田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

紅葉の街でA君に会う  麻屋与志夫

2009-11-12 18:09:59 | Weblog
       

●男体山の初冠雪は見られなかった。

十日ほど前ではなかったかと思う。

カミサンが日光の山に雪が降ったといっていた。

ふたりとも忙しくて今年はその雪景色をカメラにおさめられなかった。

●今日はパソコン教室の日、駅前で卒業生のA君にあった。

元気がなかった。

「遊びにおいでよ」と声をとばしてすれちがった。

かれは駐輪場からでて駅へ急いでいた。

わたしたちには、パソコン教室のほかにT歯科の予約があった。

カミサンのインプラントがやっと入る日だ。

Aくんは、悩みでもあるのだろうか。

立ち話でもできればよかったのだが。

真面目すぎる子だから心配だ。

●帰り道に新しくできた千渡(センド)方面へのバイパスへと回り道をした。

いますこし、カミサンとA君の思い出話がしたかった。

もう23歳くらいになっているはずだ。

●まったく初めての場所から故郷の街をみた。

すごく感動した。

おなじ見慣れた街でも、みる角度によってこれほどちがった感銘をうけるのりかと

おどろいた。

●紅葉が盛り。

霜がおりだしたので紅葉がいっそう美しくなった。

カミサンがシャカパチやっている。

「田舎住まい」のほうへも写真のおすそわけをおねがいした。


●四季はうつろう。

木々のある風景はいままさに冬枯れの季節にむかっている。

●わたしはまだAくんのことにこだわっている。

若者の就職が、いま冬の時代。

これではいけないのだ。

これからの若い彼らが笑顔で働ける社会がいまは衰退している。

●Aくんとすれちがった、瞬時のわたしの洞察がはずれていることを願いながら川

畔をあるきつづけた。

       

       

 
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蠅はえハエpart2/奥様はバンパイァ  麻屋与志夫

2009-11-12 08:14:58 | Weblog
奥様はバンパイァ71

○カフテリアのある方角からワット学生が逃げてくる。

あわてふためき、悲鳴を上げて走ってくる。

「どうした」

武がまきこまれないように壁にへばりついた。

玲加はジャンプして欄間に避難する。

「ハエがおそってきたの」

「蝿よ。はえよ。ハエヨ」

走りながらみんなが悲鳴をあげている。

「コウモリは呼べないよな」

「ムリヨ。まだ昼間だもの。呼んでもこないわ。呼んでもオネンネしるわ」

高いところから玲加が声を落とす。

○GGはバラの水やりをすませた。

わたしがいなくてもバラを枯らさないでね。

カミサンに念を押されている。

しばらくぶりでもどったわが家だ。

○バラたちがふいにざわめきだした。

玲加がおそわれている。

Gは直感的に悟った。

バラからのイメージをキャッチした。

携帯をとりだしたが開くのはやめた。

○エマージェンシー・コールがないかぎりなんとかきりぬけるだろう。

Mがいないいま、玲加がこの街の守護キャラだ。

武もそばにいる。

Mのようにたくましくなってもらいたい。

ここは玲加と武にまかせておこう。

○GはPCをひらいた。

Mのいない屋敷はしずまりかえっている。

遠くかすかに、大通りのほうでくるまの輻輳する音がしている。

静かだ。

昼飯はまだたべていない。

ひとりだとなにかやはりものたりない。

あまりにながくMにあまえすぎていたのかもしれない。

はつきりいって、ひとりではなにもできない。

する気がない。ただ小説を書くことは、これは本能だ。

なにがなんでも書きつづけなければならない。

孫の麻耶が第二作を書いている。

○わたしも書く約束をした。

麻耶の「やがて青空」は映画化が決定した。

まだまだ版をかさねている。

医学の勉強と両立させている。

「もう書き終わるよGちゃん。Gもはやくかきあげて」

励まされている。

孫に励まされている。

第二作はふたりで同時出版しょうと……。

孫の麻耶とだきあわせで出版することで、わたしのつたない作品をBCしょうと編集

者はかんがえているのだ。

こんな形で長年の夢が実現していくとは思ってもみなかった。

○Mは50というわたしと生活する期限をつかいきってしまった。

○ふいに、まつたく唐突に空気が動いた。

ざわっと大気が揺らいでいる。

窓ガラスが振動している。

幽かに顫動している。

窓ガラスに手をやる。

音はやむ。だがみよ!!

○真昼の化沼高校からクリーンセンターの方角に妖気がただよっている。

雷雲がわいたようにそらに黒雲が渦巻いている。

イヤ!!! あれは玲加からきかされている蝿の大群だ。

重なりあった無数の蝿の群れが!!!!!!!!!!!!!!!…………玲加と武をおそっている

のだ。

○GはPCをかかえて車庫にかけおりた。

めったにのらないワンボックスカーにとびのった。



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