田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

金縛り/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2010-12-31 20:30:03 | Weblog
10

見られている。
コウモリに。
窓越しに。

それが美香には見えている。
コウモリの目が赤く光っている。
だがベッドだ。美香は――。
寝ている。
眠っている。これって金縛り。それとも予知夢?

迎え討たなければ。
となりのべッドの香世を起こさなければ。
でも声が出ない。
起き上がれない。布団が重い。お母さん。お父さん。誰か来て!!
起き上がれない。上から押さえつけられている。誰に? 姿は見えない。
起き上がれない。いま襲われたら助からない。誰か助けて。
もがいてもだめ。
声もでていないようだ。
グッショリと冷や汗をかいている。

「オネエ。オネエ。美香。夢だよん」

香世に起こされた。

「ああ、よかった。起こしてくれてありがとう。怖い夢だった」

夢のなかで恐怖を感じた。
目覚めてからも震えが止まらない。

「窓からコウモリがこちらを窺っていたの」
「こんなふうに」

香世の顔がコウモリの顔になった。
ジイッと赤い兇暴な目で美香をにらんでいる。

「やだぁ。香世からかわないで。へんなところで能力つかわないでよ」

いや、香世ではないらしい。
こころが読めない。
なんにもない。
からっぽ。
不気味なこころのもちぬしだ。
こんな人間がいるわけがない。
ただあるのはわたしにたいる憎しみ。
わたしを憎悪している。
危害をくわえようとしている。
コウモリだ。吸血鬼だ。どうしょう。
バリッと窓ガラスがわれた。
コウモリの群れが部屋いっぱいに侵入してきた。
部屋の中が真っ暗になる。
コウモリに喰いつかれた。
腕も脚も。
痛い。
ワタシの体が子ウモリのおなかに収まっていく。

「オネエ。オネエ」
「香世なの。香世なの。たすけてぇ」

絶叫した。
頬をばんとなぐられた。

「オネエ。わかる。夢をみていたのよ」

こんどこそ覚めた。
怖い夢から覚めた。
はじめて吸血鬼を斬った。
恐怖の粒子がまだ体にのこっていたのだ。 

「怖い夢みるところは、かわいい普通の女の子ね」

香世がお姉さんにみたい。笑っている。


今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
 お帰りに下のバナーを押してくださると…活力になります。
 皆さんの応援でがんばっています。

にほんブログ村 小説ブログ ホラー・怪奇小説へにほんブログ村
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 解毒剤があった!!/超能力シス... | トップ | 皮をむかれた白ウサギにやさ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事