そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





アカデミー作品賞ノミネート作。
「アメリカ史上最強で最凶の副大統領」と呼ばれたディック・チェイニーを、20キロ体重を増やしたクリスチャン・ベールが熱演。
その感想。

はい、これはスーパー傑作。
星4つ半。★★★★1/2
映画としてメチャクチャ面白い。
脚本が素晴らしい。
アカデミー賞ではメイクアップ&ヘアスタイリング賞しか獲れなかったが、それもそのはず。
映画の中身があまりにも政治的だからだ。
さすがにこの映画に作品賞とかをあげてしまうと、共和党支持者がハリウッドに黙っていないだろう。
民主党支持者はバンザイだが、国の分断はますます広がるだろう。
だからみんな無難な「グリーンブック」に投票したのだ。
仕方ない。
この映画はあまりにもブラックジョークが効き過ぎている。

だが、俳優はもちろん、監督始め製作者たちは本当に素晴らしい仕事をしたと思う。
日本ではこんな映画絶対作れないだろう。
「万引き家族」を文部省から金をもらって作っていたというだけで是枝監督が馬鹿なネトウヨたちに叩かれる国なのだから。
あの程度で叩かれるのだから、「バイス」に習って、「ガースー」とか「ヘイゾウ」と最凶の政治家を揶揄する面白ブラックジョーク映画を作った日には、ネトウヨ発狂で映画会社に電突がたくさん来て、官邸からも圧力が掛かり、おそらく企画の段階で映画はつぶされるだろう。
それが今の日本だ。
バカな総理を騙し、私利私欲で日本をどんどん貶めていく「ヘイゾウ」なんてめっちゃ面白い脚本になりそうだし、どこかの名家のお坊ちゃんでバカなので受験に失敗して成蹊大学しか出られなかったボンボン総理大臣の片腕として、右寄りの思想で官房機密費を使って言論統制に乗り出していく「ガースー」もなかなか笑える脚本になりそうだ。
だが、そんな映画は日本では絶対作れない。
アメリカは作れる。
心底、うらやましい。
この「バイス」、とにかく映画として超一級品であり、アメリカという大国の政治ですらこんな感じで動いているのだという恐ろしさを感じ取れるので、今のアベ政権に疑問を持っているリベラルには是非とも見て頂きたい映画である。


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