ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

伊藤貫の真剣な雑談 - 46 ( ビスマルクのロシア観 )

2023-08-18 20:40:00 | 徒然の記

 クリントン、オバマ政権のウクライナ内政干渉に反対する6人の、残り三人の意見を紹介します。 

〈 ジョン・ミヤシャイマーの反対意見 〉
 
  ・ウクライナはロシアにとって死活問題となる重要な国だが、アメリカにとっては何の価値もない国である。クリントン政権が、ここまで介入する理由が分からない。
 
  ・オバマ政権では、アメリカ兵がウクライナ兵を訓練し、米国製の武器を与えた。実質的なアメリカによる軍事同盟化だ。
 
  ・ドンバスでは、ウクライナ兵がロシア兵を殺害し始めた。
 
  ・アメリカが本気で相手にすべき国は、中国だった。ロシアは単独でアメリカに対抗する力は無い。そんなロシアを中国へくっつけたのは、アメリカだ。これは、アメリカ外交の大失敗だった。
 
 ハンチントン氏の意見を紹介する前に、「ねこ庭」訪問される方々に断っておかねばなりません。紹介した3人の言葉が、果たして彼らの語った通りなのか、「祭りの薬屋」が脚色して喋っているのか、そこの確認をしていません。なぜ念を押すかと言いますと、ハンチントン氏の著書『文明の衝突』を、令和元年の7月に私は読んでいます。内容の深さと客観性に感銘し、24回のシリーズとして「ねこ庭」で取り上げていました。
 
 氏は、エール大学とハーバード大学という米国トップレベルの2つの大学を卒業した秀才で、ジョンソン政権とカーター政権で、ブレーンの一人として活躍しています。ブレジンスキーの下でも働いていた学者ですが、「祭りの薬売り」が紹介している他の人物ように民主党を露骨に批判したり、過激な言葉で人を攻撃する人間ではありません。氏のような穏健な政治学者の意見をなぜ紹介するのかと、むしろ疑問を抱きました。
 
 ビスマルクの意見まで紹介するというのですから、伊藤氏の雑談には彼特有の捏造が加味されていると思わずにおれなくなります。ビスマルクは年代的にもウクライナ戦争とは無関係なので、自分の意見に都合の良いものなら、何でも利用する彼の貪欲さが見て取れました。
 
 水島氏のように彼が何を喋っても有り難がる人は、どうでも良いのですが、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々だけは、丸め込まれないようにと念押ししました。
 
 〈 ハンチントンの反対意見 〉
 
   ・アメリカは、ウクライナ、ルーマニア、グルジア、ブルガリアの4ヶ国には介入すべきでは無い。
 
   ・これらの国はロシア正教、ギリシャア正教の国であり、カトリック・プロテスタントのキリスト教国では無い。
 
〈 オットー・ビスマルクの反対意見 〉・・元ドイツ国首相 「鉄血宰相」の異名
 
 ビスマルクの意見を紹介する前に、「祭りの薬売り」が前口上を述べています。
 
 「ロシアを安定させないと、ヨーロッパ外交は成立しない。そのくらいロシアは、厄介な国である。一旦ロシアが暴れだすと手がつけられなくなるので、決してロシアを追い込まないように、ビスマルクは苦労していた。」
 
 ここからが、ビスマルクの言葉になります。
 
 ・ドイツにはロシア嫌いの国民が圧倒的多数で、彼らを叩きのめしたいと思っている。
 
 ・我々は、ロシアと戦争をすれば勝てるかもしれない。領土や賠償金が取れるかもしれない。
 
 ・しかしロシア人は物凄くしぶとくて、忍耐強く、しかも復讐心が強い。こういう国に勝つと、ドイツは益々危険な争いに巻き込まれることになる。
 
 ・必ず何十年後かに復讐をしてくるから、あんな連中とは戦争して勝たない方が良い。
 
 ここで「祭りの薬屋」がコメントを挟んでいます。
 
  「キッシンジャーも同じ考えで、ロシアを叩きのめすと碌でも無いことになると言っている。」
 
  6人の意見を紹介し、民主党政権の批判で終わりにすれば良いのに、彼は満足せず更に、アメリカの歴史学者・ロシア研究者のスティーブコーエンの意見を紹介します。
 
 ・東ヨーロッパとロシアから移住してきたユダヤ人は、米国とロシアへ強い憎しみを抱いている。彼らユダヤ人は、ウクライナも同じように憎み、ハンガリーとポーランドも憎んでいる。
 
 ・彼らにとって、アメリカとウクライナ戦争は敵同士の戦争であり、どっちがどうなろうと知ったことでは無い。
 
 ・今度のウクライナ戦争で最も得をするのは、ユダヤ人と中国人だ。最大の被害者は、ウクライナの民族主義者だ。
 
 ここで終われば波風が立たないのに、「祭りの薬屋」は動画の最後でやはり日本の悪口を言います。「祭りの薬屋」から「日本人のクズ」に変身しますが、肝心のところでスペースがなくなりました。続きは次回と致します。
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伊藤貫の真剣な雑談 - 45 ( ウクライナ内政関与への反対意見 )

