リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

組曲ハ短調BWV997を弾く(2)

2019年11月16日 22時25分07秒 | 音楽系
1.に関して、自筆が残されていないのは残念ですが、弟子のアグリコラが筆写した原典の1つは残されていますので、自筆にかなり近いと考えられます。

2.に関しては、各原典では微妙に音型が異なるのところがあります。やはり元(自筆)がどんなものだったのかは知りたいところです。実際に演奏する際は、それらを検討してどう扱うかを判断する必要があります。当時のタブ編曲は、「リュートのための」という文言がありますが、リュートタブで書かれているわけですからこれは当然でしょう。言い換えたら、リュートタブのもとになった楽譜はリュートのためというのではないということかも知れません。リュートタブ編曲は、そこそこ無理をせずリュートで弾けるプレリュード、サラバンド、ジグ(ドゥブルなし)のみです。まぁ、賢明な選択だったでしょう。
3.に関して、タブ編曲を除いた原典は、バスの上のメロディが、現代における大半の録音、楽譜より1オクターブ上になっています。新バッハ全集の楽譜もジグのドゥブル以外は上のメロディが1オクターブ下げられています。新バッハ全集がなぜこのような措置をとったのかはよく分かりません。個人的には原典に即した形で出すべきだったと思います。

(続く)

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