日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

2015年アカデミー作品賞・脚本賞「スポットライト」を観て!

2016-05-08 20:55:00 | 文化考

この連休の初めに、来宅した娘と共に、`世紀のスクープ`と副題のある映画「スポットライト」を観て衝撃を受けた。

カタログにはこうある。「The true story behind the scandal・・・」。ボストン グローブ紙の記者たちが、巨大権力の"大罪・スキャンダル"を暴いた衝撃の実話!と副題的に記載されている。
巨大権力とはローマ教皇が束ね統治する聖域バチカンとリンクしている神父連のことで、ボストンのカトリック教会での幼児虐待を捉えた実話に基づいているとある。
一週間を経てこの映画を想い起こしながら一言だけでも書いておこうと思った。

ボストンの、妻帯しない男の(性の)世界、つまりこの映画で捉えられた人の日常生活に深く根付いている宗教の秘めたる世界の一側面、とも言い難いのは、このカタログには《スポットライト》報道後調査した、この神父達による児童への性的虐待が判明した全米の都市や、各国とその地域名のリスト207箇所名が記載されていることだ。
その数には溜息が出るが、同時にJapanの名がないのにホッとした。

ところでこの映画の画面を思い起こしながら頷いたのは、15年前になる2001年9月11日に勃発した同時多発テロ「9.11」、ニュヨークのWTCビルの倒壊の映像が一瞬とは言え映し出されたことだ。そしてこの時代の出来事なのだと得心する。
更に終演後に映し出されるキャスト共に、この映画の舞台となった教会の司教が、バチカンに招聘されたとの一言が映し出されることに、ある意味やるせない映画の製作者の心根が感じ取れた。

このカタログには、この映画放映後のエピソードも紹介されていて、様々なことを考えさせられた。
例えば、全米各地で教会が賠償金で破綻」「ついにローマ教皇が辞任」などの小見出しのある報告文と、「タブーに切り込む記者たちの背中を押すもの」と題した一文などに、映画に捕らえられた関係者とその世界、その後の宗教界の様相もうかがえて、思わず考え込んでしまった。

更に想い起こされるのは、俳優連の演じる記者連、志は強くても、同僚の考えをしっかりと受け止めるそのスタンスやその振る舞いにも心打たれた。
俳優の余りにもと言いたくなる記者の日常を演じるその演技が旨いからなのだろうか!

<カタログの表紙を表示したいと思ったが、掲載禁止との記載があるので断念、文章だけとする>