自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

アファンのネズミ9 フクロウの役割

2011年01月25日 | アファンの森

 ところが調べてみてわかったのはアファンのフクロウが食べていたネズミの7割くらいがハタネズミだということでした。ハタネズミは森林よりも草原を好み、条件が許すと爆発的に増えると書きました。アファンの森でもとくにドングリが豊作だったあとにはハタネズミが増えるようです。私たちが調査を始める少し前にネズミが大発生して、せっかく植えたコナラなどの若木をひどく食べてしまったそうです。それはハタネズミが好む明るい草地のような場所でした。フクロウはこういう場所に来てハタネズミを捕らえていた可能性が大きいです。とくにハタネズミが多い年はそうでしょう。ということは、爆発的に増えたハタネズミをフクロウが食べることで、その過剰分が抑制されることになり、それは木々が痛めつけられるのを緩和することになります。
 「フクロウはすみかを提供してもらっているので、森に恩返しをしている」と考えるのはストーリーとしてはおもしろいですが、実際はそういうことではありません。ハタネズミは増えるチャンスが訪れれば増えるだけ増えようとするし、フクロウは一番無駄なく捕れる餌を捕ろうとしているだけです。そのことが結果として増えすぎたハタネズミを抑制し、樹木への被害を小さくしているのです。
 ひとつだけ間違いなく言えるのは、もしフクロウがいなければハタネズミの増加はもっとひどいものとなり、若木への被害はもっと深刻になるに違いないということです。これは森林という共同体における異常な現象をフクロウが緩和しているとみることができます。
 生物多様性ということばがなんとなく流行し、できるだけいろいろな生き物がいることがいいことだといった乱暴なメッセージが跋扈していますが、多様性が尊いことの本当の意味は、例えばこのようにフクロウがいることが森林の機能を潤滑にしているということのはずです。
 フクロウはとても魅力的で、雛のかわいさといったらありません。だからフクロウを守ろうということでもいいのですが、こういうふうに「フクロウには森林の機能を維持する働きがあるから守るべきだ」というほうが、保護理念としてもよほど強いものになります。私たちはそうしたことに役立とうとして、日夜コツコツと自然の話を聞く努力をしています。
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