リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

公募

2015年08月21日 23時52分13秒 | 日々のこと
2020年東京オリンピックはメイン会場の設計やらエンブレムの盗作疑惑問題でなんかケチが一杯ついていますねぇ。

1964年のときはそんなケチが付くようなことは全くなかったと記憶しています。まぁイケイケドンドンでしたから、ケチを付けている隙はなかったのかも知れません。

2020年のオリンピックは多分もう入場行進なんてないでしょうから、行進曲は作曲されないと思いますが、1964年の時は古関裕而の「オリンピックマーチ」が使われました。でもあの曲、当時私は中学校の1年生でしたが、なんか変な部分があっていつも気になっていました。You Tube で聞き直してみましたが、やはり気になります。

気になる箇所は2カ所ありまして、ひとつはBメロの5小節目から転調していきますが、8小節目の2拍目のウラ拍の音「ミ」はスムーズに転調して元の調である変ロ長調に戻るためには「ミのフラット」にすべきです!・・・と思います。

あと1カ所は、トリオにはいって終わりの方でカッコよく遠い調に転調していき、トリオのAメロに戻ります。その戻るときにいきなり「ファ、ミフラット、レ、ド、シフラット」とやってAメロにつなげてるんですが、なんともぎこちなくもうちょっと何とかならなかったもんでしょうか。まぁ慣れの問題もあるんでしょうけど、もう少しいくつかの調を経由してAメロに戻るとよかったのにと今でも思います。

昔の曲にさんざんケチをつけてしまいましたが、今井光也さん作曲のファンファーレ、あれはとても素敵でした。NHKで競技のダイジェストを放送するときの冒頭はファンファーレで始まりましたが、いつも聞き惚れていました。あまり技巧的なところはないんですが、とても日本的で典雅なファンファーレです。ヨーロッパ人には絶対にかけない曲です。

ファンファーレを作曲したのはてっきり当時の著名な作曲家だとばかり思っていましたが、今井さんは専業の作曲家というよりは地方のアマチュア楽団の指導者でした。当時なら、團伊玖磨(今上天皇ご成婚記念に「祝典行進曲」を作曲した)とか黛敏郎(ジャイアント馬場のテーマに採用された「スポーツ行進曲」の作曲者)あたりとかあるいは武満徹、芥川也寸志なんかに行っても不思議はなかったんですが、結果的に公募することによって奇跡の名曲が発掘されたわけです。

2020年のオリンピックのときには、行進曲はないにしてもなんらかの音楽は作られるでしょうから、どなたがどんな音楽を作るのかとても楽しみです。委嘱された作曲家は盗作やなんかとケチがつかないように作らなければならないでしょうから、結構プレッシャーがあるというかチェックが面倒くさいでしょうね。