田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

血を吸うのを止めたら/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-09-18 09:51:54 | Weblog
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「なんてことするのよ。
街で女子学生を拉致するなんて最低よ!!!
『道草』で飲むだけにすればいいものを……」
翔子も鬼切丸を振りかぶって上段から斬りつけた。
「人工血液の赤ワインなんかガブガブ飲めるかちゅうの」
テツが翔子の鬼切丸を横に体を開いて避ける。
肩に百子の手裏剣が突き刺さっているのに。
なんという生命力だ。
「おれたちのシンパの赤いアミュレットをしてるのに、
どうして襲ってくる?」
「首をひねってもわからないぞ。トオル」
テツがあたまの鈍そうな仲間に呼びかける。

「わたしは、あなたたちの共鳴者なんかではない。
わたし自身が、マインドバンパイァなの。
吸血鬼なのよ」

「げぇ」

テツとトオルが同時に絶叫した。

「あんたの血をすうとおれたちは消滅するのかよ」
翔子たちは攻撃を一時中止する。
「人工の血液がまずくても、
それで満足して、
ひとと共存の道を選んだらどうなの。
メタボからの体質改善をはかれるのよ。
ひとの血を吸わなくても生きられるのよ。
直接飲むことは止めてほしいの」
「なにぬかす。
白い襟首に熱い息をふきかけ……
怖がってふるえるのを見るのは快感だ。
歯を突きだして噛みつく。
おののき、
ふるえる、
ノドの動きを見ながら血を吸う快楽をやめろというのか。
ひとの恐怖はわれらが逸楽なのだ」
「世界は転調の兆しをみせているのがわからないの」

いまミイマはなにを吸血鬼に訴えようとしているのだろうか。
翔子たちもはじめてきく言葉だった。

「だから……あんたらは口唇愛にこだわりすぎている。
唇の満足とひとの恐怖を糧としているのよ。
ひとは、いま長い間の習慣だったタバコを止めようとしているの。
あんたたちだって、変わることができるはずよ」



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