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自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

<動植物への影響>

2025年03月10日 | 小金井
<動植物への影響>
 p.2-318からは2.2.2動物・植物となり、注目される種(動物)がp. 2-326にある。その記述は鳥類が10種などと種数が挙げられているが(p. 2-324)、それだけで唐突に終わる。これらの種がいることが多いのか少ないのかなど一切記述がなく、道路工事の影響との関係は全く記述がない。
 p.2-346はオオタカの記述があるが、繁殖が確認されたとしか書いてない。
 p.2-349からは植物が書いてあり、493種が確認され、17種の注目種があると書いてあるだけである。
 なおここにキンランが取り上げられている。そしてどこどこで確認され、菌との共生を考えると道路の影響は大きいとしている。にもかかわらず、「可能な限り配慮する」と結んでいる。これは実質的には「キンランがあっても道路はつける」ということであり、調査をした意味がない。ギンランは「維持されると予測する」と書いてあるが、その根拠は書いてない。
 p.2-357からは植生が書いてある。
 p.2-359からは生態系p.2-363には生物間のつながりが書いてあるが、全て推定であり、データに裏付けられたものではない。

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<上位計画について>

2025年03月10日 | 小金井
<上位計画について>
 第2章は道路概略検討で、その中で上位計画を紹介している(p.2-1)。このうち第五次小金井基本構想・前期基本計画には、「自然と都市が調査した人に優しいまち」とあり、「国分寺外崖線、野川、都市公園などのみどりと水は本市の大きな魅力です」とし、その「質の高いみどりの保全や創出に努めます」としている(p.2-8)。
また「小金井市都市計画マスタープラン」では、小金井市のまちづくりのテーマとして「次世代に誇れる自然と都市が調和したまち」としている(p.2-19)。

 これらと道路計画に対して市民が意見を寄せており、「国分寺崖線と野川を分断する3本の道路はとは両立し得ない」「この計画は野川、武蔵野公園を分断SDGsに反するから、見直すべき」(趣旨を損なわない程度に省略)などの意見が寄せられた(p. 2-19)。これらは完全に合理的なものである。

これに対して、建設環境委員会では1)「計画道路は住民の命を守る道路として必要性がある」、2)「計画道路は市民、子供達の命を守る道路。過去の災害からも道路は必要」(趣旨を損なわない程度に省略)などの意見が寄せられた(p. 2-20)。これらの意見は合理性を欠く。もし、この意見が正しいとすれば、この道路がなければ小金井市民の命が守られず、災害から守れないことになる。そうであれば、現状の小金井市は市民の命を守らない道路状況にあることになる。事実はそのような状況は全くない。またこれらの意見は小金井市の上位計画との整合性が全くない。つまり小金井市が明記する「自然と都市が調査した人に優しいまち」と目標とし、小金井の自然を高く評価して、「質の高いみどりの保全や創出に努めます」という目標を無視し、根拠のない「市民の命を守る」点だけを取り上げるというバランスを欠いた発言をしている。このことは市が組織する委員としての資質を疑わせるものである。

