そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





一部で話題の新作映画。
かなり面白いとの噂。
カーアクション映画なのに、全てのアクションや演技が古今東西のロックやその他の音楽にピタリと合っている「ミュージカルアクション」という新ジャンルらしい。
ということで楽しみに映画館で観てきた。
その感想。

まず星をつけたい。
星3つ半。★★★1/2
これは相当面白い。
文句なしに映画館で観るべき傑作だと言える。
うん、それは言い切れる。

ところがだ。
ここから先の感想には皆さん賛否両論だろう。
批判を受けることもありえると思いつつ敢えて言う。
これ、映画なのかと。
いや、面白いのはたしかに面白いのだ。
ただし、よく出来たテレビドラマを観た感じなのだ。
今どきのアメリカなら、テレビドラマやテレビ映画でもこのぐらいの作品は出来るのではないかという、なんとも言えない「こじんまりB級感」を感じてしまった。
実際予算も少ないんだろうし、CGなんか1つも使っていないからそう感じてしまうのかな。
この映画に重要な役割で出てくるケビン・スペイシーが、最近テレビドラマに出ちゃってるというのも大きいかも知れない。
あと主演の男の子のなんともいえない「テレビドラマの主演によくいそう顔」……この辺も「映画じゃなくて、よく出来たテレビドラマを観たぐらい」感の原因になっているのかな。

ミュージカルアクションは実はそんなに凄くはない。
僕はもっと曲と映画がぴたりと合った感じが2時間ずっと続くのかと思っていたので、拍子抜けだった。
良い感じにBGMに演技と編集を合わせたミュージックビデオ風のところがちょいちょい出てくる、ぐらいのことだ。
あまり洋楽を聴かないので、出てくる音楽のほとんどが初めて聴いた曲だったというのも、もう1つ評価が伸びない原因かも。
そして英語曲の歌詞が字幕されないので、英語ネイティブの人が歌詞の意味を理解しつつ観るのとは、大きく変わってくるのだろうとも思う。
これ英語ネイティブの観客にしてみたら、もしかすると「とんでもない名作」なのかも知れない。
その辺が英語の出来ない僕には分からない。
残念。

たぶん、僕のような日本人のアラフィフにも分かるようにこの映画がやっていることを説明するなら、北島三郎「与作」の「♪与作は木〜を切る〜トントントン〜トントントン〜」のトントントンに合わせて、与作みたいな農家の親父が拳銃を「ドンドンドン」とぶっ放している映画なのだ。
尾崎豊の「十五の夜」に合わせて、映画の中の15歳の登場人物が盗んだバイクで走り出しているのだろう。
そんなの出てくる曲を聴いたことがあって、歌詞の意味も完全に分かる英語ネイティブの観客じゃないと分かんないよね(苦笑)。
ただし、そんな部分が一切分からない僕でも楽しめて星3つ半だというところに、この映画の凄さがあるのかも知れない。



P.S.
映画評論家・町山智浩さんの有料解説を聞いたら、なるほどそういう考え抜かれた映画なのかと理解できた。
クイーンの「ブライトン・ロック」にそんな意味があったとは。
やはり根本的に文化圏が違うのだから、暗喩などを理解することは無理。
これだから日本語しか出来ない日本人には外国の映画が100%理解できないのだろう、悲しいことに。


映画『ベイビー・ドライバー』冒頭6分カーチェイス


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