〈 第二十三闋 烏帽子 ( ゑぼし ) 平清盛が最も恐れた嫡男・重盛 〉
今回も、「書き下し文」と「大意」を順番に紹介します。
〈「書き下し文」( 頼山陽 ) 〉 10行詩
八條の第中 ( ていちゅう ) に旗幟 ( きし ) 飜 ( ひるがえ ) る
相国 ( そうこく ) は鎧を環 ( まと ) い馬は鞍を装す
烏帽子 ( えぼし ) 。来たる者は誰ぞ
何ぞ胄 ( ち ) うせざる。国に寇 ( あだ・害をなす者 ) 無し
能 ( よ ) く 阿爺 ( あや・老いた父 ) をして 起 ( た ) ちて緇 ( し・黒い服・僧衣 ) を襲 ( かさね ) しむ
襟は鱗甲 ( りんこう・鎧の小さな鉄札 ) を吐 ( は ) きて我が児 ( じ ) に愧 ( は ) ず
公に従 ( したが ) はむと欲する者は
吾が頭 ( こうべ ) の堕 ( お ) つるを待て
烏帽子の上に晴天あり
帽子猶 ( なお ) 在れば天堕ちず
〈 「大 意」( 徳岡氏 ) 〉
八條邸のうちには戦旗が翻っている
入道相国清盛は鎧を着込み、馬には鞍が置かれている
烏帽子姿でやって来たのはどなただろう
「何ゆえ武装めされぬ ?」「国が外敵に侵されたとも聞かぬゆえ。」
みごと父君に、そそくさと僧衣を重ねさせた
襟元がついはだけるとちらちら鎧のこざねがのぞくのを、相国清盛は我が子に恥じた
「父上に従おうと思う者は」
「私の首が落ちるのを待て」
そう言い放った貴方の烏帽子の上に広がっていた涼やかに青い天
今なお、依然として青天をバックに貴方の烏帽子の見える想いがする
ここ数日、「ねこ庭」を訪問される方が激減しました。LGBT法をゴリ押しした岸田首相とその後の自民党内の動き、ワグネルのプリゴジン氏の動向など、日本も世界も目まぐるしく動いていますから、「900年も前の平安時代の話になど、つき合っておれるか。」と、関心がなくなっているのかも知れません。
今の私は渡辺氏に、過去の歴史が現在の日本にそのまま繋がっていると教えられました。現在の日本が反日・左翼と愛国保守の対立であるという思い込みを、氏の解説が修正してくれました。息子たちに、もう一度先日の修正した意見を紹介します。
「これまでは、マルクス主義だけが反日の要素と思って来ましたが、平安時代の天才学者信西を知りますと、もう一つ加えなくてなりません。」
「人間の業である我欲、つまり名誉欲・権勢欲が、自分に反対する者を敵としてしまう。国を愛する国民に反対し、反日の言辞を世間に撒き散らす学者の姿は、頼山陽の詩に詠われる我欲を通す人間の姿と重なります。彼らはチロチロと炎の舌で、こっそり天いっぱいにみなぎるほどの毒を吐く」
主義主張は建前の話で、反日・左翼も保守もよく見ると我欲で対立しているという図式になります。従って、対立する者たちの我欲 ( 名誉欲・権勢欲 ) が多数の国民に受け入れられるか否かが鍵になります。名もない庶民である多数の国民も、我欲を持っていますが、高名な権力者たちが持たない ( 持てない ) 普遍の常識を多く持っています。
・生まれ育った国への感謝と誇り ・・・郷土愛、愛国心
・自分を育ててくれた親とご先祖への感謝と愛・・・祖霊信仰、愛国心
・自分、親兄弟、ご先祖をはぐくんでくれた美しく豊かな国への愛・・郷土愛、愛国心
・大切な国を外敵から守ってくれたご先祖への感謝 ・・・祖霊信仰、愛国心
・ご先祖さまの敬愛の中心におられた、万世一系の天皇への感謝と敬意の念・・・祖霊信仰、愛国心
思いつくままに列挙しましたが、庶民はご先祖さまから受け継いできた常識で権力者たちを判断します。民意と呼ばれ世論と呼ばれたりしますが、庶民の常識は国を支える土台です。高名な権力者たちに一時期は騙されても、時間が経過すれば国民は常識を取り戻します。「万世一系の天皇への感謝と敬意の念」の項目を除けば、あとは世界に共通する国民の常識 ( 愛国心 ) です。
内閣府男女共同参画局の林とも子局長が、先頭に立ってLGBT法を推進しています。氏は信西のような優秀な官僚の一人ですが、国民の常識がやがて氏の意見を飲み込んでしまう日が来ると思います。反日の旧社会党が消滅寸前になり、共産党が国民から顔を背けられつつあるように、反日の人々の場所が日本では無くなりつつあるからです。
そうなりますと昔の話でも、氏の著書の紹介はやめられません。「ええかっこしいやないか。」と、百田尚樹氏が青山繁晴氏を批判しますが、公言実行している行動力を私は評価しています。愛国心を強調しすぎる部分があるとしても、海千山千の政界で86名の仲間を「護る会」に集めるのは、口舌だけで出来ることではありません。百田氏も政党を作ると言うのですから、我欲を通さず切磋琢磨し、保守勢力の強化に参加して欲しいものです。
話が横道へ逸れましたが、「愛国心」という土台からは外れていません。次回は頼山陽の詩と渡辺氏の解説の紹介に戻ります。
産み育ててくれた親
この国の今在る事
連綿と続く命の向こうに確かに存在した幾多の命
今、自分たちが享受する安穏とした日々の為に
先人たちが流した多くの尊い血潮
歴史を忘れ、そんな事は過去の亡霊と切り捨てる
歴史を嗤い踏みにじる事は
この国が無くなる時・・・
日本が、日本国で無くなる時だと感じずにはいられません。
だからこそonecat様の学びの庭は、未来につながる大切な場所、
発して下さる言葉は、過去を振り返らせる大切な御神木なのだと思っています。
これからも過去が指し示す未来への提言、共に学ばせてください。
政治家や官僚、学者には、信西のような頭脳明晰・博覧強記な人物がたくさんいます。優れた人間なのに、住んでいる国や支えてくれている多数の庶民の存在を忘れている人たちです。
今回紹介した内閣府男女共同参画局の林とも子局長も、そうした優秀な官僚の一人です。政府内で活躍し、あまり表に出ないので有名ではありませんが、LGBT法の強力な推進者です。
民意と呼ばれ世論と呼ばれたりしますが、庶民の常識こそが国を支える土台です。変わりつつある日本の世論を、私は感じ取ります。
「ねこ庭」と「マンホール通信」は、間違いなくその土台の一つだと信じています。これからもよろしくお願いいたします。