日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

雪の前にHAYAMAと鎌倉へ

2013-01-14 23:27:27 | 日々・音楽・BOOK
今年の成人の日は1月14日、久しぶりの雪になった。
ハインリッヒ・シフの弾くハイドンのチェロコンチェルト第1番と第2番をのんびりと聴きながら、暖房を強めて新聞のスクラップをする。チェロの音は柔らかく部屋の空気がふんわりと緩み、こういう時には、こうやって温もりながら家(うち)に閉じこもるのも好いものだ。
と 思ったが、ふと思い立って床屋に行った。

寒くなったので髪を伸ばそうと思っていたが、帽子をかぶると髪の毛がビチャッと寝てしまい様にならない。11日(金)の夕刻、パナソニック汐留ミュージアムで始まる「二川幸雄・建築写真の原点 日本の民家1955年」展(会場構成は藤本壮介)のオープニングレセプションに行ったときに、函館で手に入れたHarri&TweedのFISHING HATをかぶって行ったら、ミュージアムの和田さんにブカブカだねえ!と笑われてしまった。これはいかん、いっそのことさっぱりしよう。
ところが床屋の親父には、髪は黒くても歳とると毛が細くなって張りがなくなっちゃうのね!なんて言われてしまった。床屋の親父の頭は真っ白、歳を取って髪の風情が変わるのはお互い様である。

今日の天気予報が雨だったので、晴れている間にと考え、昨13日、急遽若き友人森博さんに電話をし、彼の愛車、ダンパーを固めた真っ白なBMWに乗せてもらい、神奈川県立近代美術館葉山に行き「桑山忠明展 HAYAMA」を見た。

その前日に、椎木さんに案内されてプレス発表で見た東博の特別展「飛騨の円空・千光寺とその周辺の足跡」展にも刺激を受けたが、桑山さんは御(おん)年80歳、チタンによる微妙なメタリックの静謐な光に心が奪われる。
更に休憩スペースのモニターに登場して展示会場によって同じ作品でも設置する高さや組み方が必然的に変わり、それがまたご自身がご自分の作品に触発されることにもなると述べる桑山さんの真摯な姿に密かに感動するのだ。
何度もこの美術館には来ているが、この会場はなかなか好いと想いを新にした。

海と富士山の見えるテラスでコーヒーを飲みながらの森さんとの話が弾む。ライカ論(彼の愛するカメラはライカのM8だ。こん畜生(笑)!)とか建築論、ダンパー(足回り)を固めたのは早く走るためだなんていう。世代が違うが僕とはうまが合うのだ。

さてもう一つの目的、志功のお孫石井頼子さんに迎えてもらい、鎌倉山の閉館した棟方板画館に隣接している、僕が47年前に工事を担当した旧板画館に赴き写真を撮った。僕の若き日の記念碑でもあるからだ。頼子さんも一緒にBMWに乗り、西鎌倉の森さんが設計した住宅に立ち寄る。頼子さんは僕の一言「建築家のつくった家だね!」という言い方を面白がる。
鎌倉駅まで送ってもらい、頼子さんと僕は、森さん推薦の小町通からちょっと入った「いさむ」で一杯だ。

<写真 モニターで語る桑山忠明氏>