日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

小樽「プレスカフェ」での今年の夏の日

2012-08-07 17:53:16 | 日々・音楽・BOOK

今日は立秋、8月に入ったばかりだというのに、残暑という日々の初日なのだ。心なしか日差しに影が漂っているような気がするが、暑いことには変わりはない。
汐入祭りで賑やかだった7月28日の小樽も暑かったが、それでも10月の末になると初雪があってほぼ半年に渡る雪景色に埋もれることになるのだ。自然の妙理にふっと目を閉じてみたくなる。

とすると、楠見朋彦という歌人の`次の百年のために`というエッセイが浮かんだ。
「昔のひとはよく遊んだ」という好奇心を呼びこす一言から始まるのだが、「年の内に春はきにけりひととせをこぞとやいはんことしとはいはん」という千百年前の古今和歌集をひいて、暦のうえではまだ12月なのに、立春という節季が、年の改まるのを待たずにめぐってくることが頻繁にあり、まずは春を迎えた喜びを「年の内に春は来にけり」という二句切れで表す、とある。
なるほど、これが古人の遊びなのだ。

ではこれはこうか!「夏の内に秋は来にけり」。

プレスカフェはいつものところにいつものようにある。
1年に一回しか来ないのに常連の僕は、やあと手を挙げて、磨きあげたぶっといカウンターの椅子に腰を掛ける。いつものように案内してくれるmoroさんあってのことだが、此処は常連さんのお席。

ターマスとひとしきり話がはずみ、ターマス(マスター)も常連、常連とにやりとする。
今年はメニューにない特製のオムレツ(試作品?ではない・笑)である。
コーヒーは決まっている。moroさんはマンデリンで僕は苦味に満ちたイタリアン。そしてオムレツの後のもう一杯にマンデリンなのだ。

さてもさても。
moroさんの今年の車は「あの赤い奴(ロータス・ヨーロッパ)」ではなくて、乗れ慣れているホンダのワゴン。安定感あり!

<追記>
一夜経て何か積み残したような気がした。`次の百年のために`をめくる。楠見朋彦は正岡子規と塚本邦彦に触れていた。冒頭の一句をもう一度最後に取り出してこう書いた。
ー昔のひとはよく遊んだ。言葉で。その遊びは、時に命がけだった。