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直接経験と間接経験

ある銀行の人事部の方から、「間接経験よりも直接経験の方が学習効果は高いんですか?」という質問をいただいた。

まず「一般的には、そう言われています」とお答えした。これまでの調査研究においても、成人の能力開発の7割は直接経験によって決まることが報告されている。

ちなみに、直接経験とは自分が特定の課題に直接的にかかわった経験であり、いわゆる実体験と言われるもの。間接経験とは、書籍・映像・会話から他者の経験についての情報を間接的に得る場合に使われる。

ここで注意しなければならないのは「直接経験が常に有効とは限らない」ということ。

直接体験から人が学ぶためには次の条件が必要である。

1)課題が挑戦的であること
2)結果についてフィードバックがあること
3)それに基づいて内省していること
4)そこから教訓を得ていること

こうした条件が揃ってないと、人は単に経験しているだけで、そこから何も学ばない可能性がある。

また、人が直接的に学べる事には限界がある。

だから、日ごろから、文字、映像、会話を通して、自分を取り囲むマクロな環境の情報を得たり、歴史や哲学を学んだり、他者からいろいろな体験談を聞き、豊かな知識を蓄積しておく必要がある。

直接自分で経験したことを振り返るときや、これから経験しようというとき、また、何かを経験している最中に、そうした知識を活用することで、直接経験がリッチなものになるだろう。

つまり、濃密な(直接)経験学習をするためには、日頃の間接経験による学習が必要になるといえる。間接経験と直接経験をうまくつなげることで、学習効果を高めることができる、と思う。
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