ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

ラグビーW杯頑張れ!ウルグアイのワインに注目

2019-10-11 17:53:56 | ワイン&酒
ラグビーW杯つながりで、もうひとつ。

台風の影響で中止になった試合は残念ですが…
10月13日(日)に試合が予定されているウルグアイのワインです。
(17:15試合開始 熊本)

ウルグアイは南アメリカ大陸の南東にあり、ブラジルの南、アルゼンチンの東に位置する小国です。
面積は南米で2番目に小さく(日本の約半分より狭い)、人口は300万人。人口の90%がヨーロッパ系です(移民ですね)。
16世紀初頭からの300年間はスペインの植民地でした。

南半球の代表的なワイン産地と同じ緯度(南緯30~50度)に位置しているため、ヨーロッパからの移民を中心に、ワインづくりが行なわれてきました。
現在、ウルグアイには約200のワイナリーがあります。
ブドウ畑の面積はトータルでも7000haと、大きくありません。
また、国内消費の割合が大きく、輸出先の首位は隣国ブラジルということですから、小さな生産者だとなかなか外に出にくい、というのが、これまでのウルグアイのワインでした。

それでも、2000年以降は技術面での発展もあり、外資も増え、ワインビジネスは伸びていて、人々はプレミアムワインを飲む傾向にあるといいます。




本日取り上げるウルグアイのワイナリー「GARZON」(ガルソン)は、ファーストリリースが2016年と、まだ若いワイナリーですが、すでに世界メディアが注目し、著名専門誌で高得点を獲得している、赤丸急上昇中の生産者です。

ガルソンから輸出ディレクターアレックさんと、アジア担当のジャンカルロさんが来日し、ウルグアイ大使セサル・フェレール閣下隣席の下、ガルソンのプレゼンテーションが10月7日に都内で行なわれました。


左から)
アレックさん、ウルグアイ大使セサル・フェレール閣下、ジャンカルロさん

「ウルグアイの産業は昨年に比べて2倍に成長している。クオリティを大事にしながら、ウルグアイの良さを世界に発信していきたい」とフェレール閣下。

余談ですが、ウルグアイの人口300万人に対し、牛は人間の4倍の1200万頭いるとか!
よって、牛肉をガッツリ食べ、一人当たりの年間消費量は60kg!(世界1位?)
とくれば、肉のお供にワインが欲しくなります。
ということで、ウルグアイのワイン消費量は欧州に比べても多く、チリの2倍近いそうですよ。



牛肉に合うワインといえば、ウルグアイでは「タナ」品種の赤ワインです。
タナはウルグアイで最も多く栽培されている品種です。
タナの原産地としては、フランス南西地方のマディランが知られていますが、今やウルグアイの生産量の方が多いそうです。

「タナは粒が小さくて果皮が厚く、房がぎゅっとしているため、雨の多いウルグアイに適合した」とアレックさん。

ガルソンは、首都モンデビデオの東に位置するMALDONADO州にあり、大西洋から18km内陸に入った場所に1000haの土地を所有しています。
うちブドウ畑は220ha で、他のワイナリーの規模の3倍になるといいます。
よって、輸出必須というわけで、現在、世界40カ国に輸出しています。
アレックさんによると、輸出されているウルグアイワインの50%がガルソンだとか!
外に出て行くガルソンに他のワイナリーも刺激を受け、ウルグアイのワイン業界も変化が表れてきているようです。

ガルソンでは、トライアルも含めて25品種のブドウを栽培しており、最も多いのがタナ(62.3ha)で、アルバリーニョ(34.8ha)、ソーヴィニヨン・ブラン(17.0ha)、マルスラン(16.5ha)と続きます。

220haの畑は1500の区画に分かれ(小さな区画だと1haにも満たないそうです)、畑は斜面も谷もあるため、一番広いタナでも6つの区画があり、斜度や向き、日照、標高etc...が異なるため、それぞれに特徴のあるブドウになります。



「区画が細かいと管理が大変だが、組み合わせの可能性が大きくなる」とアレックさん。

畑の土壌で最も特徴的なのは「Balasto」(バラスト)と呼ばれる、砂利っぽい花崗岩です。
400万年前からある古い土壌で、ミネラルに富み、スポンジのよに水を吸収しますが、水はけが良いのが特徴です。
周辺の年間降水量は非常に多いのですが、このバラスト土壌のおかげで、雨が降ってもすぐに土中に水が吸収されるため、雨後すぐに畑作業ができるそうです。

この「バラスト」をワイン名につけたのが、ガルソンのアイコンワイン「BALASTO」です。



エチケットは、土壌の重なりを表現しています。
イラストの意味は、上から、砂の表土、砂利層、岩石です。

2008年に植樹し、2015年ヴィンテージが初。
今回試飲したのは2年目となる2016年でした。
フルーツと酸とタンニンが豊かにあり、まろやかでおおらかな味わいで、非常にいいバランスを取っています。
これはおいしい!

