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『魏志倭人伝 他三篇』(読書メモ)

石原道博編訳『魏志倭人伝 他三篇』岩波文庫

マルコムXが「自分の歴史を勉強しなさい」と薦めていたので、日本史で習った『魏志倭人伝』を読んでみた(もちろん現代語訳)。

本書には『魏志倭人伝』の他に、『後漢書倭伝』『宋書倭国伝』『隋書倭国伝』が収められているが、先進国である中国から見た日本の姿が表現されていて、興味深かった。

総合的な印象としては、今の日本と基本的に同じではないか、ということ。例えば、以下のような記述があった。

「その風俗は淫らではない」(p.80)

「人は、性、酒をたしなむ。多くは長生き、百余歳になる者がはなはだ多い」(p.88)

「人はすこぶるものしずかで、争訟はまれだし、盗賊は少ない」(p.98)

「性質はすなおで雅風がある」(p.99)

「気候は温暖で、草木は冬も青く、土地は肥えうつくしく、水が多く陸が少ない」(p.98)

1000年以上前の記述であるが、今の日本と基本的には変わりないように感じた。

ただ、少し驚いたのは「男子はみな顔や体に入墨し、その文(いれずみ)の左右大小によって、身分の上下を区分する」(p.87-88)という点である。入墨には、害を避ける効果があると信じられていたようだ。今の入墨とはだいぶ違う意味があったらしい。

国の文化というものは、そう簡単に変わるものではない、ということを感じると同時に、日本の文化を守り、大切にしなければならないとも思った。
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