そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





韓国で、昨年、あの「パラサイト」を押さえナンバーワンヒット。
歴代でも第2位の興行収入記録を叩き出したという大ヒット作。
めっちゃ面白いという評判を聞き、観てきた。
シネマートという新宿の小さな映画館で。
その感想。

これはねー、良くも悪くも韓国映画なのよ。
そういう意味で、とてもクセが強い。
韓国映画特有のギャグとか、身内ネタとか、脚本や撮影、編集の変なクセとかがあって、「パラサイト」とは違うのよ。
そういう意味で、面白いところはメチャクチャ面白いんだけど、正直どうかと思う部分もあり、評価が難しい。
星は一応3つにしておく。★★★
この韓国映画味の強いクセが気にならずに観られる人なら、もっと高得点だろう。
何しろ、ストーリーの設定が抜群に面白いのだ。

ヤクザの麻薬取引を捜査するために集められた5人組のポンコツ捜査官たち。
失敗ばかりの彼らが最後のチャンスとしてある大物ヤクザの事務所を張り込むことになる。
張り込める場所は、道をはさんだ向かいのチキン屋しかない。
しかしそのチキン屋は店を売りに出し、閉店するという。
張り込みのために退職金を前借りし、チキン屋を買い取ってしまう捜査官班長。
その店で張り込みを続ける5人だったが、客が来るから仕方なくチキンを作って出したら、美味い美味いと大評判で、行列の出来る店になる。
……というこの骨子のアイデアだけでもう抜群に面白そうで、良く思いついたなぁと感心するのだが、実はこの映画、この「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」という面白さが実は用意された面白の一部に過ぎず、もっと最初から最後までハチャメチャなバカ麻薬捜査官コメディ映画なのだ。
逆に言うと、「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」をもっと観たかったのに、それ以外のよく分からないギャグや物語展開が結構出てくるので、フリがデカすぎていざ観てみたら少しガッカリという、いわやる「目線が上がった」状態になりがちなのが勿体ない。
むしろ、「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」は忘れて、ただの「ハチャメチャバカ麻薬捜査官コメディ」だと思って観に行くと、相当楽しめるだろう。

これ、どこかがリメイクしないかな?
「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」をストーリーの中心にドンと据えて、リメイクしたらもっと面白い話が出来そうな気がする。
この映画の場合、「大繁盛」をわりと早く捨ててしまう展開になるので、勿体ないのだ。
もっともっとムチャクチャ流行って、その結果が麻薬捜査に結びつくような展開もあるだろう。
それと、悪役のヤクザもバカキャラなのが実はもったいない。
悪役は心底怖いキャラにしておくと、もっとカタルシスのある後半が出来たはず。

ということで、日本の映画会社の誰かさん、これリメイクしませんか?
アイデア出しのブレーンとして参加しますよw

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スター・ウォーズ「最後のジェダイ」で盛大に失敗したライアン・ジョンソン監督の最新作。
あんなひどい映画を作ってしまったあと、サクッと撮ったにしては、アカデミー賞で脚本賞にノミネートされているなど評価は高い。
さて、どんなものか?
TOHOシネマズ日比谷で観てきた。

これはね、まぁまぁかな。
星3つ。★★★
ぶっちゃけ、映画でやる必要ないぐらいの小粒なミステリー。
テレビドラマだったら最高だが、映画館でわざわざこれを見させられても、という感はある。
ミステリー風に始まって途中でコロンボ(古舘任三郎)風に転換する構成は面白いけど、トリックは割とありがちだし、犯人は途中でほぼ2人のどちらかに絞られてきて、まさかその通りじゃないだろうと思ったらその通りだったし。
面白いには面白いが、なんつーか、「ハイハイ、よく考えましたね」って感じにしか思えない。

以下ネタバレも少し含むので、未見の方は注意。




ライアン・ジョンソンって監督は、結局その程度のものなのだと思う。
観客の予想を裏切ることを至上の喜びにしているのか、「最後のジェダイ」でもそうだったが、全くフリなしでいきなり観客を裏切るシナリオをぶっ込んできたりして、一番最後の最後なんて僕はドン引きした(あのカラクリナイフ、劇中に一切フリがなく、あそこで突然出してくるかね?)
手紙があぶり出し、なんてのもウソだろっていうぐらい古典で、それに気がつかないあのオッサンもキモすぎるし、そもそも肝心の殺人トリック(厳密には違うが)のところの理屈が通っているようで通っていないと思われ、主人公のアナ・デ・アルマスの注射のくだり、100㎜打つクスリと3㎜打つクスリが同じサイズの瓶に入っている時点であり得ないし、それを誤注射した理由も真実に気付いた理由も一緒なのでそもそもじゃあ後からでも気付くだろという意味で論理的に破綻しているわけで、まぁ、ありえない。
小手先のなんとなく面白そうに思わせる小ネタの数々で観客を煙に巻きつつ、実は破綻したどうでもいい話を大仰に語る、という意味で「最後のジェダイ」と一緒。
つまり、ライアン・ジョンソンとはその程度の映画監督なのだ。

でもまぁ、面白く観れるので、100点満点中マイナス150点を叩き出した「最後のジェダイ」よりは、2億倍ぐらいマシである。

最後にひとこと。
途中、犬神家かと思ったわ!www

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