OK元学芸員のこだわりデータファイル

最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

箱入りのサメの歯の整理 その3

2016年03月04日 | 化石
箱入りのサメの歯の整理 その3

 ミネラルショーで購入したモロッコ産箱入り500グラムのサメの歯を仕分けしている。まず保存の状況とおおまかな種類で次のように分けた。A比較的良好なサメの歯、Bまあまあのサメの歯、Cサメの歯の破片 Dエイの歯 E他の動物の骨など。E「その他」に含められたものは、次のもの。ワニの歯(3個)エイの尾棘(2個)サメの脊椎骨破片(1個)爬虫類(ヘビ?)脊椎骨(2個)不明(4個)。あまりおもしろくない。サメの歯にも、病変のあるものや珍しい種類は見つからなかった。残念!。

8 E「その他」上段左から ワニの歯(3)エイの尾棘(2)サメの脊椎骨(1)
下段 ヘビの脊椎骨(2)不明骨(4)

9 Aランクを細分

 せっかくランク分けしたサメの歯であるが、それぞれの種類をラベルにどう記したら良いだろう? 私はサメの化石については勉強が足りない。モロッコのサメの歯化石について、手元にあるのは初期の論文が一つあるだけで、それも本文はほとんどなく、図版+図版解説と数頁の本文だけを何度もコピーし直した悪いものである。コピーは新宿ミネラルフェアで十年ほど前に購入したもの。値段の記録はない。論文名は次の通り。
Camille Arambourg (Jeanne Signeuxの協力)(1952) Les vertébrés fossils des gisements de phosphates (Maroc – Algérie – Tunisie) . Notes et Mémoires du Service Géologique du Maroc, 92 : 1-372, 62 fig., 44 pl.

10 アランブルグ論文の表紙コピー

 表題の意味は、「モロッコ・アルジェリア・チュニジアのリン酸肥料の地層に見られる脊椎動物化石」。なるほど、入手したコピーが図版だけなのは、本文が372ページもあるからなのだ。なお、コピーのある本文は、次の頁:表題+5p+7p+20p+21p 。これらの頁は挿図の有るところで、それぞれFig. 1.からFig. 4.にあたるから、図を示したかったことになる。ネットのデータではFig. 62. まであることになっているが、この後各種類の図があるのだろうか。
 この図版の中から似ている種類を候補としてみよう。幸い図版はすべて実物大。気をつける必要があるのは、地域も時代もかなり広いこと。例えば白亜紀の種類もあるが、今回のはクーリブカ(綴りはちょっと違うが産出地ははここと考えていいのだろう。文献中にもKhouribgaとなっている。)の南に広がるOuled Abdounの始新世(Ypresian)の地層からと考えられる。そこで、アランブルグの図版説明中でこの地域から産出した種類を調べた。サメ類が10属19種類、エイ類が6属8種類、硬骨魚類8属9種類、他にヘビ1種、ワニ2属3種。その中で、今回対応がついたのが次の種類。もちろん単なる「絵合わせ」だから確かではない。今回は最初の1種類だけ。
サメ
種類1 Odontaspis robsta africana Arambourg, 1952 図版の6・7 サイズは大きくて、歯冠の幅やや広い。なぜか保存された色調が白っぽいものが多い。

11 オドンタスピス・アフリカーナの例 スケールは5cm
 次回も、これ以外の対応のついた種類について記していこう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