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自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

朝日新聞記事「都道計画をめぐり小金井市長が翻意」

2025年03月04日 | 小金井
2025年3月4日朝日新聞(多摩版)

「都道計画をめぐり小金井市長が翻意」
と題して、経緯が紹介された。以下に要約をまとめておく。

白井市長は2022年の市長選で、都道計画反対を公約として当選したが、一転して計画を容認した。市長は当時「今止めなければ取り返しがつかない」と訴え、2024年2月の施政方針演説でも「都に対し中止を求める要望書を提出する:としていた。これに対して「裏切り」「公約違反」との声があがった。その後で、私(高槻)のことが紹介され、高槻(保全生態学)が報告を取り消すよう求めていた、これを受けて市長は3日の会派代表者会議で報告を撤回するものの計画容認は変えないとしている。その結果、小金井市議会は混乱している。


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<市議会について>

2025年03月04日 | 小金井
<市議会について>
 私が大いに疑問に思うのは市長の意思決定と市議会との関係です。複数の市議が、この市長報告は撤回すべきだと発言しました。議長はただ承ったというだけでしたが、これは動議ではないでしょうか。市議の多くは、この市長報告は到底納得できないと発言しています。また多くの傍聴者は市議の正しい発言に拍手を送りました。それは自然の成り行きで、議長が「規則だから」と制止する性質のものではありません。私はむしろこの市議会は多くの市民が参加する質の高いものだと評価すべきものだと思いました。これだけの熱意を持った市民の反対の声と市議の声を市長の一存で無視するとしたら、小金井市議会は民主的決定をしているとは言えないでしょう。これは由々しき問題です。You Tubeは公開され、全国の人が見ることができます。そこでのやり取りを見た人が、最終的に市長報告にあるように道路計画が容認され、要望書が出たことを知れば、小金井市議会の評価は地に落ちるでしょう。
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<文書非開示について>

2025年03月04日 | 小金井
<文書非開示について>
 市議会では私が高槻文書の開示を拒んだとされています。いかにも私が非協力的だと言わんばかりです。このことについて私のところに市長から電話があった時、私は2つの理由で断りました。1つは、高槻文書を公的なものとしてほしいと求めたことは拒否されたから、もう1つは市長報告は道路推進になっており、高槻文書は不適切な形で引用され、結局は無視されたも同然であるからです。さらに言えば、それが私の名前を明記し、私の了解もなく公開されたからです。元々は公開できるものにするよう求めたものが拒否され、道路反対と書いたのに道路推進に利用されたのですから、当然のことです。それに対して、その背景説明をしないまま「高槻の了解は得られなかった」といかにも非協力的な印象を与えられたことは不本意です。
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<白井市長の姿勢>

2025年03月04日 | 小金井
<白井市長の姿勢>
 私が「高槻文書」を書いたのは、道路反対を公約とした白井氏が、その公約を実現するのに役立つと信じたからです。市長にスライド・プレゼンテーションした時に感じたのは、私の意図は通じ、市長は道路反対という方針で動いてくれるだろうという期待でした。納得がいかないのは、市長は最終的に道路容認に翻意したのに、私のプレゼンテーションの時にそのようなことを全く感じさせないで、むしろ生態系の保全は重要だという趣旨の発言をしたことです。それで私は自分の主張が理解されたと思いました。市長はなぜその時に私に、「自然保護も大事だが、市長としては道路計画を容認せざるを得ない」と発言しなかったのでしょうか。それは、市長は議論をしても勝てないことがわかっていたからだと思います。自分の立場が悪い状況では議論をしないという白井氏の行動パターンは、市長報告の前に市民説明会を開催しなかったこと、支援者に事前説明をしなかったことにも共通することです。そのことは市長報告の「総合判断」という表現にも現れています。道路には生活者にとっての利便性というプラス面と環境破壊をするというマイナスの両面がつきものです。意思決定に重要なのはそのバランスをどうとるかにあります。そこにこそリーダーシップが求められます。本来の市長報告であれば、利便性と自然破壊を取り上げ、そのバランスを具体的に説明すべきです。しかし市長報告ではそれらは明記せず、高槻文書を紹介しただけで、それを意思決定にどう反映させたかは書いてありません。そして、それを避けて「総合的」という言葉で曖昧にしています。市長報告を読むと、一体道路計画に賛成しているのか、いないのか理解しにくい箇所が散見されます。これは意図的なもので、公約に反することがまともにわかることを回避しようというとことにあるのだと思います。市議会における「私は道路計画推進とは言いません」という答弁はその表れです。推進しなくても東京都と一緒に道路計画を進めるのであれば、公約違反そのものです。リーダーたる人は、自分の考えを堂々と説き、対立する意見と議論すべきでしょう。



