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若手に任せる

神戸製鋼所の機械事業部は、全社の売上の約2割を占めるにすぎないが、営業利益は最も高く、主力の空気圧縮機は世界のトップシェアを維持しているという。

同事業部の特徴は、20代の若手社員に仕事を任せ、活躍の場を与えているところにある。例えば、高校を卒業して入社した3年目の社員を一人で海外に赴任させ、入社2年目の社員に工程管理システムの改良を任せている。

なぜ、若手に任せる文化が生まれたのか?

それは、人が足りなくて、20代の若手に任せざるを得なかったためである。しかし、やみくもに任せたわけではない。同社は、熟練者の技術を標準化し、それまでベテランの勘で動かしていた複雑な工程をコンピューターで管理するようにした。

ただ、熟練工の技術を標準化しITで管理するところまでなら、多くの企業が取り組んでいる。神戸製鋼所がすごいのは、環境の変化に応じてこのシステムを改善する役目を若手に任せているところ。

ベテランの仕事を若手でもできる仕組みにすると同時に、そのしくみを若手に改良させる。ここまで取り組んで、はじめて若手が永続的に育つ環境ができる、といえるだろう。

環境を整備した上で任せれば若手は育つ。とてもわかりやすい事例である。

出所:「20代に任せる理由」日経ビジネス2010年5月10日号、p.38-42.
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