったりしていると、あっという間に自分の出番は終わってしまいます。日ごろの自分がどういう性格であるかに関係なく、とにかく舞台に上がれば自分を解き放って、表現することに集中して欲しいと思います。

自分が教室でやっていることを思うと、本当にこの三つ(演劇・音楽・ダンス)は切り離せないなあと実感します。
「ハイ、そこはもっと思いっきり悲しんで、ほら、楽譜は台本よ。あなたは女優! 女優になりきってみんなに分かってもらうの!」
「ほら、そこはもっとゆったりと、気持ちよさそうに流れていって・・・(立ち上がって腕を泳がせながら踊り始める)」
「そこ、歌うとこよ、呼吸に気をつけて、♪たらら~ら♪(ほんとに歌い始める)」
生徒たちや保護者の方は私のことを「歌って踊る、女優志望のピアノの先生」と勘違いしているに違いありません。

それでも時にはこうして、女優になったり、踊り出したり、わざと声を出して歌ってみたりすることはピアノの練習に役立ちます。なぜかというと、自分の心を開放する助けになるからです。何でもいいからいつもの自分とは違う、何か、これをやっているときだけの特別な自分というのを開放して、それを遠慮しないで思い切って表現してみるのです。パフォーミング・アーツ(演劇・音楽・ダンス)というのは舞台での一発勝負。舞台に立てば自分はもう普段の自分ではない。別人なんだという意識をもって、客席の皆さんに向けて思いっきり自分の表現を届けて欲しいと思います。そのようにして解放された自由な心からほとばしる演奏が客席に届いたとき、その音楽は聴く人の心を開いて感動させることでしょう。生徒たちには、ピアノを通じて自分のカラを破り、ピアノの世界で自由に自分を解き放ち、そこから飛び立ってほしいと思っています。


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