リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

著作権

2015年07月24日 12時02分16秒 | 音楽系
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、参加12カ国が著作権の保護期間を「作者の死後70年」で統一する方向で最終調整に入るそうです。

現在日本では「作者の死後50年」ですが、以前はもっと短かかったような気がします。CDやレコードの保護のための著作隣接権は確か20年とか30年だったような気がします。もうかなり前ですが、ビートルズのアルバムが(発表から20年とか30年たって)著作権切れでえらい安く売っていた頃がありましました。(実はそのときに全部買い込みました(笑))

その後どっかの国からの圧力?があったようで保護期間が50年になり、そういったアルバムは姿を消しました。

この保護期間が作者の死後70年ということを作品の側から考えてみますと、70年もたったあとだとその作者は完全に忘れ去られてしまうことになり、「死んでから世に知られる」という機会はまずなくなるのではないかと思います。

生前は知られていなかったけど、死後その作品の価値に人々が気づき始め何年か後には高く評価される、というようなことがなくなるのではないか、ということです。

私はせいぜい20年も保護すれば充分だと考えています。この「70年」というのは完全にビジネスの論理だけでできあがっている感じで、いつまでもおこぼれに与ろうというのはちょっと厚かましすぎます。

あのバッハの作品にしても、死後「知る人ぞ知る」で作品が伝えられてきたからこそ、死後100年近く後にメンデルスゾーンによる蘇演が行われたのであり、もし「著作権」で70年間「保護」されていて彼の作品が誰の目にも触れないままだったら、100年後の蘇演はありえなかったでしょう。

70年間保護される作品は、売れていたものだけではなく、売れていなかったものも含まれます。この売れてなかったものの中に「お宝」がある可能性は否定できません。あるいはお宝だとはわかっていても「保護」のおかげで、その作品に触れることがとても困難になり、結局は忘れ去られてしまうことになると思います。