柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

搾取

2010-04-13 08:14:14 | Weblog
井上ひさしの死亡記事、追悼記事が並びます。ペンクラブの会長であったり、そのリベラルぶりは有名な人で、戯曲作家、小説家としてのこの人は知りません(つまり読んだことがありません、試験問題として吉里吉里人とこの人とは結び付けられますが)。お仲間の天声人語がこれでもかと持ち上げます。同級生が空襲(原爆)で酷い目にあってるときに自分は山形の田舎で夏祭りの準備をしていた、そのことが強烈な負い目になっているとの談話を引いて、反戦作家のルーツを示します。ううむ。リベラルさんたちは大なり小なりそういうエピソードを話されるものですが、そんなもんですかね。こんなだから私は反リベラルなんでしょうけれど。
 毎日新聞の一面トップに、バングラディッシュ製衣料世界に、人件費上海の1/4と見出しです。的場昭弘という学者が最近盛んにマルクス本を出していて、それらを面白がって読んでいるのですが、マルキシズムなんて大きく構えるにはまだまだ知識も理解も届きませんがこんな記事を見ると、おお、まさに資本主義とは搾取構造なのだと感じ入ることです。安い所へ安い所へと手が伸びる、つまりそこを搾取するという絵柄です。搾取という言葉(翻訳語)がきついので(原語でどう言うんでしょう、英語では?それすら知りませんから)、資本主義は邪悪なもの、資本家は悪魔のような奴というニュアンスが、ほの香るくらいならいいんですが、一ページ目を読んだ途端に撒き散らされるので、げっぷが出てすぐに食傷してしまう。何よりこの資本論の翻訳本、その昔世の大学生たちが競って読んだという岩波の翻訳本が読み難いんです。言葉が難しいわ、言い回しが直訳調だわで。だからこういう平易版が出てくるのは好都合なのですが、それでもやはりこういうものに噛みついてる人の頭の中というのは一種独特なんでしょう、ご自分では平易なつもりでもやはり業界人の暗黙了解事項への説明が足りないので、私のような素人は立ち止まることしばしです。資本主義の搾取構造は不変なわけですね。安い工賃で製品作って高く売る、その利潤でさらに規模拡大する、利潤をさらに増やそうとする。日本がアメリカ追い抜いたのも、やがて韓国や中国に追い抜かれたのも、それがバングラディッシュにとって代わられるのもその原則に沿っての必然というわけです。なんだかマルキシズムがわかったような、得意な気分でいます。ただの一面だけなんでしょうけれど。そんなこととうにわかっているって?そうおっしゃいますな、諸姉諸兄。
コメント
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