写真エッセイ&工房「木馬」

日々の身近な出来事や想いを短いエッセイにのせて、 瀬戸内の岩国から…… 
  茅野 友

オケラ

2006年05月20日 | 季節・自然・植物
 ミニバイクのアクセル・ケーブルが固着したため、自分で取り替えることにした。発注していたケーブルが入荷したのを取りに行き、修理を終えた。

 すべてを復旧したと思ったが、小さなビスが3本残った。主要なボルトはすべて締めた。大したことではないと楽観的に考え、試運転をした。

 思い通りにアクセルを回すことが出来、よく走ってくれる。無事に修理は完了し、妻に対しての面目は立てることが出来た。

 作業を終え道具を片付けていたとき、腰を下ろしていたレンガを持ち上げた。そのレンガの下の地面に、いく筋かの細い溝が走っている。

 行き止まりの溝の末端に、来し方を向いて1匹の虫が潜んでいた。体長3cmくらいのケラである。モグラのように土の中にトンネルを掘って棲んでいる。

 前足はまるでシャベルのようになっていて、土を掘るのに適している。大きな後ろ羽をもち、空を飛ぶこともできるし、泳ぐこともできるすごい昆虫だ。

 子供のころには、よく捕まえて遊んでいた。大人になってから見た覚えはない。何十年ぶりに出会った昆虫である。

 めがねをづり上げて正面から見ると、愛嬌のある面白い顔をしていた。身近なところに、いろいろな生き物が生息している。我が家の庭は、まだまだ自然に恵まれているようだ。

 ところで、ケラと言えば「オケラになる」という言葉を思い浮かべる。ケラを前から見ると万歳をしているように見えるため、一文無しでお手上げ状態になったことをいうらしい。かわいそうな例えに使われる昆虫ではある。

 バイクの修理も一時打つ手はオケラ状態、まさにお手上げ状態であったが、気を持ち直して再挑戦の結果、無事に再生させることが出来た。

 ケラケラ。♪ケ・セラ~セラ~ なるようになれ~♪ なるようになった。カラオケで、ドリス・デイの古い歌でも歌ってみるか。
   (写真は、生まれながらお手上げ状態の「オケラ君」)