田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

さあ、黄泉の国へ/超能力シスターズ美香&香世 麻屋与志夫

2011-01-18 17:41:53 | Weblog
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遅れて到着した機動隊。
吸血鬼に発砲する。
隊員にはふつうの暴徒としかみえていない?

「助けなければ。あのままではみんなやられてしまう」

異能部隊の百々隊長がバラヘンスからとびだす。
父の闘争心。
父の勇気。
ときとして、ウザかった。
でも……なぜ、戦いつづけるのか理由がわかりかけてきた。
父の行動をみて、わかった。
ミイマも太古から戦いつづけてきた。
これは人と人の戦いではない。
人と吸血鬼の戦い。
とだけはいえない。
これは神と悪魔の戦いなのだ。
神の創造した人を闇に落そうとする悪魔との戦いなのだ。

光と闇の戦いなのだ。
そして、わたしたちは光の戦士。
神の代理人。
光の戦士なのだ。

わたしたちは、その聖戦に選ばれし者。
戦いつづけるとこそ、わたしたちの定めなのね。

「みんな、こちらからは弓が射ることが出来るのよ」

ミイマがクノイチ48に示唆する。

「そうよ。Vを射るのよ」

百子が元気になる。
ミイマが堂々とバラヘンスの外に歩み出た。

「あなたの住む場所はこの東京ではない。この森でもない。あなたの住むべき場所は煉獄。地獄におちるがいい」
「なにぬかす。陽光の下に住めないから、地下街だとか、こうした暗い森に隠れている」
「地獄にもどりなさい」
「バカか!! おれはこの日本が好きだ。滅ぼし甲斐がある。いまがチャンスなのだ。政治も経済も混乱している。ナイフ魔が横行している」
「刺殺事件が多いのは、あなたが煽動しているからでしょう」
「そんな堅いこといわないで、美魔ちゃん。おいらと遊ぼうよ。ジャマだけでもしないでくれるかな」
「なにふざけているの」
「ふざけてなんかいない」
「ふざけているわよ」
「美魔。GGのいない寂しさに狂ったか。おれさまに勝てるとおもってか」
「しかり」
「GGを黄泉の国から蘇らせることだって、おいらには可能なのだ」
「なんども、おなじこといわせないで。おなじことばで誘惑しないでくれる」

拒絶のことばを行動であらわした。
ミイマはまっすぐ平然と歩いた。
街を散歩しているようだ。
歩調にみだれはない。
そのまま……サタンにだきついた。
大きく白い天使の羽がひらいた。

「おい、なにする。なにする。やめろ――」
「あら、道案内してくれるのでしょう」
「やめろ。やめろ」
「翔子。百子。GGとすこし遊んでくるね」
「ミイマ!! やめて!!!」

ミイマのやろうとしているとがわかる。
このまま戦っても勝てる相手ではない。
ならば、GGに会いにいく。
このまま黄泉の国へ。
サタンを道案内にして。
バサッと羽ばたきする。
そのまま虚空に消えていく。

止める、ことができなかった。
ミイマの決意を翻すことができなかった。
 
庭園美術館の広い芝生の庭に。

闇が訪れていた。


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