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自然日誌 たかつき

自然についての問わず語りです。

少年の訪問

2018年01月21日 | 博物館
 川崎に住む永田櫂斗君(1年生)は遊園地の林でネズミの骨らしいものを見つけて拾って帰ったそうです。それがネズミかどうか確かめたくて、1月20日にお母さんといっしょに麻布大学いのちの博物館を訪問しました。
 箱から取り出したのはなにかの頭骨でしたが、ネズミではないようでした。私が見ると、それは小鳥の頭だということがわかりました。ただし状態がよくないので、小鳥ということしかわかりませんでした。スズメの頭骨標本があるので、それと並べて見てもらったら納得したようでした。


スズメの頭骨(左)と櫂斗君持参の骨(右)


「パッと見てすぐわかるんですね」
とお母さん。続けて
「そういえば、今日、庭にメジロがきていたよね」
「うん」
「そう、メジロくらいの大きさだと思います。」
と私。事前にネズミと聞いていたので、ネズミの標本も見てもらいました。
「意外に細いんですね」
「そうです。ネズミでもタヌキでも毛で丸顔に見えるんですが、骨は意外と細長いんです」
櫂斗君が
「こういうことはよくあるんですか」
と聞くので
「めったにはなくて、鳥やネズミなどの死体はすぐにタヌキとかカラスとかに食べられてしまうんだ。だから珍しいと思うよ」
「へえー」
「学校の先生が言ってたけど、鳥が食べて吐き出すんでしょ。これもそうなの?」
「いや、違うな。鳥はのみこんだら、スナギモといって砂の入った丈夫な袋で砕いてしまうから、柔らかい鳥の頭は飲み込まれたら砕けてしまって、こういう形では出てこない」
「そうか」
「頭がそのまま残っていたということは、誰にも食べられなかったのだと思う」
「なんで食べなかったんだろう」
「夏だったら、死んですぐハエが来て卵を産んで、ウジムシが出てきて腐るから、タヌキでも食べないと思う」
「へえー」
魁斗君の頭の中で、死んだ小鳥がどうなったかがいろいろ想像されているようでした。

「骨は腐らないんですか」
とお母さん
「肉は腐るけど、骨はカルシウムの塊みたいなもんですから腐りません」
というような会話をしました。
「生き物が好きなんですか?」
「うん」
「それはいい」と心の中で思いましたが、この少年は音楽の才能があるかもしれないし、ほかの学問に向いているのかもしれない、いや商才があるのかもしれないなどと思って、口には出しませんでした。
 ということで、疑問は解決したので、展示室に降りて記念撮影をしました。


櫂斗君と私


 これもまた口に出さなかったことですが、子供が小動物の骨を拾ってきたとき、お母さんは「そんな汚いもの捨てて来なさい」ということが多いと思います。ところが櫂斗君のお母さんはそれを捨てさせなかっただけでなく、「これ何だろう」という櫂斗君の好奇心に応えるために、博物館を訪れられたのです。このようなお母さんに見守られる子供はどんどん好奇心を広げてゆくことでしょう。
子供の好奇心に応えるのは博物館の大切な役割だと思います。

*写真掲載は了解を得ています。
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9月23日 小平2 ツユクサ

2018年01月16日 | 博物館

ツユクサ

これは前々からきれいだと思っていたものですが、でも改めてじっくりながめて「やっぱりいいな」と思いました。単子葉植物のもつ直線的な美しさと、独特の深い青が印象的です。
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1月の観察会

2018年01月14日 | 博物館
玉川上水で恒例の観察会をしました。こちら


記念撮影
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9月20日のアファン 3

2018年01月12日 | 博物館

ゴマナ


ミゾソバ


ユウガギク


サラシナショウマに来た蛾


チゴユリの果実
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作品

2018年01月05日 | 博物館
 年を越しましたが、年末にうれしい報らせがありました。麻布大学いのちの博物館が、大学を評価する委員会から高い評価を得たということです。私たちは限られた人と予算ながら、大学博物館らしく、アカデミズムを主体として、大学の研究をわかりやすく紹介すること、地域とのつながりを大切にする活動をすること、学生の活動の場を提供すること、子供にもわかるような展示をすることなどを軸によい博物館にしたいと考えてきました。それらのことがそのまま評価につながっていたようで、たいへん嬉しく思いました。来館者数は必ずしも多くはありませんが、そのことはあまり気にせずに、来た人が満足できる博物館にしたいと考えています。
 そういうわけで、関係者はその評価を励みに、今年もよりよい博物館にしたいと決意を新たにしました。