 次に「小金井市国土強靭化地域計画」を取り上げているが(p. 2-21)、これは事故による死亡を避けるなどの内容である。
 次に「小金井市みどりの基本計画」を取り上げている(p. 2-22)。ここには3つの基本方針(みどりを守る、みどりをつくる、みんなで育てる)があり、具体的な場所が挙げられている。ところが、これに続く「みどりのまちづくり方針」で、突然、交通軸が出され、「道路に面した民地の緑化」などという記述が出る。そして「計画地への言及」として「崖線エリアは緑の維持管理がされ、計画道路が設定されている」とある(p. 2-23)。これはみどりの基本計画とは無関係であり、基本方針は何ら反映されておらず、基本計画の展開ではないにもかかわらず、この部分に道路が設定されているという結論になるか理解できない。
 次に「小金井市コミュニティバス」が取り上げられ、利便性などが書かれている(p.2-25から)。
 次に野川の調整池の再生計画が書かれており、当該地には縦断道路がつくことが前提とされている(p.2-28)。このことと、「小金井市みどりの基本計画」の関係は理解できない。
 p.2-29は小金井市基本構想、小金井市マスタープラン、強靭化計画、バス計画、調整池再生計画、武蔵野公園計画が一覧され、比較され、前述の17項目との対応が示されている。この表の見方は理解できない。例えば「動植物への影響」と基本構想には●がついており、基本構想は動植物にプラスの影響を与えると読み取るという意味であるらしい。そのように読み取れば、バス計画に●がついていないのは当然であるが、調整池再生事業は道路を前提としているのだから、ここに●があるのは矛盾する。また項目8, 9, 16, 16, 17には何も書いてない。17の活性は基本構想やマスタープランとは無関係とはどういう意味であろうか。バス計画は活性化のためではないのか。このように、項目や計画の対応が妥当になされておらず、この表からは正しい結論を導くことができない。
 その後の意見は熟読する余裕がなかった。
 p.2-45には17項目に対する市民の声(課題)が一覧とされており、市民が課題としていることは妥当であるが、これにどう対応すべきかは書かれていない。
 そして、その後は「路線選定と構造物計画」に転ずる。つまり、これまで紹介した、小金井市の自然に対する姿勢と道路計画の関係がどうあるべきの議論がないまま路線選定と構造物計画が説明されることの関係が理解できない。ここには計画の内容が書いてあるだけで、動植物との関係は書かれていない。
 2.1.4比較検討となっている(p.2-99)。そして、17項目について、課題と市民の懸念が一覧表になっている(p.2-101)。これを踏まえて、次のような結論が出される(p.2-117)。地下水に対しては橋梁が良いとされる。この検討は、道路の妥当性ではなく、道路はつけるものとして、工法の選択をしている。この展開の妥当性はわからない。大気汚染については基準値以下だとされる(p.2-119)。日照は橋梁では影響があるが、時間的に変化すると当然のことしか書かれていない。景観は可能な限り配慮するとあるが、「可能な限り悪影響を抑制する」という表現は、実質的には何の抑制にもならず、悪影響があっても「できる限り抑制した」とすれば正当化される。本来は基本計画との関係で論じるべきであるのに、問題をすり替えている。緑地面積については「緑は減少する」と書いている(p.2-126)。緑の減少は基本計画に反するから、中止とすべきである。「減少は避けられないから、新たな緑を創出する」とあるが、これも正しくない。樹木にはその場所で数十年、あるいはそれ以上の歴史があり、かけがえのないものである。これを伐採して「創出」すれば問題ないとするのは、東京都の生物多様性地域戦略に謳われた「ネイチャーポジティブ」と真っ向から反し、東京都の方針を蔑ろにするものである。
 地域コミュニティの分断(p.2-130)については、復旧後には道路が利用できるから分断の影響は小さくできるとしているが、これには根拠がない。「道路が利用できるが、影響は甚だ大きい」と書くことも可能であり、意味がない。
 騒音・振動については(p. 2-131)、騒音は出るが低騒音舗装により振動はメンテナンスで低減できるとしている(p. 2-132)。この理由づけができるのであれば、初めから検討する必要はない。「騒音と振動が発生すれば住民にマイナスがある」のであって、それは基本計画などに反するのだから、それを遵守すべき小金井市の選択としては中止するしかない。
 これ以下は道路がつくことのマイナス面ではなくプラス面を書いているので、この評価の目的とは違うので省略する。
 この後は、工法の長所短所を書いているが、どの工法によっても小金井市の方針とも、東京都の方針とも反するのは明らかである。
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<調査と調査項目>

