奥様はバンパイァ91
○まだ宵の口だ。
Yモールの横に広がる二階建ての巨大な建物が見えてきた。
「上に聳えている。屋上にビルがたっている」
「あなたにも、見える。見えるようになったのね」
○いままでも、カミサンにはわたしに見えないものが見えていたらしい。
彼女の言葉の端々にそれを感じてきた。
例えば、ブラッキーが虚空をジッと見つめている。
前足でなにもない、いない、その虚空でなにかとらえようとする。
わたしにはなんの気配も察知できない。
ブラッキーはうなりだす。
爪をだしている。
わたしにはなにも認識できなかった。
Gはそのことをいま思い出した。
○「見えてるのね」
「ああ、岩山のようなビルがそそりたっている」
「あなたにも見えてうれしいわ。それなら話が早い。あれはベルゼブブの牙城だと
思う。まちがいない。あんなところに隠れ家を隠しておいたのよ」
○悪魔、ベルゼブブは岩窟の城に住むという伝説があったのをMは思い出す。
○「いくわよ。あなた!!」
「mimaこそいいのか?!」
「いざという時は、わたしもいっしょに死ぬ」
若い時、誓いあったことがあった。
生まれた時代も場所もちがうが、死ぬ時はいっしょだ。
カミサンはあの言葉を思い出していたのだ。
Gはmimaの生まれた時代はいつなのですか」といった。
ながいこと、そう知り合ったころから、疑問に思ってきたことだ。
「ハンドルしっかりにぎって。前方注意」
カミサンは不可解な笑いを浮かべた。
「死ぬ時は、same time same place だ」
「死ぬ時はいつしっしよ」
といったカミサンに言葉にGが英語で応えた。
●私事ですが、「星の砂」に「初恋の白いバラ」を載せました。そちらもぜひお読みください。
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○まだ宵の口だ。
Yモールの横に広がる二階建ての巨大な建物が見えてきた。
「上に聳えている。屋上にビルがたっている」
「あなたにも、見える。見えるようになったのね」
○いままでも、カミサンにはわたしに見えないものが見えていたらしい。
彼女の言葉の端々にそれを感じてきた。
例えば、ブラッキーが虚空をジッと見つめている。
前足でなにもない、いない、その虚空でなにかとらえようとする。
わたしにはなんの気配も察知できない。
ブラッキーはうなりだす。
爪をだしている。
わたしにはなにも認識できなかった。
Gはそのことをいま思い出した。
○「見えてるのね」
「ああ、岩山のようなビルがそそりたっている」
「あなたにも見えてうれしいわ。それなら話が早い。あれはベルゼブブの牙城だと
思う。まちがいない。あんなところに隠れ家を隠しておいたのよ」
○悪魔、ベルゼブブは岩窟の城に住むという伝説があったのをMは思い出す。
○「いくわよ。あなた!!」
「mimaこそいいのか?!」
「いざという時は、わたしもいっしょに死ぬ」
若い時、誓いあったことがあった。
生まれた時代も場所もちがうが、死ぬ時はいっしょだ。
カミサンはあの言葉を思い出していたのだ。
Gはmimaの生まれた時代はいつなのですか」といった。
ながいこと、そう知り合ったころから、疑問に思ってきたことだ。
「ハンドルしっかりにぎって。前方注意」
カミサンは不可解な笑いを浮かべた。
「死ぬ時は、same time same place だ」
「死ぬ時はいつしっしよ」
といったカミサンに言葉にGが英語で応えた。
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