2
「ハァイ。みなさんおそろいね」
美香だ。
兆子と一緒だ。
バイクのりャーシートからとびおりた。
「ハヤァイ」
百子がおどろく。
「学校の帰りなの」
偶然、兆子と出会った。
美香は青田学園の方角をふりかえってみせる。
重そうなカバンをふっている。
美香はさわやかに笑っている。
「ナンダ。おまえら……」
「こまったときには、Vバスターズ。
夜の帰りに、Vバスターズ
ストーカーに、Vバスターズ。
吸血鬼除けに、Vバスターズ」
みんなが、元気に声をそろえて唱和する。
「ナンダ。おまえら、学芸会か」
「アンタラこそ、この場所に現われたということは、
青山霊園の地下街の住人かしら」
あそこは、壊滅されたはずだけど……。
獏とコウジは沈黙した。
隙を見ておそいかかってくる体勢だ。
こけおどしの長い牙。
シュツと臭い息。
立場が逆転したのでおもしろくないのだ。
兇暴な顔をさらに兇暴にして……。
逃げた――。
まさか。
えっ!!
!……。
。
吸血鬼が戦わずに、狙いをつけた獲物を置いて逃げる。
はじめてのことだ。
「兆子。川村さんを家までおおくりして」
「初仕事にしては、ものたりなかったわね」
美香が重そうなカバンを拾い上げた。
「じゃ、わたし青山一丁目の地下鉄で帰る……」
そのとき。
川村家の方角で悲鳴が起きた。
「なにかしら」
百子は走りだしていた。
悲鳴をきいたときには。
全員。
全速力で走りだしていた。
川村家の中で争う気配がする。
玄関から。
走りこむ。
「三五秒」
獏が血だらけの唇で不気味に笑っている。
わたしたちが悲鳴きいて駆けつけるまでの時間だ。
「ふざけるな」
百子の声が部屋にひびきわたった。
隣の部屋では、兆子がコウジと戦っていた。
美智子は顔中血だらけの老婆をかかえている。
床に血だまり。まだ出きたばかりだ。広がっていく。
「おかあさん。おかあさん」
美香が獏に向かう。
百子が兆子の加勢をする。
「なんてことするの」
「なんとしても生き血を飲みたかった」
コウジも過酷な笑みをうかべている。
「まえもって、このへんの家族構成は調べておいたのさ。
まさか、あんたらがバックについているとは、
そこまではしらべていなかった」
コウジが過酷な笑みで、得意面。
老婆が喉をぜいぜいさせている。
救急車のくるのが遅く感じられる。
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美香だ。
兆子と一緒だ。
バイクのりャーシートからとびおりた。
「ハヤァイ」
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「学校の帰りなの」
偶然、兆子と出会った。
美香は青田学園の方角をふりかえってみせる。
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美香はさわやかに笑っている。
「ナンダ。おまえら……」
「こまったときには、Vバスターズ。
夜の帰りに、Vバスターズ
ストーカーに、Vバスターズ。
吸血鬼除けに、Vバスターズ」
みんなが、元気に声をそろえて唱和する。
「ナンダ。おまえら、学芸会か」
「アンタラこそ、この場所に現われたということは、
青山霊園の地下街の住人かしら」
あそこは、壊滅されたはずだけど……。
獏とコウジは沈黙した。
隙を見ておそいかかってくる体勢だ。
こけおどしの長い牙。
シュツと臭い息。
立場が逆転したのでおもしろくないのだ。
兇暴な顔をさらに兇暴にして……。
逃げた――。
まさか。
えっ!!
!……。
。
吸血鬼が戦わずに、狙いをつけた獲物を置いて逃げる。
はじめてのことだ。
「兆子。川村さんを家までおおくりして」
「初仕事にしては、ものたりなかったわね」
美香が重そうなカバンを拾い上げた。
「じゃ、わたし青山一丁目の地下鉄で帰る……」
そのとき。
川村家の方角で悲鳴が起きた。
「なにかしら」
百子は走りだしていた。
悲鳴をきいたときには。
全員。
全速力で走りだしていた。
川村家の中で争う気配がする。
玄関から。
走りこむ。
「三五秒」
獏が血だらけの唇で不気味に笑っている。
わたしたちが悲鳴きいて駆けつけるまでの時間だ。
「ふざけるな」
百子の声が部屋にひびきわたった。
隣の部屋では、兆子がコウジと戦っていた。
美智子は顔中血だらけの老婆をかかえている。
床に血だまり。まだ出きたばかりだ。広がっていく。
「おかあさん。おかあさん」
美香が獏に向かう。
百子が兆子の加勢をする。
「なんてことするの」
「なんとしても生き血を飲みたかった」
コウジも過酷な笑みをうかべている。
「まえもって、このへんの家族構成は調べておいたのさ。
まさか、あんたらがバックについているとは、
そこまではしらべていなかった」
コウジが過酷な笑みで、得意面。
老婆が喉をぜいぜいさせている。
救急車のくるのが遅く感じられる。
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