そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





大ヒット映画「君の名は。」をTwitterやブログで盛大にディスっていたら(と言っても僕の意識的にはもう1ヶ月ぐらい前のことなんだけれど)最近になって急に各所がプチ炎上してきた。
なんかどこかのネット民に急に見つかったんだろう。
僕のつぶやきをわざわざリツイートしたりリプライくれたりしてくれた皆さん、ありがとう。
好きなんだね、あの映画が。
僕は「シン・ゴジラ」が好きで映画館に7回も観に行ったが、それだけ好きだったけれどわざわざ「シン・ゴジラ」に文句を言っている人のつぶやきをリツイートしたりリプライしたことないので、皆さんのその「君の名は。」を溺愛するエネルギーの大きさ、逆に羨ましい。
好きな映画を批判されたら腹立つよね。
うんうん、分かる分かる。
ただ、わざわざリプライまで僕はしないけどね。
人は人、批判意見があるのは当たり前だからね。

まず興行収入では完全に負けた。
「シン・ゴジラ」の完敗。
「君の名は。」は150億は確実、200億行くかもね。
素晴らしいね。

ちなみにここで日本の歴代映画興行収入ランキングの上位20位までを見てみよう。

1 304.0 千と千尋の神隠し
2 272.0 タイタニック
3 259.2 アナと雪の女王
4 203.0 ハリー・ポッターと賢者の石
5 196.0 ハウルの動く城
6 192.1 もののけ姫
7 173.5 踊る大捜査線2 レインボーブリッジを封鎖せよ!
8 173.0 ハリー・ポッターと秘密の部屋
9 163.5 E.T.
10 156.0 アバター
11 155.0 崖の上のポニョ
12 142.0 アルマゲドン
13 141.1 ジュラシック・パーク
14 137.0 ラストサムライ
15 135.0 ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
16 132.6 スター・ウォーズ エピソード1
17 118.0 アリス・イン・ワンダーランド
18 116.4 風立ちぬ
19 113.1 インデペンデンス・デイ
20 110.0 ファインディング・ニモ

ここに「君の名は。」は食い込んでくる。
もう18位か19位ぐらいになってるのかな。
僕は(当然個人的によw)4位の「ハリー・ポッター」、7位の「踊る大捜査線」、8位の「ハリー・ポッター」、14位の「ラストサムライ」、15位の「ハリー・ポッター」、16位の「エピソード1」、17位の「アリス」、このあたり全部40点以下の映画だと思ってる。
さらに言うなら、3位の「アナと雪の女王」、5位の「ハウル」、12位の「アルマゲドン」、13位の「ジュラシック・パーク」、18位の「風立ちぬ」、19位の「インディペンデンス・デイ」あたりも、そんなにいい映画だったっけ?と思ってる。
なので、このデータから分かることは、興収を稼いだ映画が(あくまで僕にとってw)いい映画だとは限らない、ということ。
だから「君の名は。」が10位以内に確実に入ろうが、下手すりゃ4位あたりまで食い込もうが、今となってはどーでもいい。
興収ランキングと映画の出来不出来は僕にとってはまったくの別物。
僕にとってはというか、客観的に見ても、全くの別物。
興収が低くても、本当にいい映画は後の世が認めるものだ。
興収が高くても、そのときただのブーム(空気)で流行ったような映画は、後の世でいつしか忘れ去られる。
「踊る大捜査線2」がまさにそれで流行った映画で、同じく「アナと雪の女王」もこんなに評価されるほどの映画ではない(ディズニーの中では普通の出来に過ぎないと思う)。

なにが言いたいかというと、確かに「君の名は。」は大ヒットして、興収150億とか行くだろうけど、それが映画の評価と必ずしもイコールではない可能性はあるよ、ということ。
僕の中では興収80億程度の「シン・ゴジラ」の方が後世に残る名作だと思ってる。
ただこれは僕の個人的な勘なので、外れることもある。
48年生きてきて培った映画観で僕が個人的に(あくまで独断で)言っているだけのこと。
そんなに目くじら立てないでちょ。
とにかく「シン・ゴジラ」と「君の名は。」のどちらが後世に残るかは、実際に後世になってみないと分からないので、そのときを待とう。
まぁ10年も経てば大勢は決すると思うけど、そこは僕とキミたちとの勝負だ!
俺は「シン・ゴジラ」にベットする!w
まぁ君らもあと10年20年経って大人になって、いろんな恋をして、いろいろな経験と挫折を積んだら、「あの『君の名は。』って映画のブームってなんだったんだろう?」って思う日が来ると思うよ。
そんなのは実際10年20年経たないと分からないことだけど、そのときもし今回の件を思い出したら、確認してみて下さい。

