のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

都市という頭 田舎という身体

2006年12月23日 | 農のあれこれ
養老孟司『いちばん大切なこと - 養老教授の環境論』集英社新書0219B、2003年、693円です。

これまでもいろいろな環境論を目にしてきましたが、解剖学の権威の視点は新鮮でした。

環境問題は「人間対自然」ではなく、「意識対身体」「都市対自然」であるといいます。

身体には一億以上の生物が棲みつき、水や物質がたえず入れ替わっている生態系である。なのに意識は、去年の私も今年の私も「同じ私」だとほとんどデタラメの嘘をいう。自然とつきあっていくには予測不能であることを我慢し、わからないことがあってもとりあえずつきあうという辛抱が必要だ。しかし、意識は「ああすれば こうなる」型思考でものごとを単純化していて、自分がいちばん偉いと思っている。いつかは死ぬのに、いつどのように死ぬかわからないことが気に入らない。自分の中の自然とすら折り合いがつかない人たちが、外の自然と折り合えるはずがない、と…

養老教授は最後に、環境問題の解決のために、一年のうち3ヶ月は田舎で暮らして身体を使うことを覚え、同時に外の自然に触れることで考え方を変えなければならないと提案しています。非都市的なりわいをしている農家にとっては都合のいい話ではあるのですが、農家は「ああすれば こうなる」型思考をしていないのかと問われれば、反省しなければならないことも多いようで。