2025年03月10日 | 小金井
<調査と調査項目>
 そのための調査を2022年の2月から12月まで実施している。
 検討項目について1.3に実施方針を取り上げ、その中で17の評価項目を列記している(p.1-3)。しかし、これには問題がある。この項目を見ると、道路がつくことのプラスの面(利便性など)と、マイナスの面(騒音、自然破壊)とが区別されずに羅列されており、項目立ての背景が妥当とは思えない。
また、一般に道路を含め建設工事によって必要となる評価項目は現象そのものであるべきであり、その評価は別のことである。つまり項目に価値観が入るべきではない。例えば地球温暖化の影響という場合、ある月の平均気温が上昇し、人々の生活に支障がきたすという影響があったとすると、評価項目は気温と生活の具体的内容(エアコンを使うなど)となるはずであり、それが良いか悪いかの価値観は別のことである。表1-2には「湧水や地下水への影響」など適切な項目もあるが、「大気汚染への懸念」という項目がある。これは「大気への影響」であるべきで、汚染であるかどうかは医学的根拠が必要であるし、「懸念」とは主観的な価値観である。また「防災性の向上」も「よくなる」という価値観が入っており、項目としては「防災性」であるべきである。つまり、この項目自体が意図性を持ったものであり、客観的評価になっていない。
 また表1-2では17項目が羅列されているが、動植物への影響と文化財への影響とはどういう関係であるか理解できない。これらの項目を内容別に整理すると、1)道路を広域的に見た場合の影響、2)道路がつくことによる物理環境への影響、3)自然への影響、そして4)地域社会への影響と項目の整理をすべきである。そのように整理すると、「日照と景観」というのは1つの項目ではなく、「日照と気温、地温」と「景観」は別の項目でなければならない。同様に、動植物と生態系への影響も1つの項目としてあるが、これらは内容的に大きく違うので、別項目とすべきである。さらに、現在の保全生学においては生物多様性の視点から年自然においては連続性(コリドーの考え方)を重視するようになっており、東京都が2023年に策定した「東京都生物多様性地域戦略」の中でも連続性の重要性を強調している。その意味で自然への影響の中に「連続性への影響」を追加すべきである。
 また、項目の中には「地域の活性化」「地域コミュニティへの影響」などがあるが、もし道路によって地域が活性化したと評価するのであれば、その地域において道路以外は変化しないことが前提となる。なぜならその地域が活性化したとしても、それは道路以外の要因によるかもしれないからである。このような現象は短期間の調査で評価できるとは考えにくく、道路の影響の評価項目としては不適切であろう。一方、「東京都生物多様性地域戦略」として重要な人々が地域の自然に親しむことは道路の影響として重要であり、アンケートによって評価できるはずであるが、項目として取り上げられていない。

 以上のように、この調査項目は検討が不十分であり、未整理である。特に「東京都生物多様性地域戦略」を反映していないことは問題である。ただしこの考えは新しく、報告が書かれた2022年時点では行政では十分に理解されていなかったという状況はある。しかし2023年には東京都が極めて重要であると強調して策定した計画であるから、該当地においてもこの評価を凍結し、調査そのものをやり直すべきである。
 次の表2は著者による項目一覧である。赤字は新項目である。



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<目的>

2025年03月10日 | 小金井
<目的>
 この報告書は冒頭(p.1-1)で業務の目的を「小金井3・4・11号府中東小金井線外について、環境に対する影響等を反映させた道路構造の検討をおこない、今後の構造物の工法選定に資する概略検討を目的とする。」としている。つまり、道路を建設することの妥当性を検討するのではなく、道路建設を決定したものを前提としてその工法のいくつかの影響を比較するものとなっている。
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お天道様

2025年03月06日 | 小金井
 私は「私見」で白井市長に厳しいことを書いた。人は誰でも過ちをする。うっかりミスもあれば、故意のもの、不本意ながら状況が許さないものもあるだろう。私自身、日常生活でのうっかりミスなど常習犯で反省することが多い。だから過ちを批判するのは心苦しい思いがある。
 ただ、私はこの状況では野川の自然を優先し、それを価値基準に置いた。それを軸にすれば、野川の自然に悪影響を及ぼす道路計画を進めることに反対することになり、それを容認する白井市長を批判することになる。ここは個人としての白井氏に申し訳ない気持ちはあるが、野川の自然を守る必要性が上回ったということだ。
 こういう局面で私が思うのは、お天道様だ。子供の頃、両親や祖父母から、何をしてもいいがお天道様に恥ずかしいことだけはするなと教えられた。中学二年生のとき、女の子をいじめている奴がいたので止めに入ったら、そいつは喧嘩なれしていて、いきなり私の目を殴ってきた。私の目の周りは青黒く腫れた。事情を聞いた父は喧嘩をしたことを叱るかもしれないと思っていたが、思いがけないことに褒めてくれた。私の父は九州生まれなので、弱いものいじめを強く嫌った。その気質は私にも遺伝しているようで、女の子をいじめる彼を許すことができなかったのだ。その時、父は口にはしなかったが、私は小さい頃に言われた「お天道様に恥ずかしいことはするな」を思い出して、自分のしたことをお天道様は喜んでくれただろうと思った。
 自然を破壊することに手を貸す者には厳しく対することに、お天道様は微笑んでくれると信じている。
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高木市議の発言内容(3月6日)

