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『仕事と人生』(読書メモ)

城山三郎『仕事と人生』角川文庫

晩年の城山三郎氏を知ることができる「エッセイ+対談+追悼集」である。

本書を読むと、特攻隊に志願した戦争体験が、城山さんの仕事の土台となっていることがわかる。とにかく「まっすぐ」な人である。

最も印象に残ったのは「残された歳月」というエッセイ。その中で、城山さんは次のように語っている。

「それにしても、「今年は」というか、「今年も」、私は、「仕事あっての人生」ではなく、「人生あっての仕事」という思いを、重ねさせられた」(p.14)

仕事中毒の人ほど「仕事=人生」になってしまうが、奥さんを亡くされた後の城山さんは「人生>仕事」になったのだろうか。それにしても、「人生あっての仕事」の意味は深い。

心身の衰えを感じる城山さんは、仕事の仕方についても再考している。

「体力、特に歩く力が、鍛えているつもりなのに、かなり衰えてきている。それだけに、二、三年前から、我が身に言い聞かせるようになっていた。「考えてからやる(シンク・アンド・トライ)」ではなく、「やってみた上で考えよう(トライ・アンド・シンク)」と。人生の持ち時間がすくなくなればなるほど、そのように生きたい」(p.15)

人生の時間は限られている。その意味で、「やってみた上で考える」という生き方が大事なのかもしれない、と思った。

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