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最近の旅行記録とともに、以前訪れた場所の写真などを紹介し、見つけた面白いもの・鉄道・化石などについて記します。

化石の剖出

2011年04月24日 | 化石
4月14日に藍島で採集した化石を剖出した(本ブログ4月16日付「4月の藍島」)。いずれも芦屋層群(漸新世後期)のもの。


鳥の骨の化石だが、掘り出す前はこんな感じ(再録)。


まず表面の余分な砂を取り除く、が…鉄分が多くて分離が悪い。道具はケガキ針だが、北九州の友人が勧めてくれた特殊な合金の針で、非常に調子が良い。この一年間研いだこともないが、十分に尖っている。この針を、何かの折りにもらった集英社の記念万年筆の軸に固定して使っている。


次に周りを掘り下げて骨を取り上げる。ちょっと割れたが室内の作業なので破片をなくすこともなく接着。接着剤は瞬間接着剤。
下側も砂を除くが、こちらも分離が悪い。その上一部に変形があってそこでは表面も荒れている。途中の様子はこんな感じ。砂も残っているし、骨を削り込んだところもあるのでちょっと恥。



結局完成したのが次の写真。標本はプロトプテルムの左烏口骨で、同じ藍島から報告されているCopepteryx hexeris よりもかなり小さく、別種。



あまり良い標本ではない。中央の写真で分かるように、 S字に変形している。ほんとうはほぼ直線的な骨。採集場所は藍島北端の「千畳敷」で、ここの化石は、剖出がいつも難しい。次回は馬島あたりでもう少しやりやすいのを採集してお見せしよう。

ついでに貝の化石も剖出。こちらで使った道具は小さなタガネ。これも特殊な(別の)合金で、名古屋の友人から頂いたもの。長く使っているがほとんど傷まない。剖出の前後の写真がこれ。



種類はPitar matsumotoi と思う。P. ashiyaensis との違いは、頂部の位置が前者ではちょうど真ん中付近だが、後者では偏る。採集場所は港に近い藍島西岸の転石で、ときおり非常にいい貝化石を産する場所。ただ、人頭大の岩を割って採集するのでかなり力仕事である。他に採集できるのは、Glycymeris, Euspira, Dentalium など。前回写真を出したVenericardia は、千畳敷の近くで、そこでは他に Acila, Yoldia, Solen などの良い標本が採集できる。

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