2025年03月06日 | 小金井
高木章成市議の発言内容
(高槻が3月6日の市議会をYou Tubeでみて、要点をメモしたもの)

「信なくば立たず」
白井さんが立候補した時、同じ歳ということもあり、市政を語り合った。でもそれは今や思い出だ。
白井さんはその後議員になり、政策やマニフェストを学び、市長に舌鋒鋭く切り込んだ。西岡前市長にはいくつも問題があり、それに対しエビデンスを示し、鋭く批判したのが白井さんだった。前市長の都市計画道路反対の姿勢が不十分と批判した。白井さんと私は意見が違うこともあったが期待していた。
にもかかわらず、市長が道路反対することを期待して寄せられた専門家の意見を剽窃し、パクリをした。そして、前市長が市民の声を理解して築いた防波堤を破壊する総合的判断に至った。これは公約違反以前に一度失われた自然はもとに戻らないという点で小金井市民に著しく不利益をもたらす。このような、専門的知見にレスペクトを欠く態度はその他の事案における弁護士や専門家に対する態度にも共通する。議員時代の白井さんならこのような事態を打開したはずだ。白井さんはいつからエビデンスを軽視し、フェイクによって語るようになってしまったのか。前市長の負のレガシーから小金井市を立て直すはずだった公約の多くは精彩を失い「詐欺フェスト」に成り下がった。二元代表制のもと議会は熟議をへて、より多数を持って意思表示することが政治的意義を高めるとの考えるに至った。
よって白井市長は市長の資質に著しく欠け、辞職するに値するものと断罪し、決議案に賛成するとともに、賛同を呼びかける。
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3月5日の東京新聞

2025年03月05日 | 小金井
3月5日の東京新聞は「小金井市長が都道計画の報告撤回」と題した記事を掲載した。市長報告の撤回申し出があったとし、それが承認されたとは書いてない。一方、私の「私見」について踏み込んだ記述がある。市長報告で、「疑問を抱いている」と表現を弱めたこと、事前確認がなかったことなどを理由に私が取り下げを求めていたことを紹介している。この記事は最後に市長が道路反対で当選し、「2月の市議会で道路計画の必要性は否めないとする市長報告を出した」で終わっている。これを読んだ読者は、市長は道路を容認したのだと受け取るのではないだろうか。注意深く読む人はそのことを撤回したというこの記事の趣旨を理解するかもしれないが、新聞記事は流し読むことが多いから、最後の部分が印象に残って、誤解を生じるように感じた。
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3月5日の朝日新聞

2025年03月05日 | 小金井
3月4日の市議会の内容が3月5日の朝日新聞に掲載された。その内容は白井市長の「市長報告」取り下げが承認されたということである。記事には、私が「私信」に書いた「高槻文書」の正しくない引用を謝罪し、「無断な上不正確な表現だったことを事実上、認めた」とした。記事には「当該道路の必要性は否めない」という質問に、市長は必要性の考えは変わらないとしたとある。これについては、私はこの発言を取り消したと聞いたが、動画での確認はしていない。もしかしたら朝日新聞の記事は正しくないかもしれない*。
 また公約との関連にも触れ、市長が公約に反した部分があることを認めたこと、「前代未聞の出来事で、ことの顛末を含めて本当に恥ずかしい」と述べたことも紹介している。そして、自分にはなすべき課題があり、4年間の行動を持って評価されるべきものだと発言したことに、満席の傍聴先から「何を言っているんだ」「おかしい」という声が飛んだと結んでいる。

++++++++++++;
* 3月の東京新聞には次の記述がある。

(白井市長は)道路の整備については、いったん「必要性は否めない」と自身の考えに変わりはないと説明。その後、市議から批判を受けて、必要性についての発言を取り消した。

これによれば、朝日新聞の記述は正しくないように思える。
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小金井市議会(3月4日)

