田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

砂風呂殺人事件/夕日の中の理沙子 麻屋与志夫

2009-03-17 17:05:49 | Weblog
FVの唇が赤く妖艶にひかっている。

「みるな‼ 翔太とりこまれるぞ」

「わたしはなにも感じないけど」 

理佐子がけろっとしてFVとにらみあっている。

「それは、あんたがF、フェメールだからよ。女だからなのよ」

赤い唇。

そして両の目が赤光をはなっている。

おかしいと感じたのはこの目の光だったのだ。

ますます輝いてくる。

「みるな。みるな」

「じゃあ、これならどうかな……」

FVの声のトーンがかわった。

「わたしをよんでくれたわね。翔太」

「姉さんか? 姉さんなのか?? そうなのか??? 信じられない」

薄っすらと目を開けて見た。

翔太の前に姉の翔子が立っていた。

「わたしを攻撃できるの。翔太?」

「だまされるな」

「とりこまれないで。

翔太――高山小学校の生徒。

死んだわよ。

砂風呂遊びの子。死んだの」

「おまえらだな」

翔太は理沙子の報告をうけた。

いま初めて聞く惨い事実だった。

あのとき校庭で一瞬みたのはこいつらにちがいない。

日本のVはあれほど残虐なことはしない。

惨いことをするようには生徒を操らない。

あのオゾマしい遊戯は、まさに殺人事件となった。

さぞやおいしい精気をすいこんだのだろう。

血も吸われていたかもしれない。

「操の、わたしの学校の仲間の血を吸ったのも、あなたたちね」

怒りが翔太を正常にもどした。

姉は消えていた。

「いますこしで……憑くことができたのに」

「翔太。下が心配だ。店への階下への下り口はないか」




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ああ、快感。
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