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野川の自然を脅かす都道計画に寄せて

2025年03月04日 | 小金井
2025.3.3

野川の自然を脅かす都道計画に寄せて
−小金井市「市長報告」に思う−

高槻成紀

 私は生態学者であり、小平市に住んでいるので、自然と玉川上水の動植物に目がゆく。そしてその価値を感じ、保全のために活動をしている。東隣にある小金井市の野川は玉川上水が人工的な水路であるのとは違い、自然の川であるから、玉川上水以上に素晴らしい自然が残っている。ところが、ここに道路を通す計画がある。これは小金井市だけでなく、東京都にとっても大きな損失となる。小金井市長の白井亨氏はこの道路に反対する公約によって市長に選出された。
 昨2024年12月、小金井に住む知人から、この道路計画に関する調査報告が公表されたので、市長のために専門的立場から評価を書いてもらえないかと頼まれた。私は生態学者として協力したいと考え、市長が道路計画に反対することに役立ちたいと思い、喜んで引き受けた。そして12月24日に「道路概略検討(3北南 – 小金井3・4・11外2号線)報告書の評価」と題した文書(以下、「高槻文書」とする)を書いた。その詳細は略すが、要約は次のようになる。

1)小金井市には「小金井市みどりの基本計画(こちら)」などがあり、小金井市の自然の豊かさを称賛し、それを守ることを主張している。この報告はこれらに反する。
2)動植物調査では主要な動植物群の種数が挙げられ、そのうち注目すべき種がリストアップされている。しかしその評価は中立性がなく、道路建設を前提として「影響にはできるだけ配慮する」、あるいは「影響は小さい」としている。これは中立であらねばならないアセスメントの精神を逸脱している。
3)この報告が作られた後の2023年に東京都は「東京都生物多様性地域戦略」を策定した。そこでは東京都は生物多様性を重視し、その保全に努めるとしており、60年も前の計画を強行することは、社会状況の変化を無視したもので禍根を残す。
4)都道建設とはいえ、その道路は小金井市につくものである以上、東京都は小金井市の意見を聞くべきである。小金井市は市民の意向を汲み、それに即した行政判断をし、東京都に対して決然と主張すべきである。

 その後、今年(2025年)の1月10日に市長にこの内容をスライドを用いて解説した。
 2月になって知人から「信じられない結果になった」と連絡があった。市長報告が出され、その内容は道路計画容認であり、明らかな公約違反だということであった。この市長報告は小金井市のホームページに公開された(こちら)。
 そこには私の個人名をあげられており、高槻文書が不正確に引用されていた。このことは事前に了解を得なかったばかりか、私は公開することさえ知らされていなかった。そのことも容認できないが、最大の問題は、次のことにある。

 私は野川の自然の素晴らしさを考えた時、この自然を残すのは我々の世代の責務であり、それを多くの問題がある道路報告に基づいた計画を容認してはならない、小金井市は市民の願いを受け止めて、東京都に対して、道路計画は少なくも凍結すべきだと決然と主張すべきだとした高槻文書に反する。
市長報告は高槻文書から恣意的に一部だけを取り上げ、それを参考にする形で「総合的判断」という曖昧な表現によって、結局は道路計画を容認している。私の文書が趣旨と逆の形で利用されたことは、人生を自然保護にかけてきた私にとって耐え難いことであり、到底容認できない。しかも、これは、小金井市が素晴らしい自然を未来の世代に残すと表明した「小金井市みどりの基本計画」をふみにじるものであり、何よりも、市長になった白井氏の公約をひるがえしたことにほかならないものでもある。

 私は、このような、手続き的にも、内容的にも問題に満ちた市長報告が公開されることを断じて容認できない。このことは小金井市議会(2月17日)でも取り上げられ、紛糾した(こちら)*。私は、市長報告を取り下げた上で、市長報告が道路計画を凍結とするものとなることを希望する。理由はきわめて明白である。野川の自然が守られることを多くの小金井市民が望むからであり、白井市長は公約を果たすことができるからである。

 小金井市には東京にはまれな豊かな緑があり、そのことを市民は誇りに思っている。野川で夢中で遊ぶ子どもたちを見るとき、これを未来の世代に引き継いでもらいたいと切に思う。「人対自然」ではなく「人も自然も」の方が、そしてこれまで「やむを得ない」として破壊してきた自然には「寄り添う」ほうがよほどよい。行政はこの民意を掬い上げるべきであろう。

* 小金井市議会では、高槻文書が道路問題の重要な要素になっているのに市長しか読んでおらず、市議会として評価ができないから、共有すべきとの意見が出た。またその引用が不正確であり、高槻の了解を得ていないことも問題であるとされた。この状況に対して、私は自分の考えを伝える必要があると思い、3月3日に「私見」として議員に配布してもらった。こちら



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