| 永遠の0 (講談社文庫)百田 尚樹講談社 |
かなり良いとの評判を聞き、購入した。
百田尚樹氏のデビュー作「永遠の0」
50万部ぐらいのヒットになっているそうだ。
文庫版でもかなり分厚く読み応えある分量だが、最後まで一気に読んでしまった。
読まされてしまった。
その感想。
すごい。
すごすぎる。
そして困った。
なぜなら完敗だからだ。
完敗だ。
というのもこの百田氏、放送作家なのである。
いちおう同業者なのだ。
なのにこんなにすごいのを書かれてしまった。
しかもデビュー作で。
とても勝てん。
困った。
いや、すごい。
すこいっす!
すごいっす先輩!
上手っす先輩!
……もうこんな感じでおちゃらけるしかない。
そのぐらいため息ものだ。
すごい。
ふぅ。
ま、10歳以上年上の先輩放送作家さんだから、まだ僕にはこんなの無理ですわ~、と虚しい言い訳をしつつ、気を取り直して筆を進めると……
ま、少しだけ偉そうに言わせてもらうと、話の途中にちょいちょい差し込まれる著者のあまりにむき出しすぎる戦争史観が少し唐突で浮いているところや、小説だから仕方ないとは言え最後にとってつけたような「どこかで見たことあるようなオチ」とか、わかりやすすぎるドラマツルギーとか、そういった構成屋さんらしい手慣れた手法の数々が、そうしたくなっちゃう気持ちが同業者だけによ~くわかるし、デビュー作だからついつい力が入っちゃって盛り込みすぎたってのもよ~く分かるのだが、僕は必要ないと思った。
そのぐらい小説の骨子が骨太なので、もったいないのだ。
姉弟のエピソードや左翼の新聞記者や最後に明らかになる祖父母の馴れ初めとか、要らない。
もうそんな戦争史観とか小説的技法とかドラマツルギーのためにとってつけたような部分がいっさい不要だと感じるぐらい、本書の主人公・零戦パイロット宮部久蔵が辿っていく太平洋戦争の描写がすさまじいのだ。
もう、それだけでいい。
もう、それだけで勘弁して。
参った。
参りました~
堪忍ですぅ。
……そんな感じだ。
ま、こんなスゴイの僕には書けないので偉そうに言っても仕方ないのだが。
書けんなぁ~
巻末に参考図書のリストが山のように載っているのだが、あれだけの数の資料を読むだけで僕には無理だもん。
なんだか人としての器の違いをまざまざと見せつけられたようで、ショック。
百田さん、放送作家かぁ~
放送作家ですっていうプロフィールやめて欲しいなぁ。
ハードルどんどん上がるもんなぁ。
……と、多くの放送作家を代表してここに書いておこう。
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