田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

わたしに名乗るほどの価値があったかしら? /さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-11-25 10:29:24 | Weblog
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仲間のクノイチとはわかれてしまった。
みんなそれぞれの敵を追っているのだろう。
百子さんは、麻衣さんはいまどんな敵とたたかっているのだろうか。
霧雨もあがった。いや、百々異能部隊長が突入を指令した。
あのときはすでに、青空がみえていた。
わたしはなにをかんがえているのだろうか……?
……Vを追いかけているのに。

アイツの姿を見失わないように。
アイツの後姿に意識を集中するのよ。
でも隊長、かっこいい。わたしも大人になったら入隊したい。
なにか特別な能力がないとだめらしいけど……。
わたしになにかあればいいのに。クノイチの劣等生。オチコボレ。

水溜りはのこっている。空はすんでいる。風が冷たい。
アイツ、何処まで逃げる気だ。
信濃街の慶応病院は過ぎた。
直に、青山一丁目のホンダビルが見えてくるはずだ。

わたしバイクおりたほうがいいみたい。
アイツ、もう走っていない。
のんびりとパーカーのフードをかぶって、顔は隠しているが歩道を歩いている。
わたしがつけているのはわかっている。
わかっているはずなのに……でもあいかわらず吸血鬼WALKING。
めくらましにあったみたい。のんびりと歩いているようだが、速い。
ときどき姿が消える。
なんてヤツなの。

青山墓地。
危険地帯。

翔子さんと百子さんがこの地下で危険なめに会っている。
甲賀のタカさんに救われた。
タカさんの調べ上げた情報はわたしたちの携帯に記録されている。
リツパだったよ。タカさん。
「娘なにをぼそぼそかんがえている。おれの餌になれ」

バイクをすててつけてきたきた。
ひっそりとつけてきたはずなのに。

やはり……Vには、わかってしまっていた。
男がフードをはねのけた。
なんて醜いの。
茶色の渦をまいているような肌。

「おれがたべてやる」

不気味な説得するような声。
十字手裏剣を胸元をねらって投げこむ。
当たった。
でも深くくいこまない。
アクセサリーみたいに手裏剣がアイツの胸元で揺れている。
小太刀をぬいた。斬りつけた。
「おおこわい。こわい。峰が、銀になっている。よく工夫したな」
ぜんぜん戦にならない。
わたしの技では歯がたたない。

「娘、名前はなんという。さいごに名前をきいておいてやる」

わたしに名のるほどの名前があったろうか。
でも……仲間とVを追いかけて、Vを倒そうとしてここまで生きてきた。
それで……いではないか。
あとは……百子さんたちがなんとかしてくれる。
戦いつづけ。かならず敵は倒してくれる。

……みなさん、みんな、いっしょに戦えてうれしかった。
いままでありがとう……。
わたしは……伊賀のクノイチ。
下忍に名前なんかない。
なのるほどの名前はない。
それでいいではないか……。


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2 コメント

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Unknown (新宿 美容院)
2010-11-25 13:18:51
おぉ~面白い!いつもブログを見るのを楽しみにしています☆これからも楽しく読ませて頂きますね(*^_^*)
返信する
Unknown (onime)
2010-11-25 21:56:47
コメントありがとう。これからもおもしろい話を続けて書きます。よろしくご愛読ください。
返信する

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