「BALASTO」のメイン構成品種はタナで、2016年は、タナ45%、カベルネ・フラン25%、プティ・ヴェルド18%、マルセラン12%
構成はブドウの出来次第で、年により変わるそうです。
年間生産量はわずか1万本。




ガルソンを代表するもうひとつのアイコンワインが、カベルネ・フラン100%でつくる「PETIT CLOS」(プチ・クロ)で、2016年がファーストヴィンテージ。
年ごとに最良のブロックのブドウを使います。2016年はBLOCK#127でした。
こちらの生産本数は年間3000本と、本当にわずか。

飲んでみると、少しスモーキーなニュアンスを感じます。
「グリンペッパーと赤い果実が口の中で押し寄せてくる」とアレックさん。
※小売価格:11,000円(税込み)



「バラスト」や「プチ・クロ」は、ガルソンの最高峰ワインですが、その下のレンジには、シングルヴィンヤードシリーズ、リザーブシリーズ、エステートシリーズがあります。


左端は、「Tanaat Reserve 2017」、その右隣が「Tannat Single Vineyard 2017」

リザーブは、四角いコンクリートタンクとローストしない樽で熟成した、ひとつ前の伝統的な醸造と新しい醸造をミックスしたスタイル。
※小売価格:2,728円(税込み)

シングルヴィンヤードは、タナの場合は、400以上の区画から選びに選んで仕込んでいます。よって、区画は毎年変わります。
醸造に使うのは、チューリップ型のコンクリートタンクと大型のフードル。時間をかけてゆっくり熟成させます。
※小売価格:5,500円(税込み)

ふたつのタナを飲み比べてみましたが、リザーブはやさしい果肉のふわふわを感じ、シングルヴィンヤードは各要素が豊富でギュッと凝縮したスタイル。個人的に飲むならリザーブかな。




白ワインは、「Viognier Estate 2018」と、「ALBARINO RESERVA 2018」を試飲しました。

ヴィオニエは華やかな香りが特徴ですが、ガルソンのヴィオニエはとてもエレガントなスタイルで、酸とミネラルがしっかりあります。
大西洋に近い冷涼な気候であることと、土壌からのミネラルの影響があるようです。
※小売価格:2,178円(税込み)

アルバリーニョはスペイン北西部ガリシア地方のブドウですが、ガルソンの畑のテロワールが、花崗岩土壌であり、雨が多く、耐性世に近く、海からの風が吹き、ガリシアにとてもよく似ているため、アルバリーニョだ!と、トライアルから始めたところ、成功したとのこと。
現在では、ガルソンの白ブドウで最も広い面積で栽培しています。
酸の骨格がしっかりとあり、安定感のある、落ち着いた味わいでした。
国際的評価も高く、航空会社の機内食にも採用されたとか。
※小売価格:2,948円(税込み)

この日、未入荷で参考商品の「スパークリング Extra Brut」(シャルドネベースにも飲みましたが、酸の骨格がしっかりした辛口で、とてもよくできていました。価格によっては、これはヒットするのでは?



ガルソンは、イタリアのトスカーナからの移民の家系で、アルゼンチン出身のオーナーが18年前にオリーブ栽培で成功し、畑を広げようと土地を購入したところ、オリーブには向かない丘陵地と土壌だったため、ブドウを植えたのがはじまりだったそうです。



よって、オリーブオイルもガルソンの特産品です。



なお、ガルソンのワイナリーには、非常に評判の高いシェフがいるレストランが併設されていて、レストランも評判がいいそうです。

ガルソンのワイナリーから下った大西洋沿岸エリアは有名なリゾート地で、有名スターなどセレブの別荘も多いとか。
セレブたちは、ガルソンのワイナリーでワインを買い、レストランでワインペアリングを楽しんでいるのかも?

別荘は持てなくても、ぜひ一度は現地を訪れてみたいものです。
行きたいワイン生産国がまたひとつ増えました。



ちなみに、ガルソンは、ウルグアイのラグビーチームのオフィシャルスポンサーにもなっているそうで、10月5日には、オーストラリア戦の応援に、大分まで行ったそうです。



ウルグアイ国旗は覚えやすいと思います

10月13日(日)にウェールズ戦が残っているとはいえ、すでに予選敗退が決まってしまったウルグアイですが、最後の試合はぜひ勝って、元気に帰国してもらいたいものです

※輸入元:ヴィノスやまざき


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