そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





公開初日にIMAXでドーンと観てきた。
クリストファー・ノーランの最新作「ダンケルク」。
その感想。

星2つ半。★★1/2
普通によく出来ているし、ダメなところは一切ない。
全てに理屈が通っているし、矛盾はないし、人間の描き方も見事だし、ある意味完璧。
CGを使わずに実際の船や戦闘機を使って第二次大戦のダンケルク撤退戦を映像化。
とにかく素晴らしいと思う。
だが、いちばん素晴らしいのは、これが映画として宿命的に面白くない点にある。
1時間40分あまり、ただひたすら淡々と物語が進み、面白くないのだ。
監督の狙いがリアリズムにあることは明白だ。
だから、「どんでん返し」とか「意外な展開」とか「伏線とその回収」とか、そういう「映画的な仕掛け」がほとんどない。
ちょっとしたことで突然人は死ぬし、生き残る者と死ぬ者に差はなく、全てがただの運で決まっていく。
弾が当たるか当たらないか、沈没船から脱出できたか出来ないか、なんの理由もなく死ぬ者は死ぬし、生き残る者は生き残る。
悪役キャラが死んで、いいヤツが生き残るとか、そういうのは一切ない。
ゆえに、映画としては宿命的に面白くない。
そして、だからこそ、実は怖い。
そういう映画だった。
ドキュメントとフィクションの真ん中ぐらいの映画。
誰も成長しないし、変化もしない。
ドラマが一切ないのだ。

だから、「面白くない」のだ。
映画は面白くないといけないのでは、という議論はあるだろう。
ここまで面白くないのは狙いだろうから別に他人が口出しすることではないのだが、観客はもっとスゴイものを求めて映画館に足を運ぶんだろうし、そういう意味では肩透かしもいいところ。
それでも何か深いものがあればいいのだけど、そういう感じでもなく、もう一度観たいかというとそうでもない。

アカデミー作品賞は無理だろうと思うが(あってノミネートまでだろう)、今年はあまりいい映画が出てきていないから、なんとも言えないなぁ。


P.S.
町山智浩さんの有料解説を聞いたら、なるほど。
3つの時間軸の編集の妙で観客は上手にダマされているのだと。
たしかに騙されていた(笑)。
このダンケルクは実際のダンケルク撤退作戦とは似ても似付かないものだということも分かった。
別にリアルでもなんでもないのだ。
むしろデフォルメしているのだ。
実際のダンケルク撤退戦について知りたくなった。

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