「石破内閣が発したシグナル」とタイトルをつけましたが、石破氏が自分の意思で発信したメッセージの意味ではありません。
氏が新首相として国内外に無意識のうちに伝えた、日本国の指導者としてのメッセージのことです。「敗戦後の日本史の大河」を観察している人間には分かりますが、目の前の政争に明け暮れている政治家には伝わらないメッセージです。
「日本は独立した国である。」と信じている人、あるいは戦後の教科書が教えた、「日本は、欧米先進国と肩を並べる民主主義国である。」と信じている人には、石破内閣成立の原因が分からないと思います。
国民の政治不信は、政治資金の不透明さを隠す腐った自民党政権にある。汚れた金で政治を堕落させた安部派の処置が曖昧のままにされていると、野党の政治家や学者・評論家が説明します。
責任をキチンと取らないで岸田首相が辞め、次の首相が石破氏に代わっても、「政治と金の問題」は追及され続けなければならないと、マスコミと反日学者たちが呼びかけています。
「総裁選」の報道では、キングメーカーとなった麻生、菅、岸田3氏の動きが連日報道されました。9人の総裁候補者はどの3氏に支援されているのか、議員票・党員票の獲得数がどうなるのか、大手マスコミとネットの情報が氾濫しました
しかし「敗戦後の日本史の大河」を観察している「ねこ庭」は、石破内閣成立の原因がそうしたところにあると考えていません。意見の根拠は、次の二つです。
・日本は敗戦以来アメリカの属国となり、現在も独立国となっていない。
・敗戦後の日本の政治は、アメリカの意向を無視して行われていない。
LGBT法を強行成立させ、国民に説明せずウクライナへの巨額支援を決めた岸田首相を、アメリカの言うなりになった無能な政治家と批判する意見が多々あります。
主張するのは主として保守系の学者と評論家ですが、「敗戦後の日本史の大河」を観察している「ねこ庭」は、この意見に賛同しません。
敗戦直後の日本で、マッカーサーのGHQと対峙した吉田首相以来、鳩山、石橋、岸氏と続く歴代内閣が、世界一の覇権国となったアメリカに膝を屈し、自分を曲げて妥協し、臥薪嘗胆の政治を行ってきたのが「敗戦後の日本史」です。
サンフランシスコ条約の調印で、形は独立国となりましたが、国際社会は日本を実質的に「アメリカの属国」として見ていました。佐藤、田中、大平、中曽根内閣になっても、「アメリカの属国」である実態は変わりませんでした。
政治家と国民が頑張って日本の国力を回復すると、すかさずアメリカが行手に立ちはだかった過去の事実を、私たちはいくつも思い出すことができます。
「日本を、二度とアメリカに対峙できる国にさせない。」( 日本弱体化政策 )
戦勝国となった時からの対日政策が、現在も不変であることを多くの国民は知りません。当時の保守政党だった自由党と日本民主党の政治家が、事実を国民に伝えるのを躊躇した、というより彼らは伝えられなかったのです。
国民に事実を伝えられなかった理由を、「温故知新の読書」が教えてくれました。
1. GHQが日本国内に残した協力者 ( スパイ )たちは、政界、官界、法曹界、学界、マスコミ界にいて、GHQの政策を国民に伝えようとする政治家名を通報した。
2. 事実を伝えそうな政治家は、即座に地位と役職を失い生活の糧を奪われた。
保守政治家の危機感の根拠は他にもあり、アメリカが残した5つの法律がそれでした。力ずくで作られた法律は、力ずくでしか変えられませんが、少数の保守政治家にその力はありませんでした。
1. 日本国憲法制定・・・日本には永久に軍隊を持たせない、戦争もさせない。
2. 皇室典範の改悪( 11宮家の臣籍降下 ) ・・60~70年後に皇統の男系が絶える
3. 皇室経済法の改悪・・・皇室財産を全て国庫に帰属させ、すべて皇室の費用は予算に計上し国会の議決を経ることにした。
4. 国民の祝日法の改悪・・皇室に関係する祝日を全て別の名前に変更した
建国記念日・・(紀元節) 文化の日・・(明治節) 春分の日・・(春季皇霊祭)
勤労感謝の日・・(新嘗祭) 秋分の日・・(秋季皇霊祭)
5. 財政法制定・・日本が巨額の戦費を調達できないように、赤字国債の発行を禁じた悪法
「日本弱体化政策」に基づいて作られた5つの法律のうち、国民が知っているのは「日本国憲法」だけですが、本当は他に4つもあったということです。
安倍総理はこのうちの最も重要な2つだけを取り出して、「戦後レジームからの脱却」と呼びました。「憲法改正」と「女系天皇反対論」が中身でしたが、安倍氏でさえ、「ねこ庭」が説明しているGHQが関与した悪法を国民に伝えられませんでした。
青山繁晴氏と西田昌司氏が、GHQがした悪法の説明をしていますが、それでも5つの法律を全て語っていません。千葉の片隅で89人の読者登録しかない「ねこ庭」だから、隠さず述べていますが、青山氏や西田氏のような議員にはできません。
踏み込みすぎると、安倍氏のような目に合わないとも限りません。ましてにわかに首相に祭り上げられた石破氏が、アメリカの力に逆らって、何が国民に語れると言うのでしょう。
横道へ入りましたが、今回の事実を前提として次回は「石破内閣が発したシグナル」へ戻ります。