 次回の展示は丹沢の山懐にある青根集落で活動している本学の「あざおね社中」の紹介です。始まるのが2月の初めなので年末から少しずつ準備をしてきました。パネルの原稿は8割方できましたが、同時に展示物を少し作りました。
 ひとつはかつての主幹産業であった養蚕を展示するので、粘土でカイコを作りました。


カイコの1.5倍サイズの模型

 もうひとつは、里山にあるススキ原にすむカヤネズミです。体重が10グラムにさえならない小さなネズミで、鳥のジュウシマツのような球状の巣を作ることで知られています。ネズミはフクロウの展示でも作りましたが、粘土では面がツルツルなので、筆で毛を描きましたが、どうしても質感が違いました。(こちら)そこで、今回ははじめてウールを固めてネズミを作りました。どんなものかわかりませんでしたが、羊毛をスポンジの上において、特殊な針でツンツンとつつくとかたまりになります。フェルトはこの原理で作るのだそうです。形が違うと思ったら、くぼみは追加し、膨らみはサミで切ればよいことがわかりました。胴体と頭はできましたが、耳はどうするか。面的なものを作って半円形にハサミで切ったうえで、基部をツンツンとつつくとくっつきました。四肢が問題ですが、これは木で彫りました。それから後肢であれば太ももの部分をウールで覆い、ツンツンとつつきます。これを何度か繰り返すと、それらしくなってきました。私はネズミの解剖を何度もしたので、骨と肉の関係が頭に入っています。それを再現するような感じで作りました。
 カヤネズミは鼻の部分と手足がピンクがかっているので、そこにはピンクのウールをのせました。尾もはじめは面的なフェルトを作り、それを何度も折りたたんで細長くしました。あとで細い針金をいれてジグザグに曲げました。カヤネズミは長い尾をススキの茎にからませて体を安定させるので、まっすぐよりも曲がっているほうがそれらしく見えるのです。
 最後に目をつけました。これは手芸屋さんに売っています。目をつけると生き生きとした感じが出ます。


カヤネズミのウール模型

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スケッチ 5 ミツバツチグリ

2017年11月10日 | 博物館

ミツバツチグリ


これもバラ科です。地面を這って走出子という茎をのばします。オランダイチゴなども同様で、ストロンといいます。だから縦には伸びられず、明るい草原の日の当たるところなどによくあります。
 花はごく単純な5枚の花びらがあり、その付け根のあいだにガクの緑色がみえます。葉は複葉で3つに分かれています(だからミツバとつく)。
 遊びで、一枚の葉は色をつけないでおきました。
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企画展示 「シカの角のふしぎ」

2017年11月02日 | 博物館
10月31日から麻布大学いのちの博物館の企画展示が改まりました。今回は「シカの角のふしぎ」という展示です。10月30日に設営をしました。



ケース1にはシカの概論を紹介しました。いろいろなシカの頭部模型を並べました。



今回は予算の制約もあったので、手作りの展示品が多くなりました。紙粘土で10個あまりのシカの頭部模型を作りました。時間はかかりましたが、楽しい作業でした。



ケース2にはおもにニホンジカの標本を紹介しました。一生のうちでの角の発達、1年のうちの角の発達、ニホンジカの地域変異などを紹介しました。

 設営では職人さんとの作業でしたが、いいかげんさを排除する気持ちのよいものです。上下関係がはっきりしていて、いまの大学人にはちょっと新鮮な違和感がありますが、決して無意味にイバッているのではなく、きちんとした仕事をしようということから来ています。だから展示について納得できないところは、来館者に見えないところにも徹底的に手間をかけます。そういう姿勢は見ていてとても気持ちよいものでした。







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夏休みこども教室 3

2017年10月26日 | 博物館


スケッチが終わったので展示室を案内しました。これはハムスターの骨格を説明したときの写真ですが、とても興味をもってくれました。大学博物館に小学生がくるのはとてもよいことだと思います。
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夏休みこども教室 2

2017年10月25日 | 博物館




この日はタヌキとサルの頭骨をスケッチしてもらったのですが、休憩時間にライオンの頭骨を見せたら、みんな興味があって集まってきました。好奇心というのはすばらしいもので、その大きさが人によって違うようです。
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夏休みこども教室

2017年10月24日 | 博物館


夏休みに麻布大学いのちの博物館で夏休みこども教室をおこないました。こどもの前で話をするという経験はほとんどなかったので、退職してから、新しい体験をする機会をあたえられたという気がしています。
 大学生と違って、ひとつひとつの言葉に反応してくれるので、話がいがあります。こどもたちも、学校の窮屈さがないのだとおもいます。たいへんよい反応があり、小手先の技術としての「教え方」を勉強しなくても、通じるのだなとおもいました。

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