「君の名は。」のどこが気に入らないかは、先に2つのブログ記事で書いた通り。
ただしメチャクチャ嫌いかというとそうでもない。
いいところまで行ってるのに惜しいなぁ〜って感じ。
画は綺麗だし、途中まではポップに楽しく見られるし。
ただ「彗星落下」というディザスター要素を持ち込んだ以上、そこに映画的カタルシスの中心を置いて、しっかり描くべきだった。
いちばん描いて欲しいところを省略された「肩透かし感」が、ぼくのこの映画の評価が低いいちばんの要因。
そして例のクレーターの淵でのイチャイチャ場面。
あそこで僕は映画を観ていて「は?なんでこうなるの?バカか?(失笑)」と実際に思った。
そう思う観客がいるということ。
しかもあれだけ君の名は名は「名は名は〜!」と言ってて、結果書いたのが「スキダ」って!笑
名前も書いとけよ!笑笑
あの瞬間、ホントにスクリーンに向かってポップコーン投げそうになったねw
このあたりが、ホントに惜しいっ!
この2点が違っていれば、むしろ「実はもっと多くの観客にウケた」映画になったと思う。
その点に於いて「惜しいっ!」「一気に40点っ!」って感じ。
もったいないなぁ〜と思う。
普通知らん人の身体に入ったらそれが「誰で」「ここはどこで」「今はいつの時代か」を最初にチェックするはずなのにしないし、電車の中で直接会ったのは3年前のはずなのに全然タキくん幼くなくて、三葉も相手の若さに気付かないという、あれだけリアルな設定のアニメなのによくそこだけアニメ的な言い訳で目をつぶって脚本書けたな、そもそも身体入れ替わったらその場所その時代がいつなのか最初に2人は調べるんじゃねフツー、でもよくそこだけに気付かずに進んでいくなぁ〜お話が、とかいうマヌケポイントはさておきだ笑。
3年ズレてるのにそれまでスマホでデータやりとりできていた都合のよい設定で、それがさらになぜか突然データ消えるというさらなる都合の良さで上書きされるという、目を疑うような都合のよい展開もまぁさておきだ笑笑。
ファンが聖地巡礼するほどリアルな現代日本を舞台にお話を作るんだったら、最低限の論理的整合性だけは担保して欲しいけどね。
それが無理なんだったら、別の惑星での話とか、未来の話とかにすればいい。
都合が悪くなると「アニメだからそういう細かいところは」とか言い出す連中も多い。
2つ前の「君の名は。」に関する僕の最初の(観賞直後の)記事に書いた通り、脚本が全体的に雰囲気過ぎるし、アラだらけすぎる。
こんなこと言わねーよとか、こんなことしねーよとか、こんな風にならんだろとか、こんなに都合良くいくかいな、とか。
一部から「100分のミュージッククリップ」だと揶揄される理由はそういうところだ。
まぁ、いいけど。
未成年の飲酒はどうかと思うけどな。
ちなみに僕の周りの大人たちは、8〜9割方が「君の名は。」がイマイチだと言ってるよ。
これは厳然たる事実。
この映画には間違いなく世代間の評価差がある。
そこがもったいないのだ。
どうせなら幅広く大人にもみんなにウケた方がいいじゃん。
だからむしろ次の作品に期待したい。
もっともっと上手く作れるはず。
なにしろ作画が綺麗だから、あとは中身の問題。
こうなんて言うか、僕みたいな世代の映画ファンも含めて、グイッとねじ伏せるような超名作を作って欲しい。

最後に。
「ただ面白いだけ』では、例えどれだけヒットしても、歴史に残る名作にはなれない。
「君の名は。』が面白かったという人を別に僕は否定しない。
しかし、『君の名は。』が人生いちばんの名作でした、と簡単にいう人は、全力で否定したい。
あんなものは名作ではなくて、ただの娯楽作だ。
世の中にはもっともっと素晴らしい本当の名作がたくさんある。
名作とは何か?
この世界を描く普遍的な人類のテーマを含み、かつ、それを明確に力強く伝えたかどうかだ。
つじつまが合ってるとか面白いのはあくまで前提。
その先に、普遍的なメッセージやテーマを描き、かつ、それが鑑賞者の心の根底に残らなければならない。
「君の名は。」が面白かったのは認めよう。
人が何を面白がるかはそれぞれの自由だから、いい。
ただ『名作』だというな。
これは『娯楽作』にしか過ぎず「名作」にはまるで達していないのだ。
いや、達していないというより、名作になり得る要素を何ひとつ含んでいないとすら言える。
それでも反論する人はいるだろう。
じゃあ逆に問いたい。
「君の名は。」は、観終わったあとに、何を残してくれたのか?
人生に、どんな示唆と叡智を与えくれたのか?
「どこかに運命のヒトがいる」という幻想か?
そんなもの幻想に過ぎないということは(誰にでも)分かるだろう。
そんなもの幻想に過ぎないということを描くのがむしろ名作だとすら思う。
運命の人なんかいない。
それでも人は生きていくのだと。
たしかに面白かった。
それはいい。
だが、心の奥底にはなにも残らない。
2時間の『夢』を見させられたに過ぎない。
それは娯楽である。
名作ではない。

ちなみに、僕が作っているテレビ番組、脚本を書いてきたドラマや映画に対する批判は甘んじて受ける。
クリエイターとして、世に作品を送り出す以上、なんと言われても仕方ないという覚悟はある。
ただ出来るだけいいものを作ろうと思って常に頑張っている。
それでも、出来ることと出来ないことがあるのは仕方ないのだ。

また炎上するかな?
いいぞ、どんと来いっ!
炎上はいくらでもエンジョイできるので、好きにしてちょ!
ただ時間は無駄にするな(俺も含めてなw)
結局勝ってるのは新海誠であり、庵野秀明だ。
俺たちは負けているっ!!
頑張ろう!
頑張っていいもの作るしかない!

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