ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

高地のワイン「ハイランズ・ワイナリー」@ナパ

2011-10-25 09:00:58 | ワイン&酒
カリフォルニアのソノマ・カウンティを3回にわたって紹介してきましたが、ナパのことも取り上げないと不公平ですよね(笑)

そこで、10月17日に東京で開催されたカリフォルニアワイン試飲会のために来日していたナパのワイン生産者とご一緒する機会がありましたので、紹介します。

ハウエルマウンテンHighlands Winery (ハイランズ・ワイナリー)です。



オーナー夫妻である カレン&ポール・セガスさん が来日しました

ポールさんは、40年前はIBMで活躍していましたが、1973年にナパとソノマに畑を購入
この時の畑に植えられていたのはブドウではなく、プラムやクルミでしたが、ポールさんはブドウに植え替えていきました。

とはいっても、当事の彼にはブドウ栽培の経験がなかったため、カリフォルニア大学のUCデイビス校に通いながらブドウ栽培とワイン醸造の技術を学び、その中で、生産者間のネットワークも築いていったのです。

その結果、彼の畑のブドウは著名ワイナリー(シャトー・モンテリーナ、ジョセフ・フェルプスなど)で使われるようになり、生産者間のつながりも広がっていきました。

その後、高地のブドウを使ったワイン造りがしたいと考えたポールさんは、フリーマーク・アビー・ワイナリーのワインメーカーであるブルース・スコット氏と出会い、フリーマークとのパートナーシップの中で、別の上級ブランド「ハイランズ・ワイナリー」をリリースします(2000年)。

2005年、シルバー・オークワイナリーを引退したデイブ・コフラン氏を共同経営者として迎え、ポールさんはハイランズブランドを独立させ、「ハイランズ・ワイナリー」をスタートさせました。


 ハイランズ・ワイナリーのワインは赤ワインのみ

ハウエルマウンテンは、ナパ・ヴァレーの最初のサブアペラシオンとして認められた地区で、ナパ郡のAVAの中では最も北、かつ内陸(東寄り)に位置しています。

マウンテンという名前の通り、標高1400フィート以上の高地にあり、ブドウ畑は1400~2200フィートの周辺に集中しています。

ポールさんによると、畑は岩が多い火山性土壌であるため水はけがよく、ブドウの根が土中深くまで張ることができる、とのこと。
また、非常に乾燥した気候のため病虫害が発生しにくく、健全で凝縮したブドウが得られます。

ハウエル・マウンテンは雲よりも高い場所にあるため、日照の恩恵を大いに受けることができること、午後から吹き始める冷たい海風が山を渡って流れ込むため、ブドウは濃く色付き、しっかりとしたタンニンと複雑味が得られます。

ハウエル・マウンテンでつくられるブドウ品種としては、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、ジンファンデル、シャルドネ、ヴィオニエなどがありますが、ハイランズ・ワイナリーでまず押さえておきたいのは カベルネ・ソーヴィニヨン でしょう。

Cabernet Sauvignon Napa Valley と、Cabernet Sauvignon Reserve Howell Mountainがあります。

現行ヴィンテージは、どちらも2006年。他のワイナリーよりも長く熟成させてからリリースしているため、販売直後から飲み頃になっています。


Cabernet Sauvignon Napa Valley 2006

果実味豊かでまろやかなワインです。ちょうどいい飲み頃になっていて、なめらかな口当たりでスイスイ入ってきます。これは飲み過ぎ注意!キケンなワインです(笑)



Highlands Cabernet Sauvignon Napa Valley Black Sears Vineyard 2001

2001年はハイランズのファーストヴィンテージ。
しかも、標高の高いブラック・シアーズ・ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨン100%。
この日のためにポールさんが持参してくださいました。


バックラベルにシングルヴィンヤード名が表示されています

フルーツ感が豊かな果実味たっぷり。充分な酸味とタンニンの骨格がしっかりとしていて、まだまだ若く感じます。この先さらに熟成する可能性があるでしょう。今飲んでしまうのはもったいなかった!



カベルネ以外では、ジンファンデルシラー をつくっています。

ジンファンデル100%のワイン 「Highlands Zinfandel Howell Mountain 2006」 は、先日発行されたワイン本で、“5,000円以下のお値打ちワイン301本”の中に高ポイント(カリフォルニア1位)で選ばれました。やりますね

これはアルコール度数が15.6%と高いにもかかわらず、バランスがよく、非常にエレガント。果実味がしっかりしていますが、やり過ぎ感がなく、料理に合わせやすいワインだと感じました。

ポールさんは、このジンファンデルは、タコスなどのメキシカン料理をはじめ、日本食にも合うとおっしゃってました。



絶妙にマッチしたのが「牡蠣のトマトソースパスタ」の“牡蠣”

ジンファンデルと牡蠣なんて、一見して合わなそうですが、これが見事なマリアージュを見せてくれました。おそらく、トマトがいい仕事をしているのだと思います。機会がありましたらぜひ挑戦を



カリフォルニアのナパの赤ワインというと、体調によっては敬遠したくなる時もありますが(笑)、ハイランズのワインはしっかりと凝縮感はありながら、どれもエレガントでバランスがよく、料理とのマッチングがしやすいのがいいポイントです。

しっかり熟していながら、高地(ハイランド)の冷涼さから来るエレガントさを感じます。
ハイランドという名前も覚えやすいので、ぜひメモリにインプットしておきましょう

(輸入元:デプトプランニング)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする