日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

星薬科大学でのDOCOMOMO Japanの総会

2016-05-15 23:20:28 | 建築・風景
昨5月14日(土)、星薬科大学のディスカションルームで開催された、今年度のDOCOMOMO Japanの総会に参加した。数年前に幹事長役を渡邉研司東海大学教授に引き受けてもらい、DOCOMOMO Japan創設や発展に寄与して抱いた阪田誠造氏、亡くなられた林昌二氏などに続いて、その折名誉会員に推挙されたが久し振りに会う若きメンバーがそれなりの役割を担っていることにホッとしたり、心強く思ったりもしたものだ。

この校舎は、1924年(大正10年)若き日のアントニン・レーモンドの設計によって建てられた。
レーモンドを伴なって帝国ホテルの設計のために来日したF・Lライトやキュビズムの影響が見てとれ、日本の建築の軌跡・変遷を考える上でも貴重な建築であるとして、昨年、DOCOMOMO Japanの選定建築として選定された。数年ぶりに訪れて改めて感じたことは、レーモンドにこの建築の設計をさせたこの学校の創設者星一(ほしはじめ)の存在を抜きにしては、この建築を語ることはできないと言うことだった。

中原街道からの、見事な銀杏並木を通り抜けると、訪れた僕たちや学生達を迎えてくれる本館の前に設置されているこの学校の創設者`星一(はじめ)の銅像の、右手の遥かな先を、微かに微笑んで見遣るその姿に、その想いが込められているのだと感じ散れる。

一昔前になるが、レーモンド事務所のOBから声がかかり、2度ほどこの建築を見学させて戴き、写真を撮らせてもらったことがある。久し振りに訪れたが、時代に即してエレベーターが設置されたものの、階段のないこの建築のスロープを含めて、この本館のすべてが見事に手入れされていて、建てられてから92年を経たとは思えない。

要は外観を半円球とした鉄骨造による大講堂。植栽を取り込んだステンドグラスからの採光が味わい深いが、当初のものではなくて、薬草をモチーフにして後年取り付けたとの事で、さもありなんとも思ったものだ。

久し振りに臨んだ総会で報告されたDOCOMOMO Japanの活動報告を聞き、参加したメンバーを見て世代が変わっていくことを実感したが、台湾やマカオのDOCOMOMOへの加盟に尽力をするなど、本部からの要請があって各国のモダニズム建築20選の選定を日本からもと要請されて組織化し、ブラジリアの大会でアジアでは初の加盟をした国際組織の中で、僕たちのJapanが、益々様々な役割を果たしてるようで、心強い。