2023-08-18 08:38:39 | 徒然の記

〈 クリントン大統領の政策 〉

  1.  ロシア国有財産の民営化
 
  2. 「NATO東側不拡大の約束」破棄
 
 今回はまず最初にクリントン政権が、「NATO東側不拡大の約束」を破棄した状況に関する彼の雑談を紹介します。
 
  ・1990 ( 平成2 ) 年と1991 ( 平成3 ) 年、クリントン政権の国務省局長が、アメリカはNATOを東に拡大しないとロシアと二度約束した。
 
  ・その後クリントンはユーゴのコソボ紛争に、国際法違反の一方的軍事介入をし、ロシアの友好国だったセルビアを叩きのめした。バルカン半島でロシアが影響力を行使できなくするための、軍事介入だった。
 
  ・一方的な軍事介入は米露政府間の約束を破ることだったので、米国駐露大使だったマトロックが、なぜこんな汚いことをするのかと怒った。これに対するホワイトハウスの担当官の返事が酷かった。
 
   「サインして署名したわけでもない口約束は、いくら破っても構わない。」
 
 マトロック大使は、クリントン政権の態度は、嘘をつく、薄汚い商売人の態度だと怒ったそうです。「NATO東側不拡大の約束」を破棄したクリントン大統領の政策をさらに進めたのが、オバマ大統領でした。
 
〈 オバマ大統領の政策 〉
 
  1.  親露派大統領ヤヌコビッチ氏の追放工作
 
  2.  米国兵によるウクライナ兵の指導・訓練と武器援助
 
1. 項目目の件に関する、彼の意見を紹介します。
 
  ・親露派のヤヌコビッチが大統領に当選すると、CIAと国務省が彼を失脚させるため、即刻大量の工作員をウクライナに送り込んだ。暴動とクーデターを起こさせ、ヤヌコビッチの追放に成功した。
 
  ・暴動とクーデターの指揮を取っていたのが、オバマ政権の国務次官補代理だったビクトリア・ヌーランドだった。バイデンとヌーランドはこの時から、仲が良かった。( ネオコンの彼女は、バイデン政権で国務次官補に昇格しており、この政権下で紛争が高まっても不思議ではない。)
 
   クリントン、オバマ政権がウクライナの内政に首を突っ込んだことに関する6人の反対者の意見を、例の如く楽しそうに、得意そうに喋ります。何がそんなに嬉しいのか知りませんが、「祭りの薬屋」が並べる順に従って紹介します。
 
〈 1.  ジョージ・ケナンの反対意見 〉
 
  ・ロシアとその周辺国に国境線を引くことは、困難であり、その必要性もない。
 
  ・過去800年から1000年の間、ロシア人、コサック人、グルジア人、ウクライナ人、ベラルーシ人、タルタル人などは、混在して生きていた。
 
  ・出たり入ったりして暮らしていたから、現在住んでいる彼らでさえ、国境線を引くことができない。なんで、今頃アメリカ人がそんなことをするのか。紛争のタネになるだけである。
 
  ・クリントン政権のやったことは、悲劇的な愚行、大失敗である。ロシアを外交的に追い詰めていく必要性はどこにもなく、ロシアと対立する必要性も、どこにもない。だからアメリカが、ウクライナをNATOに入れることに反対する。
 
  ・過去400年間の歴史から見ると、ロシア人にとって最も大切なものはナショナリズム ( 民族主義 ) とインペリアリズム ( 皇帝による独裁主義 ) だ。
 
  ・彼らに自由主義や民主主義を押しつけても、無理だし成功しない。
 
〈 2.  ヘンリー・キッシンジャーの反対意見 〉
 
  ・ロシアの拡張主義と、自分の国だけは特別に優れているから何でもやれるという例外主義は、アメリカの拡張主義と例外主義にそっくりである。
 
  ・アメリカ人、中国人、ロシア人は、自分たちが世界の中心であると思いたがるところが似ている。だから3ヶ国は同盟関係になれない。なぜなら彼らは、同盟を結んだ相手を必ず目下として扱うからだ。
 
  ・ウクライナはフィンランド同様、どこの国にも属さない中立国にすべきである。
  ・ゴルバチョフはアメリカにおだてられて、グラスノスチとかペレストロイカなど馬鹿げたことをやっている。スローガンを掲げれば、ロシアが生まれ変われるという幻想を抱いている。
 
  ・彼はワルシャワ条約を廃止し、衛星国の独立を認め、ソ連邦を解体するという間違いを犯した。
 
 ここで「祭りの薬屋」が、コメントを入れています。
 
  「キッシンジャーはゴルバチョフを批判したため、アメリカでは評判が悪くなった。後に無名の頃のプーチンと出会い、ゴルバチョフに関する意見が一致し、それ以来二人は意気投合した。」
 
〈 3.  ジャック・マトロック大使の反対意見 〉
 
  ・ウクライナは西と東では、言語、宗教、民族が異なる。
 
  ・過去700年間独立国であった経験がないから、独立国を運営する能力に欠けている。
 
  ・アメリカが手を突っ込んでも、解決不可能な問題に関与するだけである。
 
  ・ロシアが自由主義的な国家、民主主義的な国家になると期待することはできない。
 
  ・過去の歴史を見てもそうだから、内政干渉をせず、彼らの勝手にやらせておけば良いのだ。
 
 スペースがなくなりましたので、残る三人の意見は次回に紹介いたします。
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