2025年03月04日 | 小金井
 本日(3月4日)本会議があったのでYou Tubeで見たが、質疑の他に「議事進行」について意見を挟む慣例があるようで、その頻度と所要時間が法外に長く、私は忙しかったので、途中で見るのをやめてしまい、間歇的にしか見なかった。
 市議は昨日市議や関係者に配布してもらった私の「私見」を読んでいたので、関連の質問も多かった。その中に書いた、私が希望したのに市役所から依頼するという形を取れなかったにもかかわらず、市長報告には依頼したと書いてあった誤記について質問された市長は、誤りを認めて謝罪するしかなかった。また市長報告の撤回というのは前例がないらしく、そのこと自体に対する批判も相次いだ。朝日新聞に市長は道路容認という考えを変えるつもりはないと書いてあったことから、撤回するのに主張を変えないというのは撤回にならないという批判もあり、この発言も取り下げたようだ。質疑の後、「市長報告撤回を承認するかどうか」という異例の議決をすることになり、起立多数(23名中18名)で承認された。ともあれ、私としては、要求していた市長報告撤回が市議会で認められてほっとした。
 私はこれを最大の関心事としていた。というのはそれでも市長は3月末に東京都に要望書を提出して道路容認となると思っていたので、とにかくそれを書いた市長報告を撤回させることに集中していたからだ。だが、道路容認もしないことになったようだ。これは私の想定以上のことで、こうなれば、少なくともしばらくは道路工事が動くことはないので、野川の自然を守るということでは良いことになる。
 今後のことは流動的要素が大きく不透明ではあるが、今にも動きそうになっていた道路計画容認がブロックできたわけで、懸命に「高槻文書」を書いた甲斐があったと思った。
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「市長報告、優先整備路線の検証 及び総合判断について」に関する私見

2025年03月04日 | 小金井
「令和7年第1回定例会、市長報告、優先整備路線の検証
及び総合判断について」に関する私見

2025.3.1
高槻成紀

<はじめに>
 表記の市長報告が小金井市(議会)のホームページに公開されました(こちら)。また私は、You Tubeで2月17日の市議会の様子を見ました。これらには、私の個人名が出てくるので、これらに対する私の考えを小金井の行政に関わる人々に伝える責務があると感じ、以下に記すことにしました。
 私は小金井市民にとって野川の自然はかけがえのないものであり、それを将来の世代に残すのは現在の市民の責務であるとの思いから、これに悪影響を及ぼす「3・4・11号線の報告」についての見解を書きました。これを以下「高槻文書」とします。これは、ある小金井市民が市長に読んでもらいたいからと要請されたことに応えたものであり、これを白井市長が読むこととなりました。その時点で私は、白井市長が道路反対を主張するのに役立つという期待から執筆しました。そして、私はこれを小金井市の要請によるものとしてほしいと要望しましたが拒否されました。
 その後、この内容をスライドにして市長の前で説明しました。それはこの道路計画は野川の自然にダメージを与えるにもかかわらず、道路計画報告書は調査結果を歪曲し、生態学的な誤りがあるとともに、現代保全生態学の知見や考え方が反映されていないばかりか、東京都が策定した東京都生物多様性地域戦略にも反するものであり、このような報告書に基づいて道路計画が進められることは不適切であるから調査をし直す必要があるという内容です。そして、結論のひとつとして、小金井市は3・4・11号線計画を見直すことを東京都に決然と主張すべきであるとしました。
 しかるに、市長報告は3・4・11号線を推進することを東京都に要望するものとなっています。これは「高槻文書」と全く違うものであり、市長報告の中では環境に配慮するなどの言葉を並べることで論点をわかりにくくしていますが、要するに私の主張を無視したものです。これは、私個人として不本意であるだけでなく、小金井市民にとっても禍根を残すものです。

<市長報告の内容>
 市長報告では3・4・11号線について検証は次にように評価したと紹介しています。

「環境に対する影響については、一定の影響はあるものの動植物への影響の範囲は限定的であり、多くの種の存続は維持され、事業実施区域外にも同質の環境が広く分布するため、主要な生息生育の場は残存し、生物に相互関係への影響は維持されると評価されています。」

 私は「高槻文書」にこの検証の評価は正しくないことを明示しました。
 次に市長報告では私の個人名をあげて、

「理学博士である高槻成紀氏に、東京都が委託した道路概略検討の動植物の予測・評価の結果等に関する分析を依頼し、専門家の見地からの意見を聴取しました。」

 と記述されていますが、上記の通り私は小金井市から依頼を受けていないので、これは事実と違います。また意見を聴取したとありますが、私は文章として渡した上で、スライドのプレゼンテーションをしたので、意見聴取という記述も正しくありません。
市長報告では、その後私が「高槻文書」に書いたことが記述され、

