のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

明日やれることを今日やる野良仕事

2010年09月09日 | 今年の米づくり
昨日は台風9号の直撃を受けました。
といっても雨台風でしたので、ナシは大喜び。
ひと月分の雨が一日に降った感じです。
これでしばらく、毎夕の散水準備作業から解放されました。

問題は田んぼです。
一夜明けたら地割れしたところに水がたまっています。
前夜の予報では雨は午後からというのが大方でした。
よし、残り30aを午前中に仕上げて稲刈りも一段落と算段をしていたのですが、
朝、ネットを立ち上げて降雨レーダーをみると
すぐそこまでもう降っています。

あきらめるか、強行突破するか。
部分的に倒伏している田んぼが残っています。
強い雨に打たれてさらに倒伏が広がった光景が思い浮かびました。
強行突破です。
すぐ近くまで降っていても、その雨雲がこちらに来るとは限りません。

朝6時から稲刈り開始。
普通なら朝露を心配してこんな時間には始めませんが、
今回は特別です。
この夏の日照りでイネはカラカラ。
台風に吹き込む風も吹いています。

まさかこんな時間に稲刈りをするなんて
なんとあきらめが悪いと思われているだろうなあと
道行く車を気にしながら稲刈りをしていますと、
遠くでも1、2台のコンバインが動き出しました。
同じことを考える農家もいるようです。

朝7時ごろ、約半分を終えたあたりからポツリポツリと降ってきました。
朝5時から始めればよかったのか。
あとの祭りです。
大粒の雨になったらいつでも撤収できるよう心構えもしながら
それでもここまできたらやり続けなければならませぬぬぬぬ。

イネの葉に雨粒がつくようになってきました。
刈り取られた稲穂に手をやると、まだ大丈夫です。
籾が手につくようなことはありません。
機械も唸るようなことはありません。
もっと湿気たイネを刈った時のことを思えば、まだ刈れる。
そう自分を納得させて作業続行です。

シラサギが朝食をとりにコンバインの周りに集まってきました。
その様子を写真に収めようという初老の男性が車でやってきて
なんの挨拶もなしに望遠レンズで撮り始めました。
むむむむ。こっちの焦っている様子がわからないのかああああ。
こっちにも肖像権というのがあるんだああああ。
でも、こんなのに関わりを持つのも時間の浪費です。

怒鳴りつけたい気持ちが焦る気持ちを紛らわせたのか
朝8時には稲刈り終了。
遠くに見られる一台のコンバインはまだ作業をしていました。
お先に失礼、です。
作業場の屋根の下に籾バッグとコンバインと置いて
ほっとしたところで大粒の雨が降ってきました。
間に合いました。
わが家の作業の終わるのを待ってくれました。
でも、本当はもう一時間、待ってくれたらよかったのですが。

一夜明け、田んぼに大雨の影響を見に行くと、
残っているイネは大雨の割にはそれほど倒伏はしていません。
今年のイネは茎がもろくなっているように思えたのですが、
それほど実りもないということなのか。
倒伏している田んぼは収量があるのか。
結果的には台風の影響は少なく、
小雨の中、無理して稲刈りをしなくてもよかったかもしれません。

でも百姓根性というのは、ただ座して天命を待つのではなく、
最善を尽くした後に天命を待つということだろうと思います。
いつも全速力で走っているということかもしれませんが、
結果はどうあれ、やるべきことはやっているという満足感からか
精神的には疲れを感じることなく、
朝が来ればまた野良に出かけていけます。