「当該検討では貴重種の保護が必要とされていますが、評価のほとんどが「生息する、生育すると予測する」となっており、「問題なし」とされている評価に疑問を抱いている、との見解が示されました。」

 とあります。私はこの道路予定地には多くの貴重種があるという調査結果から、道路計画は中止すべき、あるいは少なくも凍結して新たな調査をし直すべきだと主張しました。にもかかわらず、市長報告では「疑問を抱いている」と、私の主張を明らかに弱める表現で紹介しています。これは著者の意図を歪曲するものであり、このような形で紹介されることは容認できません。また、私は「高槻文書」に要点を書きましたが、市長報告では、以下の点が削除されています。

「都道建設とはいえ、その道路は小金井市につけられるものである以上、東京都は小金井市の意見を聞くべきである。小金井市は市民の意向を汲み、それに即した行政判断をし、東京都に対して決然と主張すべきである。」

 私は「高槻文書」を小金井市の自然を未来の世代に良い形で引き継ぐという小金井市の掲げる素晴らしい理念(小金井市みどりの基本計画, R3 こちら)に共鳴して、道路計画に反対すべきであると書きました。私にとって重要なこの主張が恣意的に削除する形で引用されたことは容認することができません。しかもこの引用内容を事前に相談することもありませんでした。これは内容的にも手続き的にもきわめて問題です。

 市長報告はこれに続けて総合判断が書かれています。

「4 総合的判断について
 総合的判断は、検証結果を踏まえるとともに、自然環境に関する学識経験者の見解及び自然災害に対する対策の必要性を鑑み判断しました。」

 ここには個人名はありませんが、もしこの学識経験者が高槻であるとすると、私が主張する「道路はつけるべきでない、調査をやり直すべきだ」とする内容が、道路計画要望に利用されていることになります。これは自然保護のために人生をかけてきた私にとって耐え難いことであり、容認できません。市長報告では、総合評価には能登半島の事例を紹介するなどして道路の利便性を優先し、自然の破壊はやむを得ないことにしています。道路の利便性は道路計画の一般論であり、それは小金井市の野川の特殊性とは別の議論であるはずです。この中で

「東京都生物多様性地域戦略の行動方針に沿って、整備後も整備前の生態系が保全されるよう、動植物の調査、地下水位の一定期間のモニタリング等必要な対策を求めます。」

 としていますが、道路を作る以上、すでに生態系は整備前には戻らないのであり、道路は中止にするしかないのは明白です。このことは、東京都生物多様性地域戦略にも、小金井市みどりの基本計画にも反するものです。市長報告のこの文章は、生態系に配慮するかのような虚偽記述によって道路推進をカモフラージュするという意味で不誠実です。

<まとめ>
ホームページに公開された市長報告には以下の不適切な記述があります。
1)高槻の個人名が事前の了解を得ることなく表記された。
2)私は小金井市に依頼されて「高槻評価」を書いたのではない。依頼する形を要望したにもかかわらず断られた。にもかかわわらず、市長報告には依頼したと書かれている。
3)「高槻評価」には6点が要約されているが、最重要な6番目の内容が削除されている。つまり、不正確な引用を本人に確認することなく公開した。
4)「高槻評価」は「道路反対ないし凍結、調査をやり直すべき」と主張しているにもかかわらず、それが道路推進の根拠の1つとされている。これは自然保護のために生態学研究をしてきた私の名誉に関わることである。

以上のことから、現在公開されている市長報告を取り下げ、修正することを求めます。

<白井市長の姿勢> こちら
<文書非開示について> こちら
<市議会について> こちら

 以上は私の市議会を見ての印象ですが、私の個人名をあげて不正確な引用をした市長報告がこのまま小金井市のホームページに公開されている状況は市議会の責任において是正してください。もし市長報告が民主的議論を踏まえて公約通りに道路計画に反対する内容になるのであれば、私は喜んで高槻文書を提示します。小金井市議会は市民の期待に応えてください